トランプ氏「日本と史上最大の取引」発表 15%相互関税と5500億ドル投資の衝撃

2025-07-23 10:30
2025年7月19日、米財務長官ベッセント氏、日本の首席貿易交渉代表赤澤亮正氏と双方の代表団メンバーが大阪で記念撮影。(AP通信)
2025年7月19日、米財務長官ベッセント氏、日本の首席貿易交渉代表赤澤亮正氏と双方の代表団メンバーが大阪で記念撮影。(AP通信)
目次

米国のトランプ大統領は東部時間22日深夜、ソーシャルメディアで日本との間で関税問題について「大規模で、史上最大級の取引」に達したと予告なく発表した。トランプ氏は日本の輸入品に対して15%の相互関税を課すと宣言し、日本が米国に5500億ドルの巨額投資を行うとした。このニュースは世界市場に衝撃を与え、8月1日に発効予定だった25%の「関税の崖」に一時的な休止符を打った。石破茂政権はこれを歓迎し、「厳しい交渉の成果」だとしたが、合意の具体的な詳細と今後の影響は依然として不透明である。

世界が注目する日米貿易交渉が最後の瞬間に劇的な転換を迎えた。トランプ氏は東部時間7月22日(日本時間23日午前)、自身のソーシャルメディア「Truth Social」で日本との貿易交渉が「重大な突破口」を開いたと一方的に発表した。「我々は日本と大規模な取引を成立させたばかりだ。これは我々がこれまでに成し遂げた最大の取引かもしれない」とした。

トランプ氏は続いて2つの核心内容を示した。まず、双方が相互に15%の関税を実施すること。次に「私の指示により、日本は米国に5500億ドル(約81兆円)を投資し、この投資の90%の利益は米国に帰属する」と主張した。トランプ氏はさらに、この協定により日本が米国の自動車や農産物に「市場を開放する」ことになるとしたが、詳細については明らかにしなかった。

この深夜の投稿は数カ月間続いてきた緊迫した日米関税対立に衝撃を与え、8月1日に予定されていた日本の輸入品に対する25%の懲罰的関税の全面的な追加課税の危機を一時的に回避させた。

赤澤亮正氏が最後の瞬間で功を奏す

トランプ氏の今回の対日関税発表は、日本の経済再生担当大臣である赤澤亮正氏がワシントンで最後の一押しを行っている重要な時期に重なった。破壊的な25%関税を回避するため、赤澤氏は自民党政権の参院選大敗後に緊急にワシントンに向かい、ベッセント財務長官(Scott Bessent)ら米国政府高官とマラソン式の非公開協議を行った。これまで米国は日本の鉄鋼、アルミニウム、自動車などの特定製品に関税を課しており、その範囲をすべての日本輸入品に拡大すると脅していた。日本経済にとって8月1日は越えられない「関税の崖」と見なされ、石破茂首相の就任以来最も厳しい外交・経済試練となっていた。 (関連記事: まとめ》日本・比・尼が相次ぎ米国と協定 関税と引き換えに差し出した「譲歩」の実態 関連記事をもっと読む

ベッセント財務長官が先週東京を訪問し石破氏と会談した際、雰囲気はかなり微妙だった。ベッセント氏は当時「良い合意に必ず達することができると信じている」と表明したが、会談後にX(旧Twitter)で「急いだ合意より良い合意の方が重要だ」と投稿し、交渉にはまだ時間が必要だと示唆した。これにより外界では交渉が決裂する可能性もあると一時考えられた。赤澤氏が21日に訪米した際も、日本の世論では「石破茂政権にはもう正当性がない、米国はまだ交渉するのか」という疑問の声も少なくなかった。しかし赤澤氏のワシントン行は明らかに情勢を転換させ、トランプ氏の発表後、日本政府内部も一致して積極的な評価を示した。

