米中貿易交渉に向け、トランプ・習近平会談が近く開催される。トランプ米大統領は25日、エアフォースワン機内のインタビューで、米中の隔たりが大きいと認めつつも「包括的合意に達する大きな機会がある」と述べ、農業、フェンタニル、さらに中国によるロシア産原油の購入削減を主要議題に挙げた。
台湾が交渉の駆け引きに含まれるかとの懸念に対し、随行中の米国務長官マルコ・ルビオ(Marco Rubio)氏は、イスラエルからカタールに向かう途上で立場を明確化。米国がより有利な貿易条件を得るために台湾支持を放棄することはないと強調した。
ルビオ氏は「仮に何らかの貿易協定をまとめる見返りに台湾で妥協するとの懸念は、まったくの誤解だ。そうした発想はない」と指摘した。
トランプ氏:制裁が奏功、中国がロシア産原油を削減
トランプ氏と習近平国家主席は10月30日、韓国・慶州で予定されるAPEC首脳会議の機会に二国間会談を行う見通しで、貿易、エネルギー、薬物対策、地政学、国際サプライチェーンの安全などが焦点となる。
米側は今回の会談を通じ、中国に対しフェンタニルおよびロシア産原油を巡る具体的措置に加え、農業や市場アクセスでの実行ある対応を求める構え。トランプ氏は困難は多いとしつつも、「首脳間の直接対話」によって突破口が開ける可能性があるとの見方を示した。
25日、エアフォースワンがカタールのドーハで給油中に行われたインタビューで、同氏は中国の国有企業が最近、海上輸送のロシア産原油の一部発注を取り消した動きは、米国がロシアのエネルギー企業に科した制裁と直接関係していると説明。ロスネフチやルクオイルへの制裁が効果を上げ、中国とインドのいずれもロシア産原油の購入を大幅に減らしていると述べた。
ブルームバーグの報道によれば、フェンタニル問題も会談の主要テーマとなる。米政府は長年、中国の化学企業がフェンタニル製造に用いられる前駆体化学品を違法輸出し、米国内の薬物乱用危機を悪化させていると非難。トランプ氏は、習氏がこの問題で具体的協力を示すことに期待を表明した。
さらに同氏は、米国産の大豆、トウモロコシ、牛肉など農産物の購入拡大についても習氏と協議する方針を示し、これらは「米国の農家にとって極めて重要だ」と語った。
米中交渉入り前にUSTRが301条調査を先行開始
米中の交渉団はマレーシア・クアラルンプールで事前協議を開始。米側はスコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官が率い、中国側は何立峰・国務院副総理が臨む。米財務省は初会合を「極めて建設的」と評価し、協議継続の方針を示した。
一方、米通商代表部(USTR)は24日、2019年にトランプ政権下で署名された「第一段階貿易合意」の履行状況を巡り、通商法301条調査の正式開始を発表。同合意は、知的財産、技術移転、農業・金融市場の開放に関する項目に加え、中国による対米購入の大幅拡大を含む。
米通商代表ジャミソン・グリール(Jamieson Greer)氏は、調査の目的は中国に約束の履行を徹底させ、米国の農家と革新産業を守ることだと説明。「公正な貿易原則を堅持する取り組みの一環だ」と述べた。
これに対し、中国駐米大使館の報道官は「強く反対する」と表明し、「貿易ツールの乱用は信頼を損なう」と米側を非難した。
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