揭仲コラム:高市首相の台湾発言に中国が不満 説明は「未完成の答え」と批判

2025-12-11 15:17
日本首相高市早苗と中国国家主席習近平(写真/AP通信提供)
日本首相高市早苗と中国国家主席習近平(写真/AP通信提供)

日本中国の関係が緊張する中、高市早苗首相が11月7日に衆議院予算委員会で行った答弁は、現職首相として初めて「台湾有事は日本有事」と受け取れる明確な表現を用いたと解釈され、ただちに中間の新たな外交摩擦を引き起こした。この問題はすでに1カ月以上続いている。

高市首相は情勢の沈静化を図るため、これまで触れなかった1972年の『日中共同声明』に言及し、12月3日の参議院で「台湾問題に関する日本の基本的立場は『日中共同声明』と一致している」と初めて明言した。しかし中国側は、日本が一定の譲歩を示したことを認識しつつも、これを全面的には受け入れず、「12月3日の発言は『未完成の答え』だ」と位置づけた。

中国の反応が異例に強硬な理由

​11月7日から12月7日にかけて、中国は日本に対して大規模な武力示威を行ってはいないものの、国営メディアや政府高官による強い非難を繰り返した。12月9日までに、共産党機関紙『人民日報』の論評「鐘声」はすでに7回掲載され、さらに中国の駐大阪総領事・薛剣氏や駐日大使・呉江浩氏までもが、SNSや国営メディアの寄稿を通じて、高市首相を名指しで厳しく批判する異例の対応を示した。

こうした強硬姿勢の背景には、高市首相が10月末に習近平国家主席と会談した直後であったこと、また中国側が今年を「抗日戦争勝利80周年」と位置づけていることがある。しかし最も重要なのは、高市氏の発言を放置すれば、中国が最近国際社会で成果を上げつつある「台湾をめぐる国際法戦略」が大きく損なわれると中国が判断した点にある。

現在中国は、台湾の「外部依存による独立追求」(倚外謀独)を封じる目的で外交戦に注力している。その中心にあるのが国際法を利用したフレーミング戦略だ。中国は『カイロ宣言』『ポツダム宣言』を根拠に「台湾は中国の一部」と主張し、さらに『国連総会2758号決議』の解釈を拡大し、各国との共同声明を通じて「中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府」と認めさせる枠組みづくりを進めてきた。

この国際法律戦の目的は、各国が台湾独立を支持することを「原理上封じる」だけでなく、中国が台湾に対して何らかの行動を取る際、第三国の介入を抑制する根拠を強化する点にもある。

バイデン政権下で中国のこの戦略は欧米・日韓で一定の挫折を経験した。しかしトランプ大統領の返り咲きにより、バイデン政権が構築した「民主主義陣営」は急速に弱体化し、さらに世界各国にとって中国市場の重要性が増したことで、中国の国際法律戦は再び優勢に転じ始めている。

中国は来年4月に予定されるトランプ氏の訪中に向け、米国の中間選挙を控え成果を求めるトランプ氏から「台湾問題に関する有利な新たな声明」を引き出し、それを国際的な「反台湾独立」の成果として包装することを期待している。

そのため、高市首相の11月7日および26日の発言は、中国の認識では「中国が台湾に対して行動する法的根拠への挑戦」であり、「日本が中国の武力行動に干渉する意思をにじませた重大なサイン」と映った。中国にとって改善しつつあった国際法戦略の流れに逆行するものとして、強烈な牽制が必要だと判断した形だ。

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