日本の連立与党である自民党と公明党(自公)は先日の参議院選挙で歴史的大敗を喫したが、与党自民党総裁で首相の石破茂氏は続投の意向を表明した。自民党内では石破氏のリコールを求める署名活動が始まり、地方組織からも早期退陣を求める声が上がっている。
石破氏は昨年10月に自民党総裁に就任した直後、10月の衆議院選挙で自民党を率いて敗北し、連立与党の自民党と公明党は国会で過半数を確保できなかった。20日の参議院選挙でも自公は参議院で過半数を獲得できず、自民党は衆参両院で「少数与党」となり、創党70年で初めての事態となった。6月の東京都議選での自民党惨敗を加えると、石破氏率いる自民党は3連敗を喫したことになる。

石破茂氏は昨日午後、自民党本部で記者会見を開き、「第一党の議席を獲得した。最も重要なことは国政を停滞させないことであり、国家と国民に対して責任を負わなければならない」と述べた。自民党執行部の幹事長森山裕氏らの主要ポストや内閣の調整について問われると、石破氏は「考えていない」と答えた。
読売新聞の報道によると、自民党内では石破氏の退陣を求める声が高まっており、自民党執行部は「逼迫」状況を招くことを懸念し、党内同志に「政治的空白を作るべきではない」と自制を促している。しかし、石破氏が退陣を拒み続ければ支持者が離れていく可能性があるとの厳しい批判も出ている。
昨年の自民党総裁選挙にも出馬した小林鷹之前経済安全保障担当相は昨日、メディアに対し「2度の選挙で大敗した。石破氏には党指導者としての重大な責任を自覚してほしい」と述べた。

石破氏の続投について、自民党内では「冗談ではない」「官邸病で権力を手放したくないのか」「レームダック状態でトランプ米大統領との関税交渉をどうするつもりなのか」といった批判の声が相次いでいる。
20日夜の開票時には、自民党最高顧問の麻生太郎氏の側近が「石破氏が退陣しないのは不可能だ」と述べたと伝えられた。昨日、麻生氏と前幹事長の茂木敏充氏が東京で会談し、両氏とも「誰も敗戦の責任を取らなければ、自民党への批判はますます厳しくなる」との認識で一致した。
茂木敏充氏と官房長官の林芳正氏は昨年の自民党総裁選挙に出馬した。林芳正氏は昨夜、東京で自民党政調会長の小野寺五典氏ら親しい国会議員と党の現状などについて意見交換を行った。
自民党内では、現時点で公然とした「党内クーデター」とも言える動きは見られない。党が苦境にある中で、政権批判に踏み切ることへの慎重姿勢がうかがえる。党内では、対立が表面化すれば「内紛」と受け取られかねないとの懸念があり、また政権への圧力が日米の関税交渉に悪影響を及ぼすとの見方もある。
とはいえ、党内の危機感は高まっている。「このまま時間を浪費すれば、国民の信頼を完全に失う」との声も上がっている。2001年の森喜朗内閣や2009年の麻生太郎内閣では、実際に党内から退陣を迫る動きがあった前例がある。