米国のドナルド・トランプ大統領は、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」で、日本との間で「史上最大規模かもしれない」貿易合意に達したと発表した。投稿によると、日本は米国に対し総額5500億ドル(約81兆円)を投資し、米国側がその90%の利益を得るという。さらに、日本市場を開放し、米国製の自動車やトラック、コメなどの農産品を対象に、15%の対等関税を課す内容も含まれている。
この発表を受け、台湾の著名経済評論家・阮慕驊(げん・ぼくか)氏は、自身のフェイスブックで「日本が15%の関税を得るために払った代償は非常に大きい」と警鐘を鳴らした。
阮氏によれば、今回の米日合意により、日本は5500億ドルの対米投資を約束し、自動車やコメの市場開放に応じたとされるが、詳細はまだ明らかにされていない。加えて、インドネシアもまた米国との合意において19%の関税を得る代わりに、以下のような譲歩を行っていると指摘する。
- 食品・農産品に対する関税の99%を撤廃
- 鉱物資源の輸出制限を解除
- 米国から150億ドル相当の天然ガス、原油、ガソリンを購入
- 大豆など農産品を45億ドル、航空機を33億ドル購入
阮氏はこれらの事例を踏まえ、「日本もインドネシアも、20%以下、特に10%台の関税を得るために、事実上すべてを差し出した」と評した。
そして、「台湾が誇る半導体メーカー、TSMC(台湾積体電路製造)が米国に1000億ドルを追加投資したことも、こうしたスケールの中では“前菜”のように見なされている」と苦言を呈した。
TSMCはアリゾナ州における工場建設・拡張計画において、米国側からの補助金交渉を含めた大規模投資を進めており、バイデン政権の半導体戦略において重要な役割を担っているが、今回のトランプ氏の発言が波紋を広げている。 (関連記事: トランプ氏「日本と史上最大の取引」発表 15%相互関税と5500億ドル投資の衝撃 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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