2025年7月18日、東京で会談前に撮影に応じる石破茂首相とベッセント米財務長官(AP通信)
2025年7月18日、東京で会談前に撮影に応じる石破茂首相とベッセント米財務長官。(AP通信)
最新ニュース
石破茂氏、就任1年で自民3連敗 石破政権に「党内クーデター」の兆し?
日米が15%関税で合意 石破政権「歓迎」も5500億ドルの代償に懸念
天気予報》台風7号「フランシスコ」発生 沖縄・台湾・ルソン島に影響か 専門家「3台風同時発生の恐れ」
まとめ》日本・比・尼が米国と相次ぎ協定締結 やむなく「譲歩の代償」とは
「TSMCの1000億ドルは前菜?」 トランプ氏「5500億ドル対日合意」に台湾経済専門家が懸念
台湾の関税より為替が深刻? 専門家「15%でも赤字、為替こそ最大のリスク」
台中メトロブルーライン工事が始動!「黄金十字」ネットワークが山と海、屯区と市街地の交通動脈を結ぶ
台湾フェスタ2025、代々木公園で7月25日から開催 現地グルメ&夜市体験が3日間限定で登場!
台湾に新たな試練?米財務長官が警告 交渉進まずなら「最大40%関税」4月2日の水準に逆戻りも
李忠謙コラム:中国、最先端チップの「最後の1マイル」に挑む 大量備蓄と逆解析、空間で時間を稼ぐ
自民党が歴史的惨敗 垂秀夫元大使「日本は国際社会で周縁化しつつある」と警告
評論:ブラックユーモアと化す民主主義──柯文哲氏「投票通知」が問う台湾の人権と制度の限界
米国は「一つの中国」を承認したのか、それとも認識しただけなのか?『エコノミスト』が読み解く 米中翻訳をめぐる言葉の罠と政治的計算
「ありがとう、ジェンスン・フアン」トランプ氏が公然と称賛 ティム・クックに代わる新たな「ウィスパラー」とは?
自民党、参院選敗北で党内分裂加速 麻生・高市・河野らが石破総裁に退陣要求
台湾海峡で衝突なら中国が「台湾のデジタル生命線」を狙う? 米国が圧力テストを提言
舞台裏》米国だけではない!台湾社会防衛靭性構築 背後にさらに国際的な実力者が暗躍
天気予報》台風連発の恐れ 週末まで雷雨・強風続く 気象専門家が進路予測を公開
「32%関税」報道で揺れる台湾 5割の企業が打撃、23%が生産移転を検討
自民大敗で円急騰 政局不安にロイター「一時的反応」
石破首相「トランプ交渉を継続」表明も退陣圧力 WSJ「自民党70年最大の危機」
張鈞凱コラム:「中華民国」は両岸の処方箋か、それとも毒か?
台南、台風4号被害に日本各地が義援の輪 市長「友情は風雨に負けない」
「台湾南部が“通信孤島”に」台風から2週間経っても復旧せず 断水・停電・通信断絶に政府対応へ批判噴出
舞台裏》史上最多の米軍が現地で視察 台湾「漢光41号」演習 米国は何を重視しているのか?
「日本版トランプ」神谷宗幣氏率いる参政党が14議席獲得 自民大敗で右派が急伸
石破政権に「ノー」 自公、参院選で歴史的大敗・過半数割れ
台湾有事でも「支援せず」?日本の曖昧姿勢が台湾投資急減の引き金に FTが読み解く有事シナリオ
調査》NVIDIA、台湾政府と気象AIで独占協力 世界初の気象AIで台風予測精度10倍に
K-POP界に異色の5人組登場 日本人・脱北者・米国人で結成された「1VERSE」が世界デビュー
独占》台湾師範大学採血事件の真相 学生アンケートが示した「休暇剥奪とデータ入力の強制」
石破政権が崖っぷち 高市早苗氏が総裁選出馬表明、ポスト石破へ動き加速
石破氏に辞任求める声 自民惨敗で「日本政治は漂流期に」東大教授が警鐘
評論》参政党が東京で2位 自民大敗でも右傾化止まらず、保守分裂が加速
加熱式たばこ、審査開始から2年半も基準は非公開 台湾で加熱式たばこ、ついに解禁か?
自民党青年局長・中曽根康隆氏、8月に約100人を率いて訪台 「日台若者の絆を未来へ」
現地リポート》石破茂氏「辞任せず」自民惨敗でも続投へ 党内に重苦しい空気
日本中華聯合総会 第41期会長に羅鴻健氏再任、李逸洋大使が祝辞
暗号通貨の歴史が新たな一頁を刻む!米下院で三大法案が全て通過 9兆ドル規模の資金流入、準備中
台湾ロック界のレジェンド、伍佰&China Blue 日本初のアリーナ単独公演が決定!
アニメ東京ステーションで開催中 『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』特別企画展
【スポーツ×平和】ジーコ氏が広島で初のチャリティーマッチ開催へ
ソウル発コムタンスープ専門店「オクドンシク」 2025年8月上旬、新大久保に日本初上陸
台湾・台中観光に新たな楽しみ 二階建て観光バスとグルメバスで夏休みを満喫
半導体製造『JSファンダリ』破産 負債総額161億円、530人が即日解雇
銀座の宇宙猫、最終章へ──GINZA SIXにて「BIG CAT BANG:THE FINAL」開催
麻布台ヒルズが夏を彩る 「納涼祭り2025」開催決定!
訪日観光客、過去最速で2000万人突破 「地震の噂」も影響せず、上半期で記録更新
舞台裏》台湾で10日間連続の市街戦漢光演習 国軍が縦深防御と民間動員を本格化
【台湾出身のシンガー・Ayunさんに聞く】東京で音楽を続ける理由とは――「表現できない感情を、歌に乗せて伝えたい」