東京を「歩いて伝える」2人組、YouTubeで描く日台越境ストーリー

2025-07-05 17:43
日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。(写真/黃信維撮影)
日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。(写真/黃信維撮影)
目次

チャンネル創設のきっかけと理念

日本に暮らすYouTuber「東京走著瞧(東京歩いてみた)」は、パオパオ氏とウェイン氏の2人が運営するチャンネルだ。その出発点は、パオパオ氏の長年にわたる映像制作への情熱にある。風傳媒のインタビューで2人は「継続こそ最大の挑戦」と語る。

旅行系の動画は制作費も時間もかかるうえ、すぐに収益化できるとは限らない。それでも2人は理想を手放さず、持続可能なチャンネルづくりを目指してきた。ウェイン氏は「もし成功しなくても、怠けたせいではなく、全力を尽くした結果でありたい」と話す。こうした思いこそが、彼らの活動の軸になっている。

日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。黃信維
日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。(写真/黃信維撮影)

チャンネル名に込めた想い

チャンネル名「東京走著瞧」が生まれたのは2017年11月。きっかけは、東京を毎日歩き回るパオパオ氏の生活スタイルだった。地図を使わずに1日15〜16キロ歩き、「地元の人より東京を知っている」と語る彼は、視聴者にも“歩きながら見る東京”を体験してほしいと話す。

企画と挑戦、そして差別化

開設から8年目を迎えた今、2人は数々の挑戦を経てきた。大手企業の支援もなく、芸能人でもない彼らは、「歩いて千葉まで行ってみた」など体当たりの企画で注目を集めた。何万歩も歩く挑戦や、人気グルメの全制覇もその一つだ。

日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。黃信維
日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。(写真/黃信維撮影)

パオパオ氏の「散歩」に対する執着は、他にはない深みと継続性を生み出している。ウェイン氏によれば、「東京美食地図」や「ラーメン・寿司のエリア別攻略」などのコンテンツは、短期旅行では得られない取材の蓄積があってこそ可能なものだという。

信頼で結ばれる2人のチームワーク

2人はこれまで大きな対立もなく、判断はデータに基づいて行ってきた。今後は過去の人気動画のリメイクや、不動産紹介、在日台湾人の暮らしに関する企画など、多角的なテーマに広げていく予定だ。

2人のバックグラウンド

日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。黃信維
日本在住の人気YouTuber「東京歩いてみた」は、パオパオさんとウェインさんの2人で運営されている。(写真/黃信維撮影)

パオパオ氏は台湾在住時代から映像編集に携わり、2010年以前からYouTubeで活動していた。「東京走著瞧」は、彼にとって4〜5つ目のチャンネルにあたる。一方、ウェイン氏は2016年末から2018年にかけて東京で働いており、知人を介してパオパオ氏と出会った。当初は週末の撮影を手伝う形だったが、徐々にのめり込み、現在は企画・マーケティングを担当している。

チャンネル名の誕生秘話

「東京走著瞧」という名前は、六本木のマクドナルドでの雑談から生まれた。「東京」「歩く」というキーワードから「東京熱訊息」などの案が出るなかで、記憶に残りやすく、コンセプトに沿った今の名前に決まった。

コロナ禍でもつながる視聴者との絆

行動が制限されたコロナ禍では、独自企画に挑む一方で、視聴者からのフィードバックが大きな支えとなった。彼らの動画をもとに旅程を立てた人や、11日間の京都旅行を完全にトレースしたファンもいたという。ウェイン氏はライブ配信を頻繁に行っていた時期があり、多くの視聴者の名前を覚えている。新宿での食事会や、子連れのファンとの面会など、思い出深い交流も少なくない。

東京という永遠のテーマ

変化し続ける都市・東京を舞台に、「東京走著瞧」は常に新しいインスピレーションを受けてきた。現在、パオパオ氏は台湾、ウェイン氏は日本に住んでおり、テーマ別に役割を分担。干渉せず、尊重し合いながらも、同じ方向を目指している。

旅行系動画は今や飽和状態だが、2017年当時は動画で東京を紹介するスタイル自体が珍しかった。2人は手間やコストを惜しまず、映像の質を追求し続けている。

社会人として築いた信頼と分業

互いをプロとして尊重し、効率的に協働する関係性も、成功の理由の一つだ。学生時代からの友人ではなく、社会人として出会ったからこそ、適度な距離感と緊張感を保ちながら歩んできた。

