日本税率大幅10%削減、その背景にある代償とは
日本が米国への5500億ドル投資を発表
トランプ米大統領は近日、日本、フィリピン、インドネシアの3カ国と相次いで貿易協定の合意に達したと発表した。協定内容は関税、投資、農工業製品、軍事協力を網羅し、税率はそれぞれ15%、19%、19%となった。『風傳媒』では今回、各国の交渉過程、交換条件、潜在的影響を整理し、米国の対外経済貿易攻勢の背後にある戦略的思考を読み解く。
トランプ米大統領は23日、日本との間で「史上最大の取引かもしれない」と称する協定の合意を発表した。最終的な対日関税は15%に設定され、以前脅しをかけた25%を大幅に下回ったものの、その背景にある交換条件は相当大きなものである。トランプ氏の投稿によると「日本は米国に5500億ドルを投資し、米国はそのうち90%の利益を得る」とし、「この協定は数十万の雇用を創出する前例のない規模のものだ」と強調した。
また、トランプ氏は「日本は自動車とトラック、米、その他特定の農産品、およびその他商品を含む国内市場を貿易に開放する。日本も米国に対し15%の相互関税を支払う」と明かした。これは日本政府が自国の輸出安定を保障するため、高額投資により税率引き下げと関係安定を得ることを選択したことを示している。
フィリピンが獲得した「ゼロ関税」の対価とは
軍事協力が交換材料に
フィリピンにとっては、対米「ゼロ関税」待遇の獲得に成功したものの、米国側は依然として同国商品に19%の関税を課し、これは日本の15%を大幅に上回る。トランプ氏によると「フィリピンは米国に市場を開放し、ゼロ関税を実施する。フィリピンは19%の関税を支払う。さらに、我々は軍事面で協力を展開する」という。
協定条項の詳細は語られていないが、分析によると、フィリピンのマルコス大統領は今回の訪問で経済貿易利益に加え、防衛同盟も強調し、これにより米国の報復的関税引き下げを期待している。しかし、ブルームバーグの分析では「税率引き下げ幅の小ささは、外国首脳がトランプ氏の事前発表した一方的な『相互』関税の引き下げを説得する際に直面する困難さを浮き彫りにしている」と指摘している。
インドネシアが99%の貿易障壁を撤廃するも、なぜ19%の高税率を支払うのか
トランプ氏が鉱産物とボーイング受注を絶賛
インドネシアは15日に米国側との協定を完了し、税率は19%に引き下げられたものの、トランプ氏は取引が極めて価値あるものと評価した。同氏は「我々は協定に達し、インドネシアは米国の工業・技術製品および農産品に市場を開放し、99%の関税障壁を撤廃する。米国はインドネシアに『米国製』製品をゼロ関税で販売し、インドネシアから米国への全商品は19%の関税を支払う」と述べた。
さらに、米政府高官は協定にインドネシアが越境データへの課税主張を放棄することも含まれると明かし、米国テクノロジー企業の東南アジア市場進出に大幅に有利となることが予想される。インドネシアはボーイング航空機、米国農産品、エネルギー製品を購入し、協定総額は数百億ドルに上る。
3カ国の「犠牲と引き換えの安定」、条件の違いは何か トランプ戦略下での最大勝者は
国家 | 関税税率(対米輸出) | 米国からの優遇 | 追加条件 |
---|---|---|---|
日本 | 15% | 自動車・農産品市場開放 | 米国への5500億ドル投資 |
フィリピン | 19% | フィリピンの対米ゼロ関税実施 | 軍事協力強化 |
インドネシア | 19% | インドネシアの対米99%障壁撤廃 | 米製品購入・鉱産協定 |
総合的に見ると、上記3カ国中、日本は最大の金額負担となったものの、最低税率と長期安定を獲得した。フィリピンとインドネシアは市場開放と軍事または鉱産協力を代償とし、トランプ政権が多国間圧力の下で、国別に利益交換の公式を調整していることを示している。
総括:3カ国と米国間の相互関税比較表
国家 前回基準税率 脅威税率 最新協定税率 変動説明 日本 10%(ベースライン)+15-25%の脅威 当初は25%の脅威とされていた 15% 10ポイントの引き下げと引き換えに、5500億ドルの米国投資と市場開放を獲得 インドネシア 10%ベースラインから32%脅威に上昇 脅威32% 19% 13ポイント引き下げ、インドネシアが99%以上のNTBs撤廃、米国医薬品・車両承認、米国商品購入約束 フィリピン 10%ベースラインから17-20%脅威に上昇 脅威20% 19% 脅威税率をわずかに下回り、当初17%を上回る。米国商品ゼロ関税輸入条件を含む
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編集:柄澤南
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