エプスタインの「友人名簿」公開　トランプ氏のほかクリントン、英国王子、大使も登場　女性虐待の衝撃的画像が明らかに

「ロリータ航空」と呼ばれたプライベートジェット、少女の臀部に刻まれたタトゥー、ナイフで衣服をはぎ取る強制行為——。こうしたおぞましい性犯罪の場面は、すべて米議会が9月8日に公開した故ジェフリー・エプスタインの「50歳のバースデーブック」に記録されている。そこにはトランプ大統領やビル・クリントン元大統領、英国のピーター・マンデルソン元駐米大使が「最も親しい友人」として名を連ね、さらにアンドリュー王子の名まで登場する。大企業の創業者や大学教授、著名人も含まれ、女性を物のように扱った屈辱的描写とともに、権力者ネットワークの荒唐無稽さと罪悪が浮き彫りになった。

悪魔のバースデーブック公開、米議会とホワイトハウスの対立

公開されたこの238ページの冊子は、2003年にエプスタインの元恋人ギスレイン・マックスウェルが編集し、子牛革で装丁されたものだ。当初は彼の誕生日を祝う記念品として作られたが、いまや政財界の名士と性犯罪ネットワークを結びつける「爆発的証拠」となっている。トランプ大統領、ビル・クリントン元大統領、マンデルソン元大使、アンドリュー王子らがその「友人欄」に登場している。

序盤にはエプスタインの出生証明書やボーイスカウト修了証、母親からの「あなたは生まれながらに良い子だった」と綴られた手紙などが収められている。しかし、ページを進めると空気は一変し、章立ては「家族」から「友人」へと移行、そこには著名人の名前とともに女性の人権を踏みにじる生々しい記述が現れる。

この冊子は下院監督・説明委員会がジェームズ・コマー委員長の権限で入手・公開したもので、ネット上で全内容を閲覧できる。コマー氏は「トランプ大統領にはいかなる違法行為の記録もなく、民主党が意図的に一部だけを公開し、生存者の痛みを政治利用している」と強く批判した。共和党側はさらに、エプスタイン関連の銀行口座記録を追跡し、生存者の正義実現に集中すべきだと主張している。

バースデーブックの内容は背筋が凍るものだった。冒頭に掲載された詩では、エプスタインを「乱暴で下品で放蕩」と表現しながらも「何度も投獄を免れた」と描写。のちに暴露された女性への屈辱的行為とも重なり、彼が権力者社会で「荒唐無稽でありながら法を逃れる存在」と見られていたことを裏付けている。本来は祝福の贈り物として作られた冊子が、今では政財界の闇を映し出す決定的な証拠となっている。

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悪魔の大統領の友人：トランプとクリントン

「50歳バースデーブック」の中でも最も衝撃的なのは、トランプ大統領の名が記されたページだ。冊子には女性の裸のイラストが収められており、その局部に「Donald」と署名されている。さらに、トランプ氏とエプスタインの想像上の対話形式でメッセージが添えられていた。そこには「ジェフリー、我々には共通点がある。毎日が新しい美しい秘密の日であるように。君も気づいたかい、謎は永遠に解けない」と記されていた。

また別のページには、エプスタインがヤシの木の下で2万2500ドルの小切手を手にする絵が描かれ、その傍らに「Trump」と署名がある。下部の注釈は塗りつぶされているが、内容からエプスタインが「早くから金と女性に関する才能を発揮した」と示唆され、さらに「完全に減価償却された女性をトランプに売った」と記されていたことが明らかになった。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』は7月時点でこの件を報じており、トランプ氏はただちに記事を否定。記事を書いた記者や発行元ダウ・ジョーンズ、その親会社ニュース・コープを相手取り、総額100億ドル規模の名誉毀損訴訟を起こしている。トランプ氏は自らが署名したりイラストに関与したことは「完全な虚偽」だと主張している。

一方、もう一人「友人リスト」に載っていたのがビル・クリントン元大統領だ。彼はエプスタインを「子供のような好奇心を持ち、変化をもたらす力を備えた人物」と称賛するメッセージを残している。ただしクリントン氏の事務所はこの件について沈黙を続けており、本人は過去に「エプスタインが逮捕される10年も前に関係を絶っており、彼の犯罪については全く知らなかった」と釈明している。

イギリスからの「親友」：大使と王子

バースデーブックで大きな注目を集めたのは、現イギリス駐米大使のピーター・マンデルソン氏だ。労働党のベテラン政治家である同氏は、手書きの手紙でエプスタインを「聡明で機知に富み、しかも神秘的な人物」と評し、「彼はまるで私の人生に空から降ってきたかのようだ。世界のどこにいようとも、彼は私にとって最も大切な友人だ」と書き残している。

