トップ ニュース 駐日韓国大使が初会見 国交正常化60年で「揺るぎない日韓関係の構築」を強調
駐日韓国大使が初会見 国交正常化60年で「揺るぎない日韓関係の構築」を強調 駐日韓国大使の李赫氏は、国交正常化60年を迎えた日韓関係について「後戻りせず揺るぎなく発展させる」と述べ、歴史問題や安全保障、首脳外交など多岐にわたる課題への姿勢を示した。(写真/日本記者クラブ提供)
駐日韓国大使の李赫(イ・ヒョク)氏は、12月5日に日本記者クラブで着任後初めてとなる記者会見を行い、国交正常化60年を迎えた日 韓関係について、「安定を取り戻し、未来に向けて生産的でウィンウィンの関係に発展しようとしている」と述べた。李大使は、歴史問題が両国関係に影響を及ぼしてきた経緯に触れつつ、「後戻りせず、揺るぎなく発展していく日韓 ・韓日 関係の土台を築く努力に寄与することが私の使命だ」と語った。
会見冒頭では、日 韓両国の歴史観の違いや、過去の問題が関係停滞の要因となってきた事実に言及した上で、現在の両国首脳による政治的決断が関係改善を後押ししていると評価した。また、相互訪問者が1400万人規模に達する見通しであることを挙げ、文化や人的交流の拡大が相互理解の深化につながっていると述べた。
李大使は、日 韓両国が共有する価値、経済構造、社会的課題に触れ、「自由民主主義、市場経済、さらには出生率や高齢化などの問題も共通している」と指摘。安全保障面でも「互いを脅威とみなす認識は減少している」とし、日 韓米協力の重要性を示した。さらに、日本の科学技術と韓国の商用化技術を組み合わせた産業協力の可能性にも言及した。
質疑応答では、慰安婦問題を含む歴史認識について「相手側を傷つけない発言が重要だ」と述べ、歴史問題が他の分野に影響を及ぼさないよう取り組む姿勢を示した。日中関係の緊張に関しては、韓国が安定した韓中・日 韓関係を構築することで「自然に仲裁的な役割を果たす」可能性に触れた。
また、北朝鮮による日本人拉致問題については「韓国政府はできる限り協力する」と述べつつ、具体的な協力内容は日韓当局間の協議が必要だとした。日韓首脳会談の調整状況に関しては「把握していることはない」としながらも、シャットル外交が再開されている現状を踏まえ、今後も活発化すると期待を示した。
さらに、佐渡の鉱山労働者追悼式が日韓で別々に開催されている点については、両国の立場の差を縮める必要性を挙げ、日本側が「より進んだ案」を示すことが重要だと述べた。日本の防衛力強化に関しては、コメントを控える姿勢を示した一方で、地域の安保環境の厳しさには理解を示した。
会見の終盤では、原子力推進潜水艦の導入議論について「韓国の抑止力向上の一環として必要」と説明。また、朝鮮通信使に関する取り組みについては、今年も関連行事が実施されたことを紹介し、2027年に向けた具体策は今後検討すると述べた。
李大使は最後に、相互往来や経済・産業界のパートナーシップが進む中で、「究極的には協定や条約がなくても、多方面の交流と協力が活発に行われることで、一つの共同体になりつつある」との認識を示し、日 韓関係のさらなる前進に意欲を述べた。
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