日中関係が緊張する中、日本の小泉進次郎防衛相は7日未明に記者会見を開き、中国軍機が日本の自衛隊機に対してレーダー照射を行ったと非難したが、10日未明にはさらに、9日に中国とロシアが日本周辺で計13機の軍用機を出動させ、長距離の合同飛行を実施したことを自身のSNSで公表し、日本に対する「示威行動」であると指摘した。これと同時に、韓国合同参謀本部も9日、ロシア軍機7機、中国軍機2機が相次いで韓国防空識別圏(KADIZ)に進入したと発表した。こうした事態を受け、頼清徳総統が台湾政府としての立場を表明した。
小泉防衛相は、日本時間10日午前1時頃、SNSのX(旧ツイッター)を通じて、前日にロシアの爆撃機2機が日本海の対馬海峡を通過し、東シナ海上空で中国の爆撃機2機と合流した後、宮古海峡を通過し、四国沖の太平洋上まで飛行したと明らかにした。この際、中国の戦闘機8機が護衛として同行し、さらにロシアの早期警戒機が空中指揮管制を行っていたという。中露は明らかに日本に対して示威行為を行っており、日本の国家安全保障に対する重大な脅威であるとした。これに先立ち、韓国合同参謀本部は9日、ロシア軍機7機、中国軍機2機が相次いでKADIZに進入したが、領空侵犯はなかったと説明し、事態発生前に韓国側は戦闘機を出動させ、突発的事態に備えて戦術的措置を講じたと明らかにしていた。
頼清徳総統は同日午前、台湾民主基金会が主催する「第20回アジア民主・人権賞授賞式」に出席する前に、報道陣の取材に応じ、近年、中国が日本や韓国周辺で軍事行動を強め、地域の緊張を高めていることについて、「極めて不適切な行為である」と強く批判し、台湾は武力や威圧によって地域の平和と安定を一方的に変えようとする行為に断固反対すると述べた。
「我々は中国に対し、大国としての責任を果たすべきであると強く呼びかける」と頼清徳総統は述べた。平和はかけがえのないものであり、戦争に勝者はいないとした上で、「平和は各国が協力してこそ実現できるものであり、中国にも同様に責任がある」と強調した。また、台湾の安全および台湾海峡の平和と安定を維持するため、現状維持の方針を堅持し、国防力の強化を進め、地域の民主主義国家と共に地域の平和、安定、繁栄の維持に取り組むとした。
国防特別予算が再び暗礁に 頼総統「野党は封殺すべきではない」
また、記者からは、中国が地域周辺で軍事的圧力を強める中、野党が前日に再び軍事調達に関する特別条例の審議を阻止したことについて問われた。国民党がいわゆる「鄭麗文・習近平会談」の実現条件としてこの問題を利用しているとの報道もある中で、今後、与党としてどのように野党と協議していくのか尋ねられたのに対し、頼総統は、台湾は民主国家であり、国内に競争があるのは避けられないが、外部からの脅威に直面する以上、団結すべきであると述べた。
頼総統は、各界が実感している通り、中国の脅威は台湾のみにとどまらず、周辺諸国に対しても圧力と威嚇を加えており、各国もそれに対応する形で国防力を強化し、地域協力を進めていると指摘した。
その上で、「このような状況において、政府は一方で台湾の安全を守り、他方で地域の安定を維持する責任を負っている。そのため、国防力を強化し、国防予算を増額する必要がある」と述べ、「野党および立法院には、この国防特別予算を理性的かつ現実的に受け止め、手続き委員会の段階で封殺すべきではない」と訴えた。
頼総統は、前日の手続き委員会における予算封殺が2度目であったと指摘した上で、「委員会審査に付してこそ、社会が立法委員の審議状況を理解することができる」と述べた。
さらに、「立法院は、社会が内容を十分に理解し、支持すべきか、削減・調整すべきかを判断できるよう透明性を確保すべきであり、民意に基づいて審査を行うべきだ」と強調した。その上で、「我々は地域の平和と安定に対する重要な責任から決して逃れることはできない。この責任を果たさなければ、中国の脅威に直面した際、より大きな困難に直面することになる。野党にはこの点を明確に認識してほしい」と述べた。
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編集:梅木奈実
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