野田佳彦代表、FCCJで会見 参院選を「事実上の敗北」と総括 物価高対策・外国人政策・外交安保で具体策を提示

立憲民主党代表の野田佳彦氏(元首相)は17日、FCCJで会見し、参院選を「事実上の敗北」と総括。物価高対策や多文化共生の必要性を訴え、石破首相との党首会談実現に意欲を示した。(写真/FCCJ提供)
立憲民主党代表の野田佳彦氏(元首相)は17日、FCCJで会見し、参院選を「事実上の敗北」と総括。物価高対策や多文化共生の必要性を訴え、石破首相との党首会談実現に意欲を示した。(写真/FCCJ提供)

立憲民主党代表で元首相の野田佳彦氏は17日、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を開き、参院選の総括や新執行部の方針、物価高対策、外国人政策、外交・安全保障に至るまで幅広い論点について語った。2011年から2012年に首相を務めた経験を持つ野田氏は、最大野党の代表として「政権を担う準備」を強調し、石破茂首相(自民党総裁)との党首会談実現に強い意欲を示した。

立憲民主党代表で元首相の野田佳彦氏は17日、FCCJの記者会見で参院選を「事実上の敗北」と総括し、物価対策と多文化共生を強調するとともに、石破首相との党首会談に意欲を示した。FCCJ
立憲民主党代表の野田佳彦氏(元首相)は17日、FCCJで会見し、参院選を「事実上の敗北」と総括。物価高対策や多文化共生の必要性を訴え、石破首相との党首会談実現に意欲を示した。(写真/FCCJ提供)

会見では物価や外国人政策から外交安保まで活発に議論が交わされた。野田氏は、野党代表であると同時に元首相という立場を踏まえ、具体的な政策と政権構想を示した。冒頭、7月の参院選について「Hop(衆院)からStep(参院)には進んだが、Jump(次の衆院選)にはつながらなかった。事実上の敗北だった」と総括した。

その理由については「右派ポピュリズムの勢いが強まり、争点を奪われた。若い世代に十分なメッセージを届けられなかったのではないか」と自己分析。さらに「昨年の衆院選では議席を増やしたが、力を発揮しきれなかった」と振り返った。10日に発足した新執行部については「安定と刷新の両立」と位置づけ、「外交や財政に精通した人材を配置する一方で若手も登用した。規制政党のイメージを払拭し、次の衆院選で政権交代を目指す体制を整える」と強調した。

物価高対策については、立民が掲げる「食料品の消費税ゼロ」「ガソリン・軽油価格の抑制」を改めて訴えた。「ガソリン暫定税率を廃止すれば約1兆円の税収減になる。政府は増税で穴埋めしようとしているが、それは筋が違う」と批判。そのうえで「与野党の党首会談を早期に開き、給付付き税額控除をどう加速させるか整理することが大事だ」と述べ、石破首相の在任中に協議を前進させたい意向を示した。また「石破氏の退任までに結論が出なければ、新体制に協議を引き継ぐことを確認したい」とも語った。

外国人政策をめぐる質問に対しては「外国人排斥の言説が広がり、治安悪化と結びつける声もあるが、事実に基づき断固反論する」と強調。さらに、法務省の報告書で「2070年に外国人人口が10%に達する」との試算が示されたことについて、「数字を上限とすべきではない。必要な人材を現実的に受け入れることが重要だ」と述べた。不動産投資の弊害に関しては「冷静に是正する必要がある」としたうえで、「多文化共生社会の実現こそ目指すべきだ」と力を込めた。

外交・安全保障に関しては、「中国への対応をどう考えるか」「首相指名選挙に臨む意思はあるのか」との問いがあった。野田氏は「力による現状変更は断じて許さない。ウクライナや中東も同様で、確実な抑止力と外交努力の両立が基本だ」と回答。首相指名については「機会があれば挑戦したい。ただし、野党間で政権構想を議論することが前提だ」と述べた。

さらに「日韓関係や近隣諸国にどんなメッセージを送るか」と問われると、「韓国との緊密な協力は経済・安保の両面で不可欠だ」と強調。石破政権が韓国訪問に消極的だったことを引き合いに出し、「立憲民主党は与野党を問わず議員交流を続けてきた。今後も安全保障や経済で連携を深めたい」と語った。

質疑応答を通じて、野田氏は「与党との交渉を梃子に野党協調を進める」との戦略を繰り返し訴えた。これまでに与党との協議はすでに5回行われているが、「自民党は具体案を示していない」と批判し、「次の衆院選では野党が誠実に調整し、一丸となって政権交代を実現する」と意欲をにじませた。

