株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長 大山俊哉、以下ADK MS)は、株式会社ブレインパッド(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO 関口朋宏)と共同で、AIを活用した新ツール「エージェント“リンリー”」™を開発した。
このツールは、ゲームやコンテンツ産業向け制作物に含まれる倫理的問題の有無を一次判定し、担当者による最終判断を支援するもの。両社が立ち上げた生成AI共創プロジェクト「共創Labo」の取り組みとして提供が開始された。
生成AIによる一次判定で、人手依存からの脱却を支援
「エージェント“リンリー”」は、ゲームや映像、イラストなどの制作物に対し、クライアントが定める倫理基準をもとに生成AIが一次判定を行い、従来属人化していた倫理チェック業務の負担を軽減するソリューションである。
同ツールは、マルチモーダルAI技術を活用した既存ツール「Vision Link AI」の開発ノウハウを応用し、画像・映像・テキストなど多様なデータ形式に対応する。AIは国・地域・人種・文化圏ごとの倫理基準や、ゲームにおける年齢制限など各種ガイドラインを学習。問題がある可能性が認められた場合にはアラートを出し、最終判断を担う担当者の工数を削減できる。
2024年8月から12月にかけて実施された概念実証(PoC)では、大手ゲーム会社との検証で倫理チェックに要する工数を最大40%削減できるとの試算が得られた。
海外基準にも対応 グローバル展開を見据えた仕様に
本ツールの特徴として、国内に限らず海外文化圏の倫理基準にも対応可能な設計が挙げられる。クライアント企業の監修のもと、地域別のリスク感度に基づいてAIが学習することで、誤解や炎上リスクの予防につなげる。特にゲーム開発など多国籍な市場に向けた制作物において、開発段階からのコンプライアンス対応が期待される。
今後はすでに導入が決定している大手ゲーム企業を皮切りに、他のコンテンツ業界への導入や、チェック対象領域の拡張も視野に入れて展開していくという。
各社コメント:「IPビジネスの速度と信頼性を両立」
ブレインパッド代表取締役社長CEOの関口朋宏氏は「『リンリー』は単なる工数削減にとどまらず、日本が誇るIPを世界に迅速に展開するうえで重要なツールになる」と強調した。そのうえで「データ活用こそがビジネス成功を導く力」との信念を示し、今後もADK MSとの連携を強化していく考えを述べた。
一方、ADK MS統括執行役員 兼 MI本部長の竹下伸哉氏は「炎上によってファンとの関係が損なわれる前に防止できる仕組みとして、『リンリー』は重要な役割を果たす」と述べ、作品の持続的な価値創造を支援するために活用していく姿勢を示した。
【補足】
※1 マルチモーダルAI:テキスト・音声・画像など複数の種類の情報を同時に処理・学習するAI。
※2 Vision Link AI:画像・映像・イラストなどをタグ付け不要で意味づけ・検索可能にするAIツール。
※3 工数削減効果は、大手ゲーム会社のワークフローをもとに試算されたもの。
編集:佐野華美
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