米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は15日、アラスカで首脳会談を行い、ロシア・ウクライナ戦争の停戦について協議する。英紙『ガーディアン』によると、トランプ氏は13日、会談が停戦に至らなければプーチン氏は「非常に深刻な結果」に直面すると警告。一方で、合意に至れば米露ウクライナによる「三者会談」を推進する考えも示した。
『エコノミスト』は、会談直前の敏感な時期にロシア軍がウクライナ防衛線の突破を続けていると指摘。トランプ氏は「ウクライナの領土割譲による和平」は議題にしないと表明しているが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領や欧州の同盟国は15日の会議に出席しないため、具体的な交渉内容は不透明だ。
トランプ氏が再び発言:「ロシアとウクライナが停戦しなければ、プーチンに大惨事が待っている!」
トランプ氏とプーチン氏の会談は、アラスカ州アンカレッジの「エルメンドルフ・リチャードソン統合基地」で行われる予定だ。13日、トランプ氏は再び「停戦合意に至らなければプーチン氏は重大な結果を招く」と発言。成功すればゼレンスキー氏を交えた三者会談を行う意向も明らかにした。
同日午前、ドイツのメルツ首相の司会で、欧州各国首脳とトランプ氏、ゼレンスキー氏によるビデオ会議が実施された。欧州側は「いかなる交渉も停戦が前提であり、ウクライナが協議に参加し、安全保障を確保すべき」と主張。トランプ氏は「概ね同意」したとされるが、同盟国は依然として、米国がゼレンスキー氏に領土割譲を迫る可能性を懸念している。
『ガーディアン』によれば、トランプ氏は欧州首脳に対し「アラスカ会議の最優先事項は停戦」であり、ウクライナが全面的に参加しない限り土地に関する譲歩は行わないと保証した。しかし、ゼレンスキー氏や欧州同盟国は15日の会議に出席しないため、トランプ氏がプーチン氏とどのように話を進めるかは不明だ。
停戦以外にも、プーチン氏は会談を通じて国際的な受容を回復することを目指している。『エコノミスト』によると、アラスカでの米露交渉は停戦だけでなく、米露間の外交・商業関係の正常化、経済制裁解除、さらには北極圏やエネルギー分野での協力まで含まれる可能性がある。ロシア政府高官は米国からの投資や貿易拡大に強い関心を示している。

エコノミスト:会談前の最悪のタイミング
アラスカでの米露首脳会談を前に、ロシア軍はウクライナで攻勢を強めている。英誌『エコノミスト』は「これが最悪の交渉時期」とし、ウクライナ東部の陥落地域に展開するロシア軍が北へ約10キロ進出、ウクライナ軍の防衛線を突破し、重要な補給路を遮断。ドネツク州全域の制圧を狙っていると報じた。
ウクライナ軍は依然として敵の正確な位置を把握できず、現地の将校は防御態勢の不備や指揮の遅れ、人員不足が防衛線の再構築を妨げていると指摘。精鋭部隊が緊急派遣されたが、兵士たちの間では「ロシアは戦闘を継続する」との確信が強まっている。彼らは、トランプ氏がウクライナを弱体と誤解し、ロシアの残虐さを認識しないのではないかと懸念。ドローン部隊の指揮官は「敵の条件をのむ停戦は悪い和平だ」とし、もし停戦が成立すれば軍服を脱ぎ二度と着ないとまで語った。