中国がヒューマノイドロボット市場で存在感を急速に高めつつある。コストや技術面にまだ課題が残るものの、上海の智元機器人(アジボット)や北京の銀河通用機器人(ギャルボット)といった新興企業はすでに数千台規模の量産に踏み切り、小売業やスマート製造など商用領域への展開を一気に進めている。アナリストの間では、ヒューマノイドロボットがAI技術の次なる主戦場になるとの見方が強まり、早ければ3〜5年で家庭にまで普及すると予測されている。
技術的ハードルや高価格といった問題が依然として残る一方で、中国企業は生産ペースを緩めていない。上海に本社を置く智元機器人は、テンセント、BYD、百度といった中国の大手企業の支援を受けるメーカーで、8日の発表によれば、2023年の設立から今日までに旗艦工場で5,000台のヒューマノイドロボットを生産した。出荷規模では、すでに世界最大級のメーカーの一角に食い込んだことになる。
『日経アジア』によれば、同社を率いるのは共同創業者で社長の彭志輝氏(32)。ファーウェイやOppoで経験を積んだエンジニアで、中国でも広く知られる技術者だ。わずか数年で同社を業界の先頭集団に押し上げた存在として注目されている。
ゴールドマン・サックスやBofAグローバルリサーチは、2025年のヒューマノイドロボットの出荷量が1万8,000〜2万台に達すると予測している。2024年の約3,000台から大幅に増える計算で、一社が数千台を生産するだけでも市場に大きな影響を与える構造が鮮明になっている。
智元機器人のマーケティングディレクターの邱恒氏は『日経アジア』に対し、同社が目指すのは特定用途のロボットではなく、「汎用知能」を備えたヒューマノイドロボットだと語る。言語能力だけでなく、視覚や動作を通じて環境と相互作用するための「視覚−言語−潜在行動(ViLLA)」フレームワークの開発を段階的に進めているという。
現在、同社のロボットはダンスや太極拳、展示会での案内といった基本的なタスクに加え、工場での巡回やデータ収集、専門的な作業もこなせる段階にある。邱氏は「ダンスは入門レベルにすぎず、工場作業が高度スキルだ。最終的には、人間のように今日料理をし、翌日は工場で働き、車を運転し、また新しいスキルを学び続けるロボットを作りたい」と述べる。
邱氏は、ヒューマノイドロボットが3〜5年のうちに家庭の中に入り込み、日常生活の一部になるとみている。智元のロボットはすべてソフトウェア更新で継続的に賢くなり、新たな能力を習得できる点も強調している。 (関連記事: 【新新聞】独占インタビュー》Qisda会長・陳其宏氏が語る:AIとロボットが主導する産業革命の未来図 | 関連記事をもっと読む )
北京の銀河通用機器人は、智元機器人とはやや異なる戦略を取っている。同社は、清華大学で電子工学を学び、スタンフォード大学で博士号を取得した北京大学教授の王鶴氏が創業し、フードデリバリー大手の美団やバッテリーメーカーの寧徳時代から支援を受けている。銀河通用機器人は、ロボットに万能性を求めるのではなく、三つの特化モデルに焦点を絞り、小売業と製造業を優先領域として展開している。




















































