アメリカ深刻な「失業増加・インフレ根強さ」という二重危機に直面 FRBは3会合連続利下げも「そろそろ打ち止め」シグナル

2025-12-11 12:08
2025年12月10日、ニューヨーク証券取引所のモニターに、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が今年3回目の利下げを発表する様子が映し出された。(AP)
2025年12月10日、ニューヨーク証券取引所のモニターに、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が今年3回目の利下げを発表する様子が映し出された。(AP)

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)では、政策の優先順位をめぐる意見の分裂が一段と鮮明になっている。10日の会合では基準金利の引き下げを決定したものの、短期間で追加利下げを実施する可能性は低いとの見方が示された。

市場が予想していた「タカ派的利下げ」は今回も現実となった。連邦公開市場委員会(FOMC)は10日、基準金利を0.25ポイント引き下げ、今年3回連続の利下げを決定。これにより金利は3.5〜3.75%のレンジに入った。

今回の決定は9票の賛成で可決されたが、6年ぶりに3名が反対票を投じた。反対したのは、シカゴ連銀のオースタン・グールズビー氏、カンザスシティ連銀のジェフリー・シュミッド氏で、両者は利下げそのものに否定的だった。一方、FRB理事のスティーブン・ミラン氏は0.5ポイントの大幅利下げが必要だと主張した。CNBCによれば、ミラン氏は1月に退任予定で、今回が3会合連続の反対票。シュミッド氏も2会合連続の反対となった。

白宮経済顧問委員会主席スティーブン・ミラン。(AP)
米連邦準備制度理事会(FRB)のスティーブン・ミラン理事。(AP)

今回の利下げにより、基準金利は3年ぶりの低水準に達した。目的は雇用悪化や失業率の上昇を避けることにある。しかし、インフレ対策の進展が停滞しているため、FRB当局者は以前から、今後さらなる利下げが行われるかどうかは「雇用市場が本格的に悪化するか否か」に左右されると示唆してきた。

会合後に公表された声明文の語調も慎重さを増し、「利下げの幅と時期は経済見通しの変化によって決まる」との表現が再び使われた。この文言は昨年12月にも登場しており、当時は利下げ局面の一時停止を意味していた。FRBが再び利下げを行ったのは今年9月が最初だった。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、今回FRBが声明文から「失業率は依然として低水準にある」という表現を削除した点にも注目している。失業率は今年初めの4.1%から9月には4.4%へと上昇しており、労働市場の冷え込みが否応なく表れ始めているためだ。

今後の利下げペースは鈍化へ

会合には全員が投票できるわけではない。今回示された新たな四半期見通しでは、19人のうち6人が「今回の利下げ後よりも年末の金利が高くなる」と予測しており、一部の投票権者が消極的に賛成した可能性や、投票権のないメンバーの中で反対意見が多かったことを示唆している。

大半の当局者は「来年も1回の利下げがある」と見ており、9月時点の予測と同じである。これは、当面は利下げペースを急ぐ必要がないとの判断を意味する。

最近のFRB幹部の発言からは、内部の意見対立が深刻化している様子が明らかで、今回の決定はジェローム・パウエル氏(Jerome Powell)がどの方向に舵を切るかで左右された可能性が高い。パウエル氏の任期は来年5月で満了し、残された利上げ・利下げ会合はあと3回。ドナルド・トランプ氏は「近く後任を指名する」としており、次期議長がパウエル氏の権威を維持できるのか、外部でも懸念が強い。

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