TENNOZ ART WEEK 2025開幕目前 諏訪敦「きみはうつくしい」個展とナイル・ケティング新作に注目

諏訪敦氏の個展「きみはうつくしい」では、死や喪失を描いた三章構成の作品世界が紹介された。(写真/黃信維撮影)
諏訪敦氏の個展「きみはうつくしい」では、死や喪失を描いた三章構成の作品世界が紹介された。(写真/黃信維撮影)

天王洲を舞台に9月11日から開幕する「TENNOZ ART WEEK 2025」を前に、10日午後、プレス向け内覧会が開催された。WHAT MUSEUMをはじめとする寺田倉庫の各拠点で、作家やキュレーターが登壇し、展示解説や質疑応答、フォトセッションを通じて報道関係者に向けて今年の見どころが披露された。

「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。黃信維
「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。(写真/黃信維撮影)

冒頭では、寺田倉庫取締役専務執行役員・WHAT MUSEUM副館長の秋元雅宏氏が挨拶に立ち、「9月11日から15日の期間、天王洲のアート関連施設をすべて開放し、多彩なイベントを展開する」と説明した。また「本イベントは横浜で始まった世界規模のアートフェアを契機に東京で展開し、今回で3回目となる」と語り、さらに「WHAT MUSEUMは設立から5年を迎え、初めてアーティストやクリエイターとの協働を新たな軸として打ち出す。その第一弾として諏訪敦氏の個展を迎えることができた」と強調した。

「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。黃信維
「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。(写真/黃信維撮影)

続いて行われた諏訪敦氏の個展「きみはうつくしい」では、作家本人が登壇し「一枚一枚の作品は過去の自分の姿であり、多くは亡くなった人々から気づかされたものだ」と語った。人物画から離れ静物を描いていた理由について「母を看取った経験のなかで人間の美しさを信じられなくなった」と説明しつつ、「静物を描くことは楽しかったが、人物画に復帰することは大きな個人的なステップでもあった」と心境を明かした。

「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。黃信維
「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。(写真/黃信維撮影)

展示構成を担った宮本武典キュレーターは「徹底した取材と準備に基づいた作品は単なる写実を超えて死や喪失のテーマを浮かび上がらせている」と説明した。展示は三章構成で、第一章はリアリズムの限界を示す作品群、第二章は遺族との対話を通じて描かれた肖像画、第三章は祖母や両親を主題とする家族の肖像で構成されると紹介。「他者の死から家族の死へと視点が移っていく過程が示されている」と解説し、文学者との協働による新たな解釈にも言及した。 (関連記事: 天王洲アートウィーク2025開幕 寺田倉庫で織りなす「境界・記憶・自然」のアート対話 関連記事をもっと読む

「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。黃信維
「TENNOZ ART WEEK 2025」内覧会で諏訪敦とナイル・ケティング作品を公開。(写真/黃信維撮影)

会場では記者からの質問も行われた。諏訪氏は「静物を描くことは楽しかったが、やはり人物画に戻らなければならないという義務感があった」と回答した。そのうえで「母を描いたとき、人を文化化する冷酷さを自分の中に感じた。しかしそれは避けて通れない課題であり、人物画を続ける上で直面せざるを得ない」と語り、自身の制作における複雑な思いを吐露した。

