台湾の国立政治大学は2025年9月21日、故・安倍晋三元首相を記念する「安倍晋三研究センター」を開設した。安倍氏の誕生日であり「国際平和デー」にあたるこの日に合わせた設立は、台日関係の歴史的意義を象徴するものとなった。開設式典には頼清徳総統、安倍昭恵夫人、国家安全会議の呉釗燮秘書長ら台日双方の政要が出席し、この重要な瞬間を見届けた。
頼清徳総統「台海の平和は安倍晋三のおかげ」
式典で頼清徳総統は、安倍氏の功績が日本国内のみならず台湾、さらには国際社会にまで及んだと強調。「台湾海峡の平和が長く維持されているのは安倍晋三氏の遠見によるものであり、台海和平の最大の功臣だ」と述べた。
さらに、安倍氏がドナルド・トランプ米大統領の初就任前に訪米し、インド太平洋戦略や日米豪印の「Quad(クアッド)」構想を提示したことが、現在の国際秩序に大きな影響を与えたと評価。「安倍晋三こそ国際級の政治家であった」と語った。
経済・災害支援・コロナ禍における台湾への貢献
頼総統は、安倍氏が日本に残した「アベノミクス」による経済的功績を紹介しつつ、台湾への深い友情にも触れた。2016年の台南地震では即座に支援の意思を示し、花蓮地震や新型コロナ流行時にはワクチン支援を行うなど、度重なる困難に際して台湾を支えてきた。
また、台湾産フルーツが輸出困難に陥った際には、自ら映像メッセージを通じて日本市場での販売促進に協力。台湾農産物の消費拡大にも貢献したと振り返った。
「安倍晋三研究センター」が示す未来
頼総統は最後に「安倍晋三氏の影響力とビジョンは今も息づいている。研究センターの設立は、その生涯の功績を記念し、台日協力と世界平和をさらに深化させる象徴になる」と語った。
今回のセンター開設は、安倍氏が遺した理念を受け継ぎ、台日関係の新たな里程碑として注目されている。 (関連記事: 特集》首相を見守った台日友情 安倍派の知られざる支え手 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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