舞台裏》台湾・国民党主席選 盧秀燕台中市長は出馬せず 朱立倫主席への反発強まる

2025-08-20 16:02
台湾・台中市長の盧秀燕氏(写真)は次期党主席選への立候補を否定。国民党の党首人事をめぐる混乱はなお続いている。(写真/劉偉宏撮影)
台湾・台中市長の盧秀燕氏(写真)は次期党主席選への立候補を否定。国民党の党首人事をめぐる混乱はなお続いている。(写真/劉偉宏撮影)
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台湾で8月23日に予定される第2波リコール投票では、社会的雰囲気や選挙情勢を踏まえ、リコール対象となっている国民党の立法委員7人全員が信任を得る見通しだ。半年以上にわたり重圧を受け続けてきた国民党は、最終的に「31対0」という圧倒的勝利を収める可能性がある。外部の危機はひとまず乗り越えられる形となるが、次期党主席をめぐる党内の混乱はむしろ激化している。現主席の朱立倫氏は7月26日の第1波リコール後、改めて「交代する」と表明し、再任を求めない意向を示した。だが、後継として最有力視されていた盧秀燕台中市長が出馬を否定したことで、10月に予定される党主席選は不透明感を増している。

盧氏の不出馬意向が早くも党内に広がり、不安と焦燥感が広まっている。関係者によれば、盧氏は8月23日のリコール投票終了当日に、正式に立場を表明するとみられる。すでに国民党議員との会合では「台中市長の職に専念する」と本人が明言しており、翻意の余地はないとされる。ただし、次期主席選にどの程度関与するのかについては、まだ結論を出していないという。

20250818-国民党主席朱立倫(中)18日、国民党の原子力三世公投説明会に出席
現任の朱立倫党主席(中央)は、7月26日の第1波リコール投票後に「バトンタッチする」と公言し、再選を目指さない考えを示した。(写真/劉偉宏撮影)

「2028年総統選に直行」盧氏の狙い

会合に同席した若手議員によると、盧氏は「2028年の総統選を目指す」と明言したという。台中市政で成果を示し、支持率を高めることが最終的に総統選で現職の賴清德氏に挑む最善策と考えている。韓国瑜元高雄市長(2019年)や侯友宜新北市長(2023年)が任期途中で総統選に出馬し「市政放棄」と批判され支持率を急落させた前例を踏まえ、同じ轍を踏むつもりはない。

さらに、今後の大きな選挙の変数とされる「藍白合作」(国民党=藍営と民衆党=白営の連携)についても、盧氏はすでに民衆党との関係が良好で、党主席職を通さずとも協力は可能だと自信を示している。

20230723-国民党大統領候補の侯友宜(右)、前高雄市長韓国瑜(左)23日、国民党第21回全国党大会に出席
台中市長の盧秀燕氏は、市政をしっかりと運営し高い評価を維持することを優先しており、韓国瑜氏(左)や侯友宜氏(右)のように任期途中で大統領選に出馬して「市政放棄」と批判され、支持率が急落する失敗を繰り返さない方針だ。(写真/顏麟宇撮影)

新党主席の行方は国民党の政権奪還を左右 盧秀燕氏「無関心ではいられない」

盧秀燕氏を支持する国民党の有力者は、次期党主席選をめぐり三つのシナリオを挙げる。第一に盧氏が出馬せず朱立倫氏が続投、第二、盧氏が出馬せず朱氏は交代、盧氏が後ろ盾となる代理候補が勝利、第三に盧氏も朱氏も不出馬で盧氏が「党内民主を尊重する」として関与を避ける、の三つだ。この有力者は「第三の可能性は最も低く、実現すれば党にとって大災難になる。現実的には一か二のいずれかで、最終的には盧氏の判断次第だ」と語る。

さらにこの人物は「盧氏が党主席に立候補しないのはまだ理解できるが、『誰が次期党主席になっても構わない』と突き放すような態度は、党内で強い不満を招く」と指摘。盧氏は次期総統候補として最有力視され、国民党の「共主」となる立場にある以上、党の進路を無関心でいることは許されない。もし盧氏が党主席選を傍観し、結果的に孫文学校の張亜中総校長ら「親中・統一派」に党権を握らせれば、路線対立や党務混乱は避けられず、党のイメージは大きく失墜しかねない。その場合、盧氏自身の総統選戦略にも深刻な悪影響が及び、「本来責任を負うべき立場で逃げた」と党内外から批判が集中するのは必至だと警鐘を鳴らす。

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