<独占インタビュー> 台湾インディーズバンド浅堤ボーカル・依玲さん、初のエッセイ集を刊行

2025-08-16 17:44
インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲さんが初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。(写真/依玲さん提供)
インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲さんが初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。(写真/依玲さん提供)
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台湾インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲(イーリン、本名・蔡依玲)さんが、このほど初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。バンド活動を通じて社会に発信してきた彼女が、今度は文章で、自らの成長や生活の記憶を率直に描き、ステージの外にある等身大の姿を表現している。

インディーズバンド「浅堤」のボーカル兼ギタリスト、依玲(イーリン)が、このほど初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。依玲
インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲さんが初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。(写真/依玲さん提供)

風傳媒の独占インタビューで依玲さんは、書名は出版の1か月前に決まったもので、担当編集者が占い師に相談するという一幕もあったと明かした。結果として、彼女の性格や作品テーマにぴったりと合致し、作中に繰り返し登場する「占い」というモチーフとも響き合ったという。

依玲さんは台湾の離島、澎湖に生まれ、高雄で育ち、大学時代に仲間とともに「浅堤」を結成。ロックやフォーク、都市の視点を取り入れた音楽スタイルと繊細な歌詞で注目されてきた。世間では「バンドのボーカル」として知られるが、以前から「書くこと」に強い情熱を持っていた。

インディーズバンド「浅堤」のボーカル兼ギタリスト、依玲(イーリン)が、このほど初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。依玲
インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲さんが初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。(写真/依玲さん提供)

「楽曲は時間の制約があり、歌詞は簡潔でなければならない。バンド作品はエンターテインメント性が強く、共同作業では自分の感情を抑えることも多い。でもエッセイは、言葉を尽くして自分を表現できる。人生の歩みを整理する作業にもなり、ずっと探してきた“自分に合う表現手段”の一つかもしれない」と語った。

インディーズバンド「浅堤」のボーカル兼ギタリスト、依玲(イーリン)が、このほど初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。依玲
インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲さんが初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。(写真/依玲さん提供)

半年で全編を書き上げた執筆過程は「論文を書いているようだった」と振り返る。感情に揺さぶられて泣きながら書き、落ち着いてから理性的に推敲することもあったという。特に「三月に歌を一曲」という章では、コロナ禍で仲間を失った出来事と、新しい命の誕生が同じ三月に重なり、「別れ」と「誕生」を春分の季節に重ねて描いている。

インディーズバンド「浅堤」のボーカル兼ギタリスト、依玲(イーリン)が、このほど初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。依玲
インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲さんが初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。(写真/依玲さん提供)

依玲さんは音楽でも文章でも「普遍性」や「公共性」を意識している。エッセイには、澎湖・高雄・台北での暮らしや、90年代生まれとしてY世代からZ世代へ移り変わる中での社会的背景や世代間の変化が綴られている。
「読者には、物語の中に自分の居場所を見つけてほしい」と依玲さん。

インディーズバンド「浅堤」のボーカル兼ギタリスト、依玲(イーリン)が、このほど初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。依玲
インディーズバンド「浅堤(あさづつみ)」のボーカル兼ギタリスト、依玲さんが初のエッセイ集『灯りが暗いときに自分に歌を聴かせる』を刊行した。(写真/依玲さん提供)

本を読んだ友人やバンド仲間からは「歌詞や曲作りの背景がよりよく分かった」「同じ曲でも新しい意味を感じられた」との感想が寄せられた。「音楽と文章が互いに呼応するのが嬉しい」と微笑んだ。 (関連記事: 舞台裏》台湾インディーズ音楽界と民進党の深い縁 国民党と交わらない理由とは 関連記事をもっと読む

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