台湾・中央研究院の廖俊智院長の任期が2026年6月20日に満了するのに合わせ、院側は規定どおり院長選考を正式に始動。候補者の推薦募集は7月1日に始まり、締切は9月30日とされている。関係者によれば、中央研究院の特聘研究員・陳建仁氏がすでに候補として推薦されており、副総統や行政院長を歴任した経歴から、次期院長の最有力と目されている。
中央研究院は6月20日までに、数理科学、工程(工学)科学、生命科学、人文・社会科学の各分野と研究者代表からなる計15人の院長選考委員会を発足。陳建仁氏は生命科学分野から委員に選ばれ、その後の互選で前院長の李遠哲氏が召集人、陳氏は副召集人に選出された。
注目されたのは、陳氏が9月中旬に副召集人を辞任したことだ。関係筋によると、同氏は院長候補として正式に推薦を受けている。選考規程第7条では、選考委員が院長候補に推薦され本人が同意した場合、その時点で選考委員の資格を当然に失うと定めている。
選考委員会は発足後6カ月以内(12月20日まで)に、少なくとも4人の候補者を順位付きで並べた推薦リストと推薦理由を評議会に提出。評議会は規程に基づき3人を選び、その最終候補を頼清徳総統に送付する。最終的な任命は総統が行う流れだ。
陳氏は中央研究院副院長を務め、米国科学アカデミー(NAS)会員でもある。政治面では衛生署長、国家科学委員会(国科会)主任委員、副総統、行政院長を歴任。とりわけ党政との関係では、2021年に蔡英文前総統の要請で民進党に入党し、翌22年7月には台北市長選で陳時中氏の選対主任委員を務めた。こうした厚い学術的実績と豊富な政治経験を兼ね備える同氏は、頼清徳総統にとって「簡単には断りにくい」人選との見方が強く、他の有力候補にとっては「陪席」に回りかねない状況を踏まえ、慎重な判断が求められている。
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