台湾文化部が主催する「We TAIWAN 台湾文化 in 大阪・関西博覧会」の主要イベント「映画の夜」が、8月15日夜に大阪のVS.会場で開かれた。中華文化総会が初めて大阪に移した「TAIWAN PLUS」も「台日新風」をテーマに掲げ、大阪博覧会の理念「輝く生命の未来社会を創造する」と呼応。クラシックから新作までの上映を通じて、日本の観客に台湾映画の歴史と現代の創意を伝えた。会場には文化部政務次長の王時思氏、国家映画・視聴覚文化センター理事長の褚明仁氏、さらに金馬影后の楊貴媚氏が出席し、上映後のトークや交流も行われた。
褚氏はインタビューで、本年度のテーマを「台湾映画の最高の正義」とし、1960年代から現代に至る重要作品を選定したと説明。原住民タイヤル語で撮影され、女性かつ原住民として初めて金馬賞監督賞を受賞した陳潔瑤監督の『ハヨン一家〜タイヤル族のスピリット』、12年をかけて独立書店を記録した侯季然監督の『ポエトリーズ・フロム・ザ・ブックストアズ』などが上映され、観客は映像を通じて台湾社会や文化の多様性を体感した。

文化部政務次長の王時思氏は「映画は文化を表現する重要なインターフェースであり、短時間で過去・現在・未来を同時に内包できる」と指摘。今回のプログラムは古典と新作を幅広く取り上げ、歴史を振り返ると同時に未来の文化の姿を示したと述べた。会場ではVR360作品も披露され、人権や環境、正義をテーマに、鑑賞者に文化的価値を考えさせる取り組みも行われた。
キュレーションチーム代表の林昆穎氏は、日台双方の協力について「日本側の精密で厳格な作業と、台湾側の柔軟な対応が融合し、展示はより完成度を高めた」と振り返った。今回の展示は単なる作品発表にとどまらず、国際的な文化制作のモデルになったと強調した。

楊貴媚氏は「映画は見られ、尊重され、記憶されることが何より大切。大阪で観客と作品を共有できたことを嬉しく思う」と語った。彼女は出演作『恋人たちの食卓』について「飲食は生活そのものであり、男女は人生を映す。料理の味は人生の意味や感情を伝える」と説明し、鑑賞を通じて観客が家族の食卓を思い返し、台湾を訪れて美食や文化を体験することを期待すると述べた。
また、8月15日・16日には大阪市中央公会堂や中之島公園、VS.会場を舞台に、「マジカル台湾——台湾文学展」ガイドツアーやVR360『記憶の風景』上映、文学対談「神と獣のはざまで」、映画『恋人たちの食卓』上映とトークセッションなど多彩な企画が実施され、台日文化交流の深化が図られる。
編集:梅木奈実 (関連記事: 大阪「We TAIWAN」終盤戦、台湾発「魔法のテント」大阪に上陸 残り5日でほぼ満席、没入型物語体験が話題 | 関連記事をもっと読む )
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