台湾南部を襲った台風4号ダナスにより、水道、電力、通信といった生活インフラが深刻な被害を受けた。発災からすでに2週間が経過した現在も、一部地域では通信が完全に復旧しておらず、住民は不安を募らせている。
民進党の立法委員(国会議員)である陳亭妃氏は、自身のFacebookにて「連日、現地を視察し住民の声を聞いてきたが、特に台南の一部地域では、現在も通信が非常に弱く、事実上、断絶状態にある」と指摘。通信インフラの復旧が進まない現状に対し、「NCC(国家通信委員会)、デジタル発展部、交通部は一体どこにいるのか?通信会社の責任はどうなっているのか?」と、政府と通信業界の対応を厳しく非難した。
陳氏によると、台風によって台南市の12行政区すべてで通信がほぼ全面的に途絶。被災住民は、電気も水も通信もない「三重苦」に直面し、まるで「世間から隔絶された孤島」のような状況に置かれているという。さらに、今回の台風は「中程度」の勢力に過ぎなかったにもかかわらず、これほどまでにインフラが壊滅した点について、「もし次により強い台風が来たら、台湾は持ちこたえられるのか」と懸念を示した。
また陳氏は、「災害対応は戦闘と同じ。通信が途絶すれば、前線が全滅したも同然だ」とし、早急な警報・バックアップ体制の整備が不可欠だと訴えた。準備が整っていなければ、今後のあらゆる災害が「通信災害」と化す危険性があると警鐘を鳴らす。
「人々を恐怖の中で救援を待たせてはならないし、“通信不能”が常態化してはならない」。陳氏は行政院に対し、災害発生の「前・中・後」の各段階における通信会社の対応手順(SOP)を明文化し、厳格な監督体制の構築を急ぐよう呼びかけた。
「災害後に最も恐ろしいのは、復旧の遅れではなく、災害発生の瞬間に通信が絶たれ、助けを求める術がなくなることだ。これは単なる技術の問題ではなく、命の問題だ。今対処しなければ、次はもっと悲惨な事態になる」と警告している。 (関連記事: 台南、台風4号被害に日本各地が義援の輪 市長「友情は風雨に負けない」 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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