台湾で26日に行われた国会議員への大規模なリコール投票(7・26リコール投票)について、同日夜、賴清德(らい・せいてい)総統は自身のフェイスブックを通じてコメントを発表した。「今日、台湾の人々は再び憲法で保障された権利を行使し、自らの意思を示した。結果については、すべての人が尊重し受け入れるべきだ」と述べた。
今回のリコールは、反リコールを含む市民団体と与党・民進党が連携して進めていたが、すべての選挙区で反対票が上回り、リコールは不成立となる見通し。これについて賴氏は、「これは一方の勝利でも、他方の敗北でもない」と強調。「リコールも、反リコールも、いずれも憲政制度に基づく正当な市民の権利だ」と述べた。
さらに、「意見の違いがあっても、台湾の人々は合法的かつ合憲的な手段で意思を表明し、決定を下すことができる。これこそが民主台湾のもっとも大切な価値だ」として、民主主義の根幹を再確認した。
「あなたたちの力は無駄ではない」
賴総統は、リコール運動の過程で130万人以上が署名し、当日も数百万人が投票所を訪れた事実に触れ、「多くの市民が立ち上がり、遠方から帰郷して投票に参加した。雨の中で署名を集め、炎天下でビラを配り、仕事帰りや週末にも街頭で活動を続けた。これは誰かを憎むためではなく、祖国を愛する思いから来たものだ」と述べ、感謝の意を表した。
「あなたたちの力は決して無駄にはならなかった。皆さんの行動が、政治家に謙虚な姿勢を思い出させ、不合理に凍結された予算を解放し、沈黙していた市民社会を再び目覚めさせた」と語り、「すべての政党と政治家が国への忠誠と国民への責任を再確認する機会となった」と指摘した。
「民主主義は敗れない」──次なる課題に向けて
賴氏はまた、「この経験は、権力をつくるための制度ではなく、権力を制限するために民主的な憲政体制が存在することを、すべての政治家に思い出させた」と述べた。
「選挙もリコールも、結果はついて回る。しかし、台湾の民主主義は市民のたゆまぬ参加によってますます強くなる」と語り、「台湾の市民社会が歩み続ける限り、民主は負けない」と訴えた。
最後に賴総統は、「今日を境に新たな課題が待ち構えている。だが、台湾は憲政制度によって内部対立を克服し、民主の力で社会の分断を乗り越えられる国であると世界に示したい」と述べ、「政党の立場や市民の違いを超えて、共に民主と自由の価値を守っていこう」と呼びかけた。
「手を取り合い、団結して前に進もう」──その言葉で声明を締めくくった。 (関連記事: 台湾「7・26リコール投票」反対多数で否決へ 全選挙区で罷免不成立の見通し、結果一覧はこちら! | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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