冊子にはマンデルソン氏の写真も掲載されている。短パン姿でバルコニーに寄りかかる姿や、白いバスローブを羽織りエプスタインと談笑する様子だ。英紙「ガーディアン」は、マンデルソン氏がかつてエプスタインとの関係を繰り返し後悔し、元恋人マックスウェル氏を通じて知り合ったことを強調していると報じたが、今回の公開資料は再び彼を世間の注目の的に押し上げた。

さらに「助手たち」という章では、エプスタインとイギリス王室との結びつきが示されている。そこには、22歳の女性客室係による自叙伝的な記録が収められており、彼女は協和式超音速機で移動し、ヴィクトリアズ・シークレットのショーに同伴したこと、極限スポーツを体験したこと、さらにはバッキンガム宮殿の私的空間に足を踏み入れた経験を語っている。彼女はその中で、アンドリュー王子、ビル・クリントン元大統領、トランプ大統領、モデルのナオミ・キャンベル氏、さらにはマイケル・ジャクソン氏と会ったと証言している。

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この証言は、かつて浮上したアンドリュー王子に関する疑惑と符合する。2021年、バージニア・ジューフレ氏は、自身が17歳のときにエプスタインとマックスウェル氏を通じてアンドリュー王子に紹介され、三度にわたり性的虐待を受けたと告発した。ジューフレ氏は今年4月に自ら命を絶ったが、その告発は依然として重い影を落としている。アンドリュー王子は一貫して否定しているものの、この論争から抜け出すことはできず、イギリス王室と政界のイメージは深刻な打撃を受け続けている。

罪悪の図像：物化された女性たち

バースデーブックに収められたイラストや写真は、エプスタインの悪行を最も直接的に物語っている。1983年のイラストでは、エプスタインが風船とキャンディーを少女に手渡す場面が描かれ、20年後のイラストでは、裸でサンラウンジャーに横たわる彼の体を、4人の金髪のトップレス女性がマッサージする姿が描かれていた。そのうち一人の臀部には「JE」（エプスタインのイニシャル）がハート形に彫られている。

このイラストには、エプスタインの「ロリータ航空」と呼ばれたプライベートジェットの機番号が書き込まれており、女性売買の象徴となった機体を示している。下部には「なんてすばらしい国だ！」という皮肉なスローガンが添えられていた。

冊子には約150人が名を連ね、政界や学界、法律界の著名人から友人や家族まで含まれている。コメントの多くは荒唐で下品であり、アポロ・グローバル・マネジメント共同創設者レオン・ブラック氏は「老人と海」の主人公になぞらえ、「捕らえたのは魚ではなく、金髪、赤髪、茶髪の女性たちだ」と記した。

トランプ大統領の弁護を続けてきたハーバード法学教授アラン・ダーショウィッツ氏は、エプスタインの成功譚を「名利場」に書かせたと冗談を述べたとされるが、後に「自分は何も書いていない」と否定している。もう一人のハーバード教授ウィリアム・エルクス氏は「特別なミルクプリント」を贈り、別の友人は動物の交配写真を貼り付けて「言葉以上に的確だ」と皮肉を書き添えていた。また、ある人物はエプスタインを「堕落者1号」、自らを「堕落者2号」と呼び、「女の子が多すぎて時間が足りない」と下品な冗談を残している。

モデルエージェントのジャンリュック・ブルネル氏は、エプスタインをアルキメデスやユークリッドに並べて称賛したが、後に未成年モデルへの性的暴行で起訴され、獄中で自殺した。ヴィクトリアズ・シークレットやバス＆ボディワークスを展開した元LブランズCEOレスリー・ウェクスナー氏は、女性の胸のイラストに「君が欲しいものを与えたい…だからここにいる」と書き込んでいる。

全体を通じ、性欲を暗示する内容が満ちているこのバースデーブックには「女友達」という章があり、従業員から性的パートナーに転じた女性による手紙が収められているとみられる。その多くは塗りつぶされているが、一部の記述には「ビーチの少女を船に連れ出し、ナイフで水着を脱がせた」といったおぞましい言葉が残されている。

​英紙「フィナンシャル・タイムズ」によれば、登場する関係者は皆、エプスタインの不正との関わりを否定しており、マンデルソン氏も彼との関係を後悔していると強調している。ホワイトハウスも、トランプ大統領が署名付きイラストを作成したことを強く否定している。バースデーブックの最後には、エプスタインが小さなセント・ジェームズ島を背景にハンモックでくつろぐ姿が描かれ、隣にはマックスウェル氏が「次の50年はもっと素晴らしいだろう」と書き残している。しかし今、彼女自身は未成年者の人身売買共謀で20年の刑に服している。

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​編集：田中佳奈

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