​編集:田中佳奈

世界を、台湾から読む⇒

最新ニュース
出発前から旅気分!台湾・桃園空港「無料で楽しめる9スポット」が充実すぎると話題に
米国、対中輸出規制を一部緩和 EDAやジェットエンジンの供給再開へ
情報安全か全面監視か?中国の「デジタル身分証」導入へ、11億のネットユーザーデータが北京の手に
日米関税交渉の行方不明確 石破茂首相が再びトランプ大統領に反論「カリフォルニア米を購入済み」
東大卒でも報われない?学歴では超えられない「出身」と「ジェンダー」の壁
東京駅スタッフが本気で選んだ「推し土産スイーツ」ランキング!1位はあの焼きたてフィナンシェ
トイ・ストーリー×花火×歴史街区!台北「大稻埕サマーフェス」8月開催へ 台北の夜空に「埕彩千輪」咲く
Apple 脱中国?鴻海がインド工場の中国人スタッフ撤退へ 専門家「戦略調整の一環」
「台湾版ディズニー」嘉義に誕生へ オーレボー夢の城が7月試験営業開始!チケットや園内マップも公開
台湾発3大航空会社が燃油サーチャージ値上げ 7月7日から最大6.5ドル増加へ
大阪アジアン映画祭、2025年は万博連動の夏開催へ
大阪市中央公会堂でアジア映画を無料上映 インド・モンゴル・ベトナムの傑作3本を一挙公開
AI進化、7か月で能力倍増 人類に壊滅的リスクの可能性も研究が警鐘
台北の人気観光地ランキングTOP10発表 1位は「西門町」、日本人にも人気の台北101は2位に
「ディズニーストア 東京ディズニーリゾート店」、7月6日にリニューアルオープン
舞台裏》親密な台日関係に潜む「人材の空白」 外交人材の継承に懸念
7月5日に巨大地震?「M9」の可能性は0.01% 専門家が冷静に分析、津波リスクも解説
石破茂首相の「アメリカ車は左ハンドルで燃費が悪い」発言が話題に アメリカ車はなぜ日本で不人気なのか?
サムスン、テキサス工場で受注ゼロ TSMCとの格差拡大、2ナノ計画も延期に
トランプ氏「この国をロケットに」大型減税法案が成立、移民対策に24兆円投入へ
評論:台湾・賴清徳総統が「米軍との協力すべて公開」と明言 対中緊張さらに高まる恐れも
台湾、中国出身配偶者に3か月ルール厳格化、提出遅れで身分証取消も 陸委会「例外認めず」
台湾初の合法原住民市場「峰市集」誕生 原住民族の暮らしと食が集う文化と観光の新拠点に
舞台裏》新疆が台湾人に大人気に?「合掌村」「イエローストーン」が一度に楽しめる旅先とは
「相互関税」猶予は7月9日で終了 関税交渉は「前払い制」へ?トランプ氏、未合意国に「関税通知書」送付へ
米国、ペトリオット供給を一時停止 ウクライナ激怒「ロシアの侵略を助ける行為」 トランプ政権は「米国第一」と正当化
台湾侵攻は中国に壊滅的打撃? ロシアの衰退に乗じた「北方戦略転換」説に注目
台風4号「ダナス」発生か 台湾接近で週末に暴風・大雨の恐れ
米下院可決「トランプ大きくて美しい法案」国債3.4兆ドル増、1200万人が医療保険喪失、貧困層に深刻な影響
『エコノミスト』が解説:トランプの「大きくて美しい法案」ー米国債急増、赤字拡大、最大の代償を払うのは貧しいアメリカ人
インタビュー》米国「防衛費増やせば関税下げる」 台湾に「イスラエル・モデル」提案も
米越が貿易協定 「原産地偽装」に40%課税も 対中対策の新たな一手か
米越が関税協議で合意も、日本は譲歩拒否 石破首相「関税より投資、防衛費は自ら決める」
特別インタビュー》米軍、イラン核施設を精密爆撃 NATO覚醒で全加盟国「防衛費5%」合意へ
鹿児島・トカラ列島で地震1000回超 7月5日大地震説に現実味?専門家「M7級の確率7割」
評論:新台湾ドルが急騰 背景に米台交渉の「静かな取引」か
台湾文化の精髄が大阪に集結 安藤忠雄設計空間で「台湾スペクトル」展開催へ
グラビアから再出発、小倉ゆうかさんが語る「原点」と「台湾との縁」
台北市元副市長の妻が転落死 拘留中の夫を支え続けた末の悲劇
イラン、ホルムズ海峡に機雷準備か 米国が機雷搭載を確認「封鎖の現実味」と警戒強める
医薬品原料の5割が中国依存 ジェネリック薬協会が危機感「薬なければ治療できない」
習近平氏がBRICS首脳会議を初めて欠席 「傀儡化」や「権力移行説」に現実味との見方も
舞台裏》妻の訃報に法廷で崩れ落ちた元副市長・彭振聲氏 民眾党が全面支援へ
呉典蓉コラム》頼清徳総統は「団結」の名を借りて分断を広げたのか?野党は「リコール側翼」と猛反発
トランプ氏が爆弾発言「イスラエルが60日停戦に同意」と一方的表明 ハマスに「最終提案」受け入れ迫る
秋田市長が台湾・台南訪問 友情の証「秋田街」誕生へ 教育・スポーツ交流も加速
日米韓の14大学で発覚! 学術論文に秘密指令を埋め込み、AIが高評価を出す
ベトナムが富を目指す!二重国籍制限を緩和し、海外の600万人の優れた国民に「祖国への帰還呼びかけ」
イラン反体制派指導者、抵抗運動が広がる 神権体制崩壊が始まったとの見方示す
インタビュー》台湾海峡の緊張はなぜ続くのか 野党幹部・元高官インタビューで見えた対話の壁