自民党、参院選敗北で党内分裂加速 麻生・高市・河野らが石破総裁に退陣要求

2025-07-22 12:25
2025年7月20日、参院選の開票日、自民党本部の開票センターに現れた石破茂・自民党総裁兼首相。(写真/黄信維撮影)
2025年7月20日、参院選の開票日、自民党本部の開票センターに現れた石破茂・自民党総裁兼首相。(写真/黄信維撮影)
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7月20日に行われた参議院選挙で、自民・公明の与党連合は改選125議席のうち47議席しか獲得できず、非改選を加えても過半数を割り込む結果となった。直近の衆院選、都議選での連敗も重なり、与党は衆参両院で少数派に転落。1955年の結党以来、極めて異例の政局に突入した。

石破茂首相に対しては選挙直後から、党内外から責任を問う声が噴出。退陣を求める圧力が一気に高まっている。

麻生氏「3連敗の責任を取るべき」 党内重鎮も離反

党内の重鎮も相次いで動きを見せた。自民党最高顧問で元首相の麻生太郎氏は周辺に対し、石破氏が衆院選・都議選・参院選で3連敗した責任を取るべきだと明言し、「これ以上、石破氏に政権を任せることはできない」と強調。党指導部が自浄できなければ、「国民の信頼をさらに失う」と警鐘を鳴らした。

麻生太郎表示,日中兩國凖備在今年六月舉行雙邊金融對話。
麻生太郎氏は、日中両国が今年6月に二国間の金融対話を開催する準備を進めていると明らかにした。

高市氏は「保守路線」で対抗軸 党内再編の可能性も

保守派の高市早苗前総務相も、選挙前から憲法改正による「国防軍」明記、戦争放棄条項の削除、国旗保護法の強化、女系天皇の否定など保守色を鮮明に打ち出していた。「日本の主権と尊厳を守る」と訴え、石破路線と一線を画す姿勢を強調。これが選挙後の党路線再編に繋がる布石との見方も出ている。

神戸市議・上畠寛弘氏。
以前から台湾支持を表明してきた神戸市議の上畠寛弘氏が、次期総統・頼清徳氏の就任式に招かれ来台した。(写真/上畠寛弘氏提供)

地方組織も決起 高知県連が正式に退陣要求

地方組織からも声が上がる。神戸市議の上畠寛弘氏はSNS「X」で「石破内閣は国益を損ない、国民の信頼を完全に失った」と指摘し、「即刻総辞職すべきであり、自民党総裁の辞任も不可避だ」と投稿。あわせて実施されたネット投票では96.4%が「直ちに退陣すべき」と回答し、続投支持は3.6%にとどまった。自民党参院議員の山田宏氏も高知県連の「石破総裁早期退陣要求書」を公開し、地方からの退陣圧力が一気に強まった。

また、自民党高知県連も21日に緊急役員会を開催。石破総裁の早期退陣を正式に党本部に申し入れることを決定し、「選挙で示された国民の民意に応えるべきだ」と声明を発表した。同時に、県連幹部の辞任も相次ぎ、土森正典選対委員長、中谷元会長、明神健夫幹事長が辞意を表明、いずれも受理された。県連は新体制を発足させるため、会長選挙や敗因検証を行う方針を明らかにしている。

河野氏「責任は総裁一人ではない」 党務体制の再構築訴え

改革派の河野太郎デジタル相は比較的冷静な姿勢を見せつつ、選対委員会代理委員長の辞表を提出。「敗北の責任は総裁一人ではない」とし、森山裕幹事長の辞任も求めた。石破氏の短期的な続投には理解を示したものの、「党務執行部の責任体系は曖昧にすべきではない」と明言。制度的な責任追及と組織改革の必要性を訴えた。

石破首相は続投に意欲も…退陣圧力強まる

石破首相本人は敗戦後の記者会見で、「国難の中で政局を停滞させてはならない」として続投の意向を表明。物価高騰や米国との通商交渉など、重要課題への対応を理由に挙げた上で、「最大与党の総裁として重い責任を痛感している」と国民に謝罪した。しかし、麻生派、保守派、改革派に加え、地方組織からも退陣を求める動きが加速。石破氏の続投は極めて困難な情勢となっている。

次期総裁レースが焦点に 高市・河野氏らの動向に注目

今後、自民党は臨時の党会合を開き、党執行部の責任問題や新体制の構築を協議する見通し。高市氏の総裁選再出馬や、河野氏ら改革派による連携の可能性など、次期総裁レースの行方が政局の最大の焦点となってきた。

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