陸上の世界選手権東京大会で男子20キロ競歩を制したブラジル代表カイオ・ボンフィム選手(34)が、レース中に結婚指輪を紛失するハプニングに見舞われた。しかし日本の市民や大会関係者の協力によって指輪は無事に発見され、帰国直前に本人の元へ戻るというドラマチックな結末を迎えた。
レース中のアクシデント
9月20日に行われた男子20キロ競歩。ボンフィムはスタート時に左手薬指に結婚指輪をつけていたが、3キロ付近で失くしたことに気づいたという。レース中は「金メダルを獲れば妻も怒らない」と自らを奮い立たせ、後半にスパート。見事金メダルを獲得した。
しかしレース後のインタビューで指輪紛失を告白。「助けてください」と日本の観客に捜索を呼びかけた。SNSでもニュースが拡散し、多くの人が捜索に協力する事態となった。
SNSでの拡散と拾得情報
大会当日の夜になっても見つからなかった指輪だが、翌21日朝、SNS上で「コース付近で指輪を拾った」という情報が寄せられた。指輪は一時大阪に届けられた後、大会関係者を通じてボンフィムの宿舎に運ばれることが決まった。
同日午後6時頃、宿舎に指輪が到着。折り紙に包まれた指輪を手渡されたボンフィムは、その場で「Yeah!」と声を上げ、左手薬指に再びはめて熱いキスをした。さらに日本語で「アリガトウ」と感謝を伝えた。
特別な指輪の価値
ブラジルのスポーツメディア『Globo Esporte』によれば、指輪はボンフィムの両親から受け継いだ計6つのリングを溶かして作られた特別なもの。本人は「本当に助かった」と安堵の表情を見せた。
日本国内外で広がる称賛
この出来事は「世界陸上版ロード・オブ・ザ・リング」としてネットで大きな話題となり、「日本でなくしたからこそ見つかった」「日本のホスピタリティは本当に素晴らしい」と国内外から称賛の声が相次いだ。X(旧ツイッター)では「指輪が無事に戻ってよかった」「帰国直前に間に合ったのが奇跡」といったコメントが寄せられた。
帰国の途へ
ボンフィムは金メダルと失而復得の結婚指輪、そして日本人への感謝を胸に、21日夜に帰国の途についた。「日本人を信じていた」という言葉どおり、1日半に及んだ騒動は奇跡的な結末を迎えた。
今回のエピソードは、世界大会の舞台裏で生まれた「人と人とのつながり」を象徴する出来事として、多くの人の記憶に残ることとなった。
編集:梅木奈実 (関連記事: 東京2025世界陸上連動イベント「TOKYO FORWARD」開催へ 東京都が狙いと魅力を語る | 関連記事をもっと読む )
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