調査》台南災害救助遅れ 総統地元で指揮混乱と不満

2025-08-13 11:55
台南を襲った連続的な天災は深刻な被害をもたらし、中央と地方政府の対応にもほころびが見え始めた。(写真/台南市政府提供)
台南を襲った連続的な天災は深刻な被害をもたらし、中央と地方政府の対応にもほころびが見え始めた。(写真/台南市政府提供)
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台風ダナスが南部を襲い、家屋の損壊や道路の寸断を引き起こし、数週間にわたる救援の遅れと復旧の混乱をもたらした。この災害により中央と地方の統治の欠陥が一層明らかになり、静かでありながら現実の統治の断層を浮き彫りにした。極端な気候が常態化する中、台湾の災害防衛システムは次の衝撃に耐えられるのだろうか。頼清徳総統の地元である台南での災害後の復旧の遅れと混乱を考えると、これは単なる風水害ではなく、制度の基盤を脅かす警鐘だ。

災害防衛の常規によれば、災害状況が地方の対応能力を超えた場合、中央はただちに部会を跨ぐ調整を開始し、現地に前進指揮所を設立し、国軍や公共事業部隊、清掃団体と物資を統合する必要がある。しかし、台南の前進指揮所は23日も経ってから設立され、貴重な復旧期をほとんど失った。中央と地方政府は一体何が問題だったのか。

賴清德総統が前進指揮所を視察し、中央と地方の機関および地元の建設、建築協会の代表と意見交換を行い、市長黄偉哲が同行した。各単位が共同で早期の被災地家屋再建を目指す。(写真/台南市府提供)
台南は頼清徳総統(中央)の地元であるが、今回の中央と地方政府の救援活動の効率は大きな疑問を投げかけられている。(写真/台南市政府提供)

被災者支援の待ち時間延び続け 指揮所の運営は行き詰まり

関係者によれば、この空白期間中、渓北や沿岸部の被災が甚大な集落は自力で救援に当たるしかなく、道路は7日間封鎖されたままだった。中央政府はヘリコプターを派遣しての調査も行わず、高空からの映像による道路封鎖や浸水状況の把握もなかったという。多くの被災者は立法委員らに対し、投入される資源の優先順位が判断されていないと不満を訴え、村里長は自らバイクや重機を運転して道路の障害を取り除き、土嚢を運び、排水を確保するなどの作業に追われ、「待ち続けるうちに気持ちが冷めてしまった」と語った。

台南市議員の蔡育輝氏は、中央の指揮所がようやく現地に入ったものの、実態は行政窓口のように報告の受理やデータの送信にとどまり、即時の指示や調整は行われなかったと指摘した。作業班の調整や清掃車両の派遣、国軍の投入など、すべてが段階的な承認を要し、現場の問題に対する回答は「もう少し待ってほしい」というものばかりで、実際には堂々巡りのように事態が停滞していたという。

20250715-台南七股の傾いた電柱。(顔麟宇撮影)
中央と地方政府の救援・復旧の動きが鈍く、多くの住民がまず自力で対応した。写真は台南市七股区。(写真/顏麟宇撮影)

中央救援の遅さ 地方政府の計画不在

中央の遅れに加え、地方政府の態度と能力もまた失望の念を抱かせるものであった。複数の局所職員が、台南市長黄偉哲氏とのコミュニケーション不足や指示の曖昧さ、行政命令の計画性が欠けていることを密かに不満を訴えていた。これにより各部門はそれぞれのペースで行動し、一致したリズムが取れなかった。 (関連記事: 南台湾でアスベスト被害拡大 台風・豪雨で「静かな健康災害」発生 関連記事をもっと読む

関係者によれば、台南市政府は被災者支援のため「合同サービスセンター」を設置したものの、養護制度の形を取り、各局処からの派遣は平均2、3人、多い日でも1日1人のみの場合があり、しかも日替わりで人員が交代していた。そのため被災者は毎回同じ被害状況を繰り返し説明しなければならず、現場側も新任者への研修を何度も行う必要があった。一方で区公所間の横の連携は不十分で、ボランティアが自主的に現地入りしても、器具の在庫確認や配分が間に合わず、ただ待たされる場面が多かった。側溝の泥土除去、修繕作業の調整、補助金申請などの手続きは混乱し、住民が「申請できる」と案内されても、方法や必要書類を説明できる者はおらず、情報は断片的に分断され、全体を把握する責任者がいない状態であった。

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