マスク氏、新党構想を棚上げ ヴァンス副大統領と関係重視、2028年大統領選支援も視野

2025-08-21 13:04
2024年10月5日、ペンシルベニア州バトラーで行われた選挙集会で、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏が、イーロン・マスク氏の応援演説に拍手を送った。(AP通信)
2024年10月5日、ペンシルベニア州バトラーで行われた選挙集会で、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏が、イーロン・マスク氏の応援演説に拍手を送った。(AP通信)
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米実業家イーロン・マスク氏は今年7月、SNS「X」で新党「アメリカ党(America Party)」の設立を宣言し、「米国の有権者に自由を取り戻す」と強調した。しかし米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』は19日、同氏が新党計画を実質的に停止し、事業への専念や共和党有力者との対立回避を優先していると報じた

トランプ氏との対立から創党表明へ

マスク氏は今年前半、「大きくて美しい法案(One Big Beautiful Bill)」をめぐってトランプ大統領と衝突。法案を「浪費的」と批判し、トランプ氏の再選は「自分の支援なしには不可能」とまで発言した。法案可決後には「二大政党に失望する有権者のため」として新党設立を公言していた。

ヴァンス副大統領との関係を重視

WSJによると、マスク氏は創党を検討する中で、副大統領JD・ヴァンス氏との関係を強く意識していた。ヴァンス氏は「MAGA(Make America Great Again)」運動の後継者と目されており、マスク氏は「新党を立ち上げればヴァンス氏との関係を損なう」と周囲に語ったという。関係者によれば、マスク氏はヴァンス氏が2028年大統領選に出馬する場合、自身の巨額資金で支援する可能性も示唆している。

準備は進まず、会合も中止

マスク氏は2024年選挙で既に約3億ドルを投じ、トランプ氏や共和党候補を支援している。ただしWSJによれば、新党設立に向けた実際の準備は進んでおらず、各州での政党登録なども行われていない。7月末には第三党運営団体との会合も直前にキャンセルされ、「事業に集中する」と説明したという。

2025年8月13日。アメリカ副大統領ヴァンス(JD Vance)が英国グロスターシャーのフェアフォード空軍基地で第501戦闘支援連隊の飛行士及び家族に演説を示した。(AP)
2025年8月13日、イギリス・グロスターシャー州フェアフォード空軍基地にて。アメリカのJD・ヴァンス副大統領が、第501戦闘支援連隊の隊員とその家族に向けて演説を行った。(AP通信)

共和党にとっては朗報

もしマスク氏が第三政党設立を断念すれば、共和党にとっては票割れを防げる好材料となる。歴史的に第三党は「票を分散させる存在」とされてきたからだ。ヴァンス氏にとっても、マスク氏の支援を確保できることは将来の大統領選に向けて大きな意味を持つ。2024年の選挙では、マスク氏が設立した政治行動委員会「America PAC」がペンシルベニア州などの激戦州で数百万ドルを投じ、トランプ氏を後押ししていた。

マスク氏とトランプ氏、関係改善の兆し ヴァンス氏も「復帰に期待」

副大統領のJD・ヴァンス氏は今月、保守系サイト「Gateway Pundit」のインタビューで「トランプ氏や保守派と決別するのは誤りだった」と述べ、「期中選挙の頃には(マスク氏が)我々の側に戻ってくることを望んでいる」と語った。 (関連記事: TSMCがテスラの165億ドル契約を逃す!マスク氏が新チップ製造を「この企業」に依頼 関連記事をもっと読む

実際、マスク氏とトランプ氏の間では「休戦」とも言える状況が生まれており、双方がSNS上で非難を応酬することはなくなった。マスク氏も公然とトランプ氏や共和党を批判しなくなり、トランプ氏は7月末、自身のSNS「Truth Social」に「マスク氏と彼の事業の発展を願う」と投稿。「それは国のためにも良いことだ」と述べ、和解ムードをにじませた。

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