7月20日に行われた参議院選挙で、自民・公明の与党連合は改選125議席のうち47議席しか獲得できず、非改選を加えても過半数を割り込む結果となった。直近の衆院選、都議選での連敗も重なり、与党は衆参両院で少数派に転落。1955年の結党以来、極めて異例の政局に突入した。
石破茂首相に対しては選挙直後から、党内外から責任を問う声が噴出。退陣を求める圧力が一気に高まっている。
麻生氏「3連敗の責任を取るべき」 党内重鎮も離反
党内の重鎮も相次いで動きを見せた。自民党最高顧問で元首相の麻生太郎氏は周辺に対し、石破氏が衆院選・都議選・参院選で3連敗した責任を取るべきだと明言し、「これ以上、石破氏に政権を任せることはできない」と強調。党指導部が自浄できなければ、「国民の信頼をさらに失う」と警鐘を鳴らした。

高市氏は「保守路線」で対抗軸 党内再編の可能性も
保守派の高市早苗前総務相も、選挙前から憲法改正による「国防軍」明記、戦争放棄条項の削除、国旗保護法の強化、女系天皇の否定など保守色を鮮明に打ち出していた。「日本の主権と尊厳を守る」と訴え、石破路線と一線を画す姿勢を強調。これが選挙後の党路線再編に繋がる布石との見方も出ている。

地方組織も決起 高知県連が正式に退陣要求
地方組織からも声が上がる。神戸市議の上畠寛弘氏はSNS「X」で「石破内閣は国益を損ない、国民の信頼を完全に失った」と指摘し、「即刻総辞職すべきであり、自民党総裁の辞任も不可避だ」と投稿。あわせて実施されたネット投票では96.4%が「直ちに退陣すべき」と回答し、続投支持は3.6%にとどまった。自民党参院議員の山田宏氏も高知県連の「石破総裁早期退陣要求書」を公開し、地方からの退陣圧力が一気に強まった。
また、自民党高知県連も21日に緊急役員会を開催。石破総裁の早期退陣を正式に党本部に申し入れることを決定し、「選挙で示された国民の民意に応えるべきだ」と声明を発表した。同時に、県連幹部の辞任も相次ぎ、土森正典選対委員長、中谷元会長、明神健夫幹事長が辞意を表明、いずれも受理された。県連は新体制を発足させるため、会長選挙や敗因検証を行う方針を明らかにしている。
河野氏「責任は総裁一人ではない」 党務体制の再構築訴え
改革派の河野太郎デジタル相は比較的冷静な姿勢を見せつつ、選対委員会代理委員長の辞表を提出。「敗北の責任は総裁一人ではない」とし、森山裕幹事長の辞任も求めた。石破氏の短期的な続投には理解を示したものの、「党務執行部の責任体系は曖昧にすべきではない」と明言。制度的な責任追及と組織改革の必要性を訴えた。
石破首相は続投に意欲も…退陣圧力強まる
石破首相本人は敗戦後の記者会見で、「国難の中で政局を停滞させてはならない」として続投の意向を表明。物価高騰や米国との通商交渉など、重要課題への対応を理由に挙げた上で、「最大与党の総裁として重い責任を痛感している」と国民に謝罪した。しかし、麻生派、保守派、改革派に加え、地方組織からも退陣を求める動きが加速。石破氏の続投は極めて困難な情勢となっている。
次期総裁レースが焦点に 高市・河野氏らの動向に注目
今後、自民党は臨時の党会合を開き、党執行部の責任問題や新体制の構築を協議する見通し。高市氏の総裁選再出馬や、河野氏ら改革派による連携の可能性など、次期総裁レースの行方が政局の最大の焦点となってきた。
編集:梅木奈実 (関連記事: 石破政権が崖っぷち 高市早苗氏が総裁選出馬表明、ポスト石破へ動き加速 | 関連記事をもっと読む )
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