編集:田中佳奈

最新ニュース
「普通の物語」としての13年──香港出身riko氏、日本で歩んだ仕事・子育て・写真活動の軌跡
日本から台湾への旅行者数が急増 妻夫木聡が語る「第二の故郷」の魅力
円が急反発し、株式市場急落!日本銀行が据え置く中に2つの「意外」が投資家を驚かす
夏珍のコラム:龍應台氏が語る「平和」の行方 兵棋演習では勝てず、台湾社会に広がる不安
Nothing、シリーズCで2億ドル調達 企業評価額13億ドルに到達
海上保安庁、過去最大規模の「第4回世界海上保安機関長官級会合」に参加
東京駅「グランスタ東京」「グランスタ丸の内」で初の“栗スイーツフェア”開催
13社が連携し「日本OOHメジャメント協会」設立
フェアモント東京、初のクリスマスシーズンを彩る
静岡市、秋の紅葉スポットとライトアップイベントを発表
タクシーサイネージ「GROWTH」台湾初進出 LINE GO・yoxi提携で3,500台に導入開始
TGS2025初出展『YAOYA THE GAME』 八百屋を舞台にした異色アクションシミュレーションが登場
Level Infinite、TGS2025出展決定 世界初公開『モンスターハンターアウトランダーズ』試遊が実現
Winking StudiosとIndieArkがTGS2025出展へ 世界的スタジオと注目インディー新作が集結
adjoe、東京ゲームショウ2025に初出展 モバイルゲーム向け最新収益化ソリューションを公開
東京ゲームショウ2025注目出展 韓国発『HellPunk: Purgatorium』試遊&Moho最新アップデート公開
東京ゲームショウ2025、開幕直前情報を発表 コラボフード・公式グッズ・コスプレエリアも公開
東京ゲームショウ2025注目出展 次世代アケコン「Rushbox Click」先行販売&『We Were Here』Switch版発表
台湾憲兵部隊の舞台裏 スパイ摘発や軍紀問題で揺れ、蔡英文元総統の近侍が参謀長に起用
日本ゲーム大賞2025、詳細発表 本郷奏多さん&ハラミちゃん登壇 授賞式は9月23日イイノホールで
インタビュー》19年ぶりに中国共産党指導者へ再び呼びかけ 台湾元文化部長・龍應台氏「平和の最大の責任は強国にある」
池袋「GiGO総本店」が開業2周年 9月20日から記念キャンペーン開催
Nvidia、かつての覇者Intelと提携、ファンCEO「50億ドル投資」を宣言 新旧王者が米半導体を強化、チップ戦争の勢力図が劇変
クナイプ、新製品発売記念イベント「ドイツのくすり湯」 9月18日から大崎・金春湯で開催
トランプ氏と習近平氏が6月以来の直接対話へ 台湾問題とTikTok規制が焦点に
インタビュー》「平和教育」欠落する唯一の中国語圏 台湾元文化部長・龍應台氏「宝島のはずが、なぜ戦艦になったのか」
インタビュー》イスラエルも苦しみの連鎖 ガザ和平は幻想か 「対話こそ唯一の解決策」と平和学校主任が訴え
世界1000万人を魅了した「DRUM TAO」、京都駅前に専用劇場を開業へ 2026年春、ナイトショーで新観光拠点に
台湾立法院で民進党新体制発表 柯建銘氏が総召を続投、幹事長・書記長も決定
トランプ政権が台湾向け4億ドル軍事援助を一時停止 米中首脳会談への譲歩の恐れ
速報》台風18号(ラガサ)最新進路予測 北部も強風・豪雨に注意、沿岸部では10級超の突風か
気象予報》西太平洋に台風3つ同時発生 台風18号(ラガサ)、23〜24日にバシー海峡通過へ 台湾東部・南部は豪雨災害に厳重警戒
NVIDIA×Intel共同開発始動 RTX搭載SoCからカスタムx86 CPUまで多世代製品を計画
OpenAI、未成年専用「ChatGPT」導入へ 米訴訟受け安全対策を強化、保護機能も拡充
《ワシントン・ポスト》独占報道:トランプ氏、習近平氏との取引で台湾軍事援助4億ドル停止か
クナイプ「グーテエアホールング バスソルト」リニューアル アルニカ新配合で一部店舗先行発売
東京ゲームショウ2025に台湾のローカライズ企業「ミエトランスレーションサービス」が出展 キャラ名クイズや最新AI翻訳ソリューションを公開
ダークファンタジー×戦術RPG『Lootbound』、東京ゲームショウ2025で試遊可能に 毎回変化する迷宮と運命を体験
東京ゲームショウ2025で世界初の「感情駆動型AI」公開 OVOMINDが新技術と100万ドル支援プログラムを発表
東京ゲームショウ2025、会場マップを公開 幕張メッセ全館でeスポーツ・VR・インディーゲームを展開
山手線環状運転100周年記念フェス開催 復刻ラッピング列車や特別観光列車が登場
ニュウマン高輪、国際交流の玄関口として開業へ 表輝幸社長が語る未来像、鈴木和馬店長が描く現場運営
インタビュー》「これは戦争ではなくジェノサイドだ」台湾在住のパレスチナ学者・安海正氏が語るガザの現状
米保守派リーダー射殺事件 カーク氏はなぜ狙われたのか──容疑者の携帯メッセージ「彼の憎しみに耐えられなかった」
「AKOMEYA TOKYO」ニュウマン高輪に新店舗開業 米文化を中心に地域と世界をつなぐ拠点へ