トランプ氏、関税を25%から15%に引き下げ 日本車株が急伸、米メーカーは猛反発

2025-07-24 13:52
トヨタ自動車のロゴマーク。日本を代表する人気ブランドの一つとされる。(写真/AP通信)
トヨタ自動車のロゴマーク。日本を代表する人気ブランドの一つとされる。(写真/AP通信)
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トランプ米大統領は22日、日本との新たな貿易協定を発表し、日本車の対米輸入関税を現行の25%から15%に引き下げると表明した。ロイター通信よれば、この発表を受けて東京株式市場は急反応し、自動車株が軒並み高騰。トヨタ株は前日比14%高、ホンダも12%近く急伸し、いずれも約1年ぶりの高値を記録した。

一方で、米国内では「本土産業と労働者を犠牲にする取引だ」として、主要自動車メーカーが強い不満を表明している。

減税と引き換えに5500億ドルの投資 「史上最大の貿易協定」とトランプ氏

トランプ氏は同日、日本との協定により、8月1日に予定されていた日本製品への新たな懲罰的関税を取り消すことも発表した。条件として、日本は米国に最大5500億ドル(約80兆円)の投資・融資を行うことを約束。資金は日本政府系機関から供給され、医薬品や半導体など戦略的に重要な分野を含むサプライチェーンの強化を後押しする。

また、米国産農産物の輸入も微増させ、コメも対象に含まれるとされるが、日本側は「国内農業に打撃はない」と説明している。

ロイター通信は、これが4月にトランプ氏が発表した「世界全体への包括的関税構想」以降で最も大きな影響力を持つ協定だと指摘。トランプ氏はSNS上で「史上最大の貿易協定」と称え、「米日両国はこれからも良好な関係を維持する」と発信した。交渉を担った赤澤亮正氏はエックス(旧Twitter)で「任務完了(Mission Complete)」と投稿し、「今回の協定には鉄鋼・アルミ関税や国防関連の議題は含まれていない」と説明した。

日本自動車株が市場をけん引 日経平均は1年ぶり高値

米国の公式統計によれば、日本は米国にとって第5位の貿易相手国で、2024年の二国間貿易総額は約2300億ドル(約33兆円)。そのうち日本の対米貿易黒字は約700億ドル(約10兆円)で、米国は日本から年間550億ドル(約8兆円)超の車両・部品を輸入している一方、米国車の対日輸出はわずか20億ドル(約3000億円)強にとどまる。長年の不均衡に対してトランプ氏は不満を示してきた。

今回の関税引き下げは日本の自動車産業にとって追い風となり、株式市場は即座に反応した。日経平均株価は当日3%超上昇し、約1年ぶりの高値を更新。自動車関連株が上昇を主導した。韓国市場も連れ高し、「韓国も同様の交渉を試みるのではないか」との期待が広がった。為替市場では円が小幅上昇し、欧米の株価指数先物も堅調に推移した。

日本国内では協定を評価する声が目立つ。辞任の意向が報じられている石破茂首相は「米国に貿易黒字を持つ国の中で最も有利な条件を勝ち取った」と称賛。明治安田総合研究所の前田一孝氏は「15%関税であれば景気後退のリスクは避けられる」と分析した。オーストラリア連邦銀行の上級エコノミスト、クリスティーナ・クリフトン氏も「これまでの強硬な交渉姿勢を考えれば、日本にとって想定以上に好ましい結果だ」と述べた。

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