米軍、スービック湾に再進出?トランプ政権、中国を狙いフィリピンに「世界最大の軍需工場」計画

2025-09-12 09:25
フィリピンのスービック湾、かつてのアメリカ海軍基地(写真/Wikipedia/Public Domain提供)
フィリピンのスービック湾、かつてのアメリカ海軍基地(写真/Wikipedia/Public Domain提供)
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フィリピンのスービック湾は、かつてアジア最大の米軍基地が置かれていた場所である。ここで現在、インド太平洋地域の戦略的構図を大きく変えかねない計画が静かに進行している。日本の『読売新聞』や韓国の『朝鮮日報』が最近報じたところによれば、トランプ政権は同地に世界最大規模の兵器・弾薬生産拠点を築く構想を推進しているという。この動きは、米国がフィリピンと連携し、中国の目前に強固な軍事拠点を築こうとする重要な布石とみなされている。計画の実現は米比同盟のかつてない強化を意味すると同時に、すでに緊張が高まる南シナ海情勢を一触即発の局面へ押しやる可能性がある。

「スービック湾弾薬ハブ」と呼ばれるこの大規模計画は、中国を直接的な標的としている。『読売新聞』は8日の報道で、この構想の目的を「覇権を強める中国を打ち砕き、同盟の戦線を固めること」にあると明言した。2022年に親米姿勢のフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領が就任して以降、フィリピンの外交政策は180度転換し、前任ドゥテルテ氏の親中路線から、米国との緊密な安全保障連携へと急速に舵を切った。

この計画の推進によって、歴史的に重要な軍港であるスービック湾は、再び世界的な地政学の焦点として注目を集めることとなった。

ホワイトハウス会談の内幕:米比同盟下の「弾薬庫」計画

実は今年7月、マルコス・ジュニア大統領が訪米しトランプ大統領と会談した際、両首脳はすでにこの弾薬ハブ計画について突っ込んだ協議を行っていた。その協議の格の高さは、計画の重要性を如実に示している。会談後、マルコス大統領は、この施設はフィリピンが「自主国防」を実現する上で欠かせない要素であるとともに、「西フィリピン海」(南シナ海)の緊張に対処するための必要な措置でもあると強調した。そして「国土を防衛し主権を行使することは根本的な問題である」と断言した。

一方、米側の約束はさらに踏み込んだものだった。トランプ政権の高官はフィリピン側に対し、今後数か月以内に「フィリピンは他のどの国よりも多くの弾薬を保有することになる」と述べ、その内容には「速いミサイル、遅いミサイル、精密なミサイル、そしてそれほど精密ではないミサイル」まで含まれるとした。こうした発言は、米国がフィリピンの弾薬備蓄と生産能力を全面的に強化する姿勢を示唆している。 (関連記事: 台海衝突なら20万人の在台フィリピン人をどう守るか 外相「北京に協力を求める可能性」 関連記事をもっと読む

地政学の要衝――なぜスービック湾なのか

スービック湾の地理的位置は極めて敏感かつ重要である。フィリピンの首都マニラから北西に約90キロメートル、台北から約1100キロメートル、中国の経済中枢である深圳からも約1100キロメートル、さらに上海からは約1800キロメートル、北京からも約2800キロメートルに位置している。つまり、米国がここに構築しようとしている大規模な軍事中核施設は、中国の中距離弾道ミサイル(IRBM)の射程圏内に完全に収まっており、極めて高リスクな戦略的駆け引きとなることは明白である。

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