日本では参議院選挙が終わったばかりだが、同時期に各地で市議会選挙も行われ、参政党が注目を集めたのと同様に、地方選でも予想外の人物が当選した。関西地区の奈良市議会では、新人議員の中に自称「迷惑系」ユーチューバーで本名を原田将大という人物が現れ、彼の当選が報じられると、中国の多くのメディアやネットユーザーから激しい批判が起きた。原田氏は過去に、悪意ある攻撃を行い、鹿を殴打する動画を撮影して中国人観光客に罪を着せた張本人とされているからである。
産経新聞などの日本メディアの報道によると、原田氏はこれまで常に物議を醸してきた。自らを「迷惑系」配信者と称し、さまざまな違反行為や規則破りを行い、その様子を動画に収めてSNSに投稿し、注目と再生数を稼いでいた。これまでにも店舗への嫌がらせや商品の窃盗、新型コロナウイルスが最も深刻だった時期に、故意にマスクをせず外出して逮捕した警察官を感染させたとされるなどの行為が問題視されてきた。今年、奈良市議会の選挙で55人が立候補し39議席を争う中、原田氏は8,320票を獲得し、第3位の高得票で当選を果たした。
へずまりゅう氏、奈良市議選で当選確実 元「迷惑系ユーチューバー」https://t.co/pdP9esboRz
— 毎日新聞 (@mainichi)July 20, 2025
奈良市議選で、無所属新人で動画配信業のへずまりゅう氏の当選が確実になりました。
長年の騒動の後、原田氏は「奈良の鹿を守る」と方向転換を図り、とりわけ中国からの観光客を狙うようになった。これを機に、香港や中国のメディアにたびたび取り上げられるようになり、原田氏は「当たり屋」と呼ばれ、排外的な民族主義と絡めて「奈良で中国人観光客が鹿を攻撃している」と公然と非難。動画にキーワードをつけてSNSで拡散し、ネット世論を煽った。
この流れは2024年7月に始まり、原田氏は自身のチームを率いて奈良市内で外国人観光客を狙い、彼らと鹿の交流を撮影。中国人観光客が標的となる場面が何度も現れた。昨年9月、Xなどで爆発的に拡散された動画では、中国人女性を相手に狂ったように罵倒し、ペットボトルを持って鹿を殴っていると非難、説明文では「中国出身」であることを意図的に強調した。

こうしたやり方によって、原田氏は「再生数を稼ぐ秘訣」を掴み、動画は1,000万回以上の再生を記録。これ以降、同じ手法を繰り返し用い、多くの中国ネットユーザーの目の敵となった。
原田氏の行為や市議当選について、日本国内でも意見は真っ二つに分かれている。一方では「これがSNS時代の現実で、たとえネガティブなマーケティングでも知名度を得て当選に結びつけた」と評価する声もあるが、他方では「奈良の選挙制度を見直すべき」「有権者が是非を見極めていない」と厳しく批判する声もある。
奈良の鹿さんが中国人から暴力を振るわれていたのは事実。
— へずまりゅう (@hezuruy)July 15, 2025
へずまりゅうの活動を否定する人間の特徴は中国人寄りで暴力に関しては黙り。
自分は寄付金も貰わずに一年間奈良公園でパトロールをやりました。
奈良県民の血税をもらいながら行政は一体何をしてきた?
奈良を変えるのは現状自分だけです。pic.twitter.com/pMfRz937Ir
同じく動画配信を行うユーチューバーの「シバター」氏は、自身のチャンネルでこうコメントした。
「残念というより、人間は本当に愚かだ。奈良市民も愚かだ。ただ、人間はもともとバカが多数なので、これも仕方がない。制度をうまく利用した者が勝つ、そんな感じだ」。
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