諏訪敦氏の個展「きみはうつくしい」では、死や喪失を描いた三章構成の作品世界が紹介された。黃信維
諏訪敦氏の個展「きみはうつくしい」では、死や喪失を描いた三章構成の作品世界が紹介された。(写真/黃信維撮影)
最新ニュース
天王洲アートウィーク2025開幕 寺田倉庫で織りなす「境界・記憶・自然」のアート対話
北京観察》李登輝氏と会談した日本初の華人系議員・石平氏 台湾民主化を支持し、中国から「典型的な裏切り者」と非難
「TENNOZ ART WEEK 2025」WHAT CAFEで「Seesaws」展、19人の女性作家が参加
北京観察》華人の参政熱が高まる!学者:中国富裕層の日本移住が住宅価格を押し上げ、政界と社会矛盾に波及
ルミネ最大規模「ニュウマン高輪」9月12日開業 約200店舗と空中庭園で新時代の体験型商業施設へ
評論:脱原発の代償か、環境破壊か 台湾で再エネ政策見直し論が加速
ポーランド領空にロシア無人機19回侵入 NATO防空部隊が初の撃墜、戦後最も危険な衝突寸前に
職業生涯113戦で一度も勝てず!アニメ・スマホゲーム『ウマ娘』で世界的にブレークした日本の有名競走馬「ハルウララ」が、29歳で死去
柯文哲氏に抗告方針 台北地検声明で事態さらに深刻化か
米軍無人機がUFOを狙撃 機密映像流出し共和党議員が公開
台湾・林佳龍外交部長、日本最大野党・立憲民主党議員団と会談「与野党問わず関係深化を期待」
東京ゲームショウ2025、過去最多の規模で開催へ 出展社数1,138社・小間数4,159小間を記録
旬を味わう「シャインマスカットパフェ」 ホテル ザ セレスティン東京芝で期間限定提供
六本木・虎ノ門・麻布台ヒルズで「秋の味覚フェア」開幕 モンブラン・さつまいも・シャインマスカット・日本酒が勢ぞろい
麻布台ヒルズで「HARVEST WEEKS」開幕 極細モンブラン&さつまいもスイーツが秋を彩る
ネパールで「Z世代革命」 オリ首相が辞任、19人死亡の流血抗議が政権崩壊を招く
ピクセルアート界のレジェンドeBoy、渋谷で特別企画展開催へ ピクセルアートで人と街を描く日常のモザイク【9月15日開幕】
エプスタイン「バースデーブック」にトランプ署名疑惑 裸婦の下半身に「ドナルド」、否定も筆跡比較で矛盾
JR東日本×NRI、新会社「地域みらいブレインリンク」設立へ 地域創生とイノベーター支援を加速
「Suicaのペンギンフェア2025」東京駅で9月24日スタート!限定スイーツ&グッズ17商品が登場
論評:台湾・頼清徳総統の掲げる「ノン・レッド・サプライチェーン」 米国の排外主義の波に耐えられるのか
元台北市長・柯文哲、1年の拘置を経て変化? アイスキャンディが映す心境
PGAツアー唯一のアジア大会「Baycurrent Classic」 横浜開催に先駆け公式グッズ販売スタート
台湾立法院長が日本国会外交へ 東大研究者「巨大国旗は前例なし、国民党と日本の関係は『師・敵・友』の3段階」
陸文浩の視点:カナダ・豪軍艦が英空母を北方支援 中露合同巡航に対抗し、中国軍が共同戦備を開始
舞台裏》台湾が抱える北朝鮮の「不良債権」 金正恩氏、中国で習近平氏と並ぶ一方で未返済の借金
日本最大級のお城イベント『お城EXPO 2025』12月20・21日にパシフィコ横浜で開催 10周年で過去最大規模
Apple、iPhone Air・iPhone 17・AirPods Pro 3同時発表 史上最薄・最強デザインで価格据え置き999ドルから
天丼てんや、夏限定メニュー 「はも冷やしそば」や生ビールセットで暑さを吹き飛ばす
名古屋発「TechGALA Japan 2026」開催決定 150社超出展&100セッションで世界のスタートアップ集結
AI供給網で林佳龍氏「台米共同艦隊」提唱 日本専門家は日韓台の米国対抗を指摘
呂紹煒コラム:大きな損失、台湾は米日の不平等条約の轍を踏むな
天気予報》台湾の週間天気 36度超の猛暑から一転、北東モンスーンで秋の気配濃くなる
石破茂首相が電撃辞任表明 自民党総裁選は9月22日告示・10月4日投開票へ
カタール首都で爆発!イスラエルが攻撃を認め、ハマス指導者を「責任」追及
イスラエル軍、ガザ市に「猛烈攻勢」警告 市民に即時避難を呼びかけ
前台湾総統・蔡英文、日本に滞在か 事務所「公務予定は一切ない」とコメント
産地と販売の契約栽培で優良農家が成果 老永昌商行の白米、日本向け輸出コンテナ出航
シェイク シャック、成田国際空港に9月11日オープン 日本初の空港店で朝食メニューも導入
Nothing、最新ワイヤレスイヤホン「Ear (3)」を9月18日発表 革新デザインで新たなステージへ
NBAマスコットが可愛く登場!「NBA Store Japan」で限定グッズ販売開始
AKOMEYA TOKYO、秋の味覚フェア開催 炊き込みご飯と和スイーツで“芋と栗”を堪能
トランプ政権の対中政策が急転換、アメリカは中国封じ込めから新たな取引戦略へ
東京2025世界陸上を盛り上げる無料イベント第2弾発表 書道×和楽器ライブや縁日体験も
中国潜水艦「静音革命」で米国に迫る 太平洋で水中軍拡競争激化、焦点は台湾海峡
京都先端科学大学が広報誌『KUAS MAGAZINE』創刊 日本語・英語併記で国際発信を強化