2025年8月28日、イスラエル国会(クネセト)議長のアミール・オハナ氏と、人質ガイ・ギルボア・ダラル氏の父イラン氏、兄ガル氏が、日本外国特派員協会(FCCJ)にて記者会見を開いた。彼らは現在ガザ地区に拘束されているガイ氏の解放を求め、日本および国際社会に対し支援を呼びかけた。

オハナ議長は、イスラエルと日本の外交関係が73年にわたって続いてきたことに言及し、「イスラエルと日本は古代文明であり、同時に現代のイノベーション国家でもある。自由と民主主義の価値を共有する同志だ」と語った。また、「テロに対して弱腰であることは、さらなる犠牲を招く。ハマスを称賛する者はその目的に加担している」と強調した。

人質となっているガイ氏は2023年10月7日、ノヴァ音楽フェスティバルでハマスに拉致された。父イラン氏は、ガイ氏が幼少期から日本文化やアニメに親しみ、日本語を独学し日本訪問を夢見ていたと語り、「息子は初の野外フェスに参加していたが、あの日以来戻ってこない。彼が去る前、祭りの翌日に一緒にスコット(仮設小屋)を片付けようと約束していた。それは今も家に残っている」と訴えた。
ガル氏は「弟と自分は『進撃の巨人』を一緒に見て育った」と語り、「アニメのセリフに『戦えば生き残れる、戦わなければ勝てない』というものがある。弟を救うために自分は戦い続けるしかない」と話した。会見ではハマスが公開した友人エビアタル氏のやせ細った映像も示され、「ガイも同様の状態にある。最低限、食料と医療支援を与えてほしい」と懇願した。
質疑応答では日本人記者から、イスラエルによるガザの病院攻撃や報道制限に関する質問も出た。オハナ議長は「ガザは戦場であり、ジャーナリストの自由な立ち入りは危険。民間人を避難させてから攻撃を行っている」と説明。国際刑事裁判所(ICC)による批判には、「我々は国際法を守っている。ICCの判断はハマスからの虚偽情報に基づいており、不公平だ」と反論した。
最後に家族らは、「ガイは今この瞬間もガザの地下トンネルで飢えと絶望に晒されている。日本を愛し、来日を夢見ていた彼を、どうか救ってほしい」と涙ながらに訴え、支援と国際的圧力の継続を強く求めた。
編集:柄澤南 (関連記事: 「ガザは世界最大の墓場に」パレスチナ大使が東京で訴え 「日本は歴史の正しい側に立つべき」と国家承認を呼びかけ | 関連記事をもっと読む )
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