日本経済は、前四半期に再び縮小し、アメリカの高関税政策が輸出と投資に持続的な影響を与えていることが浮き彫りとなった。しかし、より深刻な問題は構造的な弱さにある。物価の上昇率が賃金の伸びを10ヶ月連続で上回り、中小企業は利益が薄く、交渉力が制限されているため、賃金引き上げが遅れている。このことが、高市早苗首相が経済政策で克服すべき重要な課題となっている。
共同通信の報道によれば、日本内閣府が発表した2025年の第3四半期(7~9月)の経済改定データによると、物価変動を考慮しない実質GDPは前期比0.6%減少し、年率換算で2.3%下落し、初期の1.8%の減少よりも状況が悪化したことが示された。
アメリカのトランプ政権による高関税政策の影響で、企業設備投資の減少が前四半期の経済後退の主な原因である。企業設備投資は前年同期比0.2%減少した。前四半期の輸出は初期値通り1.2%減少し、外需の弱さを反映している。輸入はエネルギーと医薬品の減少により0.4%減少した。
日本経済は、約1年半ぶりにマイナス成長を記録し、外部環境の悪化と企業投資の弱体化が相互に影響することで、将来の経済回復の動力がさらに圧力を受けていることが明らかとなった。
同時に、日本は実質賃金が10ヶ月連続で減少するという課題にも直面している。10月の実質賃金は前年同月比で0.7%減少し、10ヶ月連続でマイナス成長である。一方で、10月の物価は3.4%上昇した。
日本のインフレが加速する中、賃金上昇は企業が直面する圧力となっている。しかし、日経アジアの分析によれば、全国の企業が99.7%を占める中小企業においては、コスト負担が重く、交渉力が限られているため、賃金調整を支えることが困難であり、これが構造的な経済問題を形成している。
日本労働組合総連合会(連合)は、来年の春季労使交渉における目標を提示し、全体の賃金引き上げ幅が5%を超えることを希望しており、中小企業は少なくとも6%に達することを求めている。しかし、コスト負担が軽減されず、価格転嫁が困難な状況で、中小企業はこの圧力を重く感じている。
高市政権は21.3兆円の刺激策を講じ、生産性向上を通じて賃金成長を促進することを期待している。彼女は1兆円を中小企業に支援することを約束し、政策の重心は最低賃金の目標設定ではなく、企業のアップグレードをサポートすることにあると強調している。
高市首相は以前、国会答弁で、政府が具体的に1500円の時給目標(石破茂政権がかつて提案した目標)を設定する計画はないと表明した。高市首相は「物価上昇に打ち勝てる高賃金の環境を創ることが優先事項であり、具体的な数値を提案することは、中小企業と小規模商家に責任を転嫁するだけであり、それは無責任だ」と述べた。
高市首相は、日本政府の計画は、資本投資への助成と管理人材の導入を通じて革新と生産性向上を促進し、企業が賃金改善する能力を持つことを目指しており、単に行政手段によって圧力をかけることではないと説明している。
日本商業情報機関「帝国データバンク」によると、人手不足が日本の中小企業の経営リスクを一層高めている。今年4〜9月に人手不足が原因で倒産した件数は214件で、前年同期比31%増加し、歴史的新高を記録した。
日経アジアの分析によれば、デフレマインドが依然として日本企業の行動に影響を与えている。日本企業は1990年代以来、現金を蓄積し続けており、大企業と比較して中小企業はより慎重であり、手元現金を拡大しようとする傾向があり、設備更新や生産性向上が抑制されている。高市内閣は、日本の賃金成長を促進し、企業の生存と物価の抑制のバランスを取ろうとしているが、政府が中小企業の生産性向上と賃金調整能力の限界を乗り越えることを支援できなければ、経済全体の動力は回復し難いだろう。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

















































