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インタビュー》「これは戦争ではなくジェノサイドだ」台湾在住のパレスチナ学者・安海正氏が語るガザの現状 多数のガザ住民が再び家を離れ、ガザ市外へ避難を余儀なくされた。(AP通信)
国際社会が圧力を強める中でも、イスラエルは9月10日、カタールの首都ドーハへの空爆を開始し、停戦交渉や仲介へのわずかな希望を打ち砕いた。さらに16日にはガザ市への地上侵攻に踏み切り、その背後にはトランプ政権のアメリカが最大の支援者として存在している。
台湾社会においても、ガザの人道危機に対して同情と混乱が交錯し、複雑な世論が広がっている。長年台湾で暮らすパレスチナ出身の学者、アン・ハイゼン (Hazem Almassry)氏は『風傳 媒』のインタビューで「ガザで起きているのは戦争ではなく、ジェノサイドだ」と強調する。
ガザ出身のアン氏は、台湾で約9年生活し、現在は博士後研究員として植民地暴力、流離と抵抗の問題に取り組みながら故郷の声を発信している。彼にとって研究は学術領域にとどまらず、パレスチナをテーマとした文化・教育活動にも積極的だ。公開講座や映画討論、連帯運動を通じ、集団的抵抗と解放の可能性を信じ、歴史的責任と正義に基づく国際的な連帯ネットワークを構築し、より広範な平和対話を促したいと考えている。
国連の非難とイスラエルの免責 国連は16日に発表した報告書で、イスラエルがガザで「ジェノサイド」にあたる犯罪を行ったと認定した。しかしイスラエル政府はこれを「馬鹿げた主張」と一蹴した。とはいえ、2023年10月に戦争が始まって以来、ガザでは少なくとも6万4871人が死亡し、16万4610人が負傷、さらに数千人が瓦礫の下に取り残されているとされる。
ヨルダン空軍の輸送機から撮影されたガザ市街の惨状。(AP通信) アン氏は、イスラエルがカタールを攻撃したこと自体が、アメリカの庇護のもとで享受している「極端な免責」を示すものだと指摘する。
「イスラエルは責任を取ることなく、やりたい放題に行動できる」と安氏は語る。「それは戦略的なメッセージであり、地域で絶対的な優位を握っていること、どの国にでも攻撃を仕掛け、国際法をいかなる形でも破り、侵害をさらに拡大できることを示しているのだ。」
カタールの首都ドーハがイスラエル軍の空爆を受け、その映像とニュースは世界を震撼させた。(AP通信)
ハマス支配下のガザ:ある目撃者の記憶 ハマスの統治について問われると、アン氏は一瞬言葉を選びながらも、率直に答えた。最も頻繁に聞かれる一方で、最も敏感なテーマの一つだが、彼は真実を語ることを選んだ。
幼少期の彼は、街頭や市場、病院、大学に至るまで、日常のあらゆる場でハマスの存在を目にしてきた。そこに映っていたのは、外部が単純に「テロリスト」と呼ぶ姿とは違っていたという。
「私が子どもの頃に診てもらった小児科医は、ハマスの創設メンバーの一人だった。彼は無料で診療を続け、生涯を貧困の中で送り、最後はイスラエルに暗殺された。」
「もし本当にハマスだけが統治していたなら、生活は今よりも良かっただろう。彼らはパレスチナ社会の一部だからだ。」
戦火により、アン・ハイゼン氏の自宅も破壊された。(写真/アン・ハイゼン氏提供) ガザでは無情な砲火により、目に映るのは瓦礫と廃墟ばかりだ。(写真/アン・ハイゼン氏提供)
パレスチナ自治政府への失望 アン氏はまた、ガザの住民がヨルダン川西岸に拠点を置くパレスチナ自治政府に深く失望していると指摘する。
「自治政府は実質的にイスラエルの『外部委託業者』になり、イスラエルの利益を守っている。ガザを顧みず、西岸だけに集中しているのだ。」
そのため、多くのガザ住民は見捨てられたと感じ、怒りを募らせているという。
2025年9月15日、長年台湾に滞在するパレスチナ出身の学者アン・ハイゼン氏(Hazem Almassry)が『風傳媒』のインタビューに応じた。(写真/蔡親傑撮影)
「ガザに戦争はない、一方的な虐殺だ」 アン氏はガザで続く惨状を「戦争ではなくジェノサイドだ」と断じる。
「戦争とは本来、二つの勢力が向き合うものだ。しかしガザで起きているのは、一方的な虐殺にほかならない。」
彼によれば、加害者が自ら暴力をやめることはなく、外部の力が介入しなければ止められない。しかし国際社会は誰も本気で止めようとはせず、唯一行動できるアメリカは逆にイスラエルを全面的に支えている。
希望があるとすれば、イスラエルの政権交代により、新しい指導者が国際的な評価を考慮して虐殺をやめる可能性だと安氏は語る。
9月12日、国連総会はパレスチナとイスラエルの「二国家解決」を支持するニューヨーク宣言を採択。米国とイスラエルは反対票を投じた。写真はトランプ米大統領(左)とイスラエルのネタニヤフ首相による会見の資料写真。(AP通信) 国連総会は9月12日、142票の賛成、10票の反対、12票の棄権で、パレスチナ問題の平和解決と「二国家解決」を支持する決議を採択した。しかしアン氏は期待を寄せていない。
「二国家解決はすでに死んでいる。イスラエルは入植地を拡大し、もはや元に戻せない。国際社会はこの案を口実に、イスラエルの責任を免れようとしているだけだ。」
アン氏はインロンユンタイ文化基金会の招待を受け、9月20日に台北で開かれる「2025国際平和フォーラム」に出席し、「何が私の家庭と人生を破壊したのか?」と題して講演を行う予定だ。
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