李忠謙コラム:中国、最先端チップの「最後の1マイル」に挑む 大量備蓄と逆解析、空間で時間を稼ぐ

2025-07-22 16:48
この画像は、FLUX 1.1 [pro] Ultraによって作成。
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中国が開発したDUV(Deep Ultraviolet)リソグラフィ装置の試作機が、上海のウエハー工場に納入されテストが進められている――そんな報道が最近、各メディアで大きく取り上げられた。

この装置は最先端のEUV(極端紫外線)ではなく、商用レベルにも達していないが、米国や同盟国による輸出規制が日増しに厳しくなるなか、中国は半導体製造装置の国産化を急速に進めている。一般的には、中国が空母や電気自動車、ドローンを作れても、リソグラフィ装置という巨大な壁の前では北京も打つ手がない――そう見られてきた。

しかし、米商務省の幹部が北京を訪問したタイミングでファーウェイが国産7ナノチップを搭載した5Gスマホを発表したように、逆境のなかでも中国は執念を見せてきた。かつてテンセントのAI「文心一言」が嘲笑されても、その数年後にはDeepSeekがシリコンバレーやウォール街を驚かせた。

リソグラフィ技術がチップ製造で最も複雑かつリソースを要する工程であることは間違いないが、中国の半導体産業がどこまで迫っているのか、世界が固唾をのんで見守っている。

米ワシントンのシンクタンク「安全保障・新興技術センター(CSET)」が7月14日に発表した最新レポート「Inside Beijing's Chipmaking Offensive」によると、2019~2024年の間に中国企業はエッチング、洗浄、成膜など重要装置分野で市場シェアを大幅に拡大した。ただし最重要のリソグラフィ技術では依然として大きなボトルネックが残り、オランダのASMLが握る世界的優位は揺るがない。

それでもリソグラフィ装置本体から視点を広げてみると、米ジョージタウン大学の新興技術観測所(ETO)がまとめた2024年のサプライチェーン分析や「日経アジア」の詳細報道が示す通り、中国メーカーは未曽有のスピードで存在感を高め、複数の分野で海外競合のシェアを侵食し始めている。

「中国製造2025」を掲げてきた北京は、米国主導の厳しい輸出規制の圧力を受けながらも、なお強い追い上げ意欲を示している。

この変化を後押しするのは、米国主導の厳しい輸出規制だ。先進装置の流入が制限され、米中テック戦争における「首を絞める戦略」として機能するなかで、中国のウエハー工場は国内サプライヤーへの切り替えを迫られている。

この「デカップリング」の圧力は、中国国内に大きな需要を生み出し、国産装置メーカーにとって前例のない発展のチャンスと試練の場を提供している。

各工程での進展

データによると、2019年から2024年の5年間で、中国はチップ製造の第一段階であるウエハー製造(で使用される装置において驚異的な進歩を遂げた。 (関連記事: 調査》NVIDIA、台湾政府と気象AIで独占協力 世界初の気象AIで台風予測精度10倍に 関連記事をもっと読む

CMP(化学機械研磨):ウエハー表面を何度も研磨する重要工程で、米アプライドマテリアルズがなお約60%のシェアを保持するが、中国の華海清科(Hwatsing Technology)が急成長。中国市場シェアは2022年の1.5%から2023年には約11%へと急上昇し、5年間で8ポイント伸ばした。難易度が比較的低い分野では、中国勢はすでに市場を奪う力を備え始めている。

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