陸文浩の視点:福建艦の海上試験は北上か南下か 英米日韓の艦隊が黄海・東シナ海に集結

2025-09-12 17:32
中国大陸の航空母艦福建艦。(写真/映像のスクリーンショット)
中国大陸の航空母艦福建艦。(写真/映像のスクリーンショット)

9月8日、中国の大連海事局は公告を出し、秦皇島の南東海域に軍事任務区域を設定した。この海域は従来から中国海軍の空母「福建艦」の試験区域として使われてきた場所である。11日正午まで、南シナ海の三亜周辺には航行禁止区域が設けられていないことから、今回の出航は新たに艦体番号「18」を付された「福建艦」が第9回目の海上試験のために北上するか、あるいは南下して三亜基地入りを目指すのか、両方の可能性が取り沙汰されている。さらに英米日韓の連合艦隊が黄海・東シナ海で合同演習を展開しており、先月に中露が東北アジアで行った共同演習と哨戒活動への対抗措置として、中国側も黄海と渤海に複数の演習区域を設定したことが注目を集めている。

また、台湾海峡両岸の軍事専門家や評論家の間では、9月8日に発表された「長江口で10日に大型船舶の航行を制限する」との告示や、9日から11日にかけて南シナ海で予定されている飛行試験に伴う航行禁止区域の設定を受け、「福建艦」が三亜での正式配備を目指しているのではないかとの見方が広がっている。さらには中国本土の国慶節(10月1日)に合わせた就役式が行われる可能性まで推測されている。しかし筆者は、総合的に判断しても、全艦としての戦闘力が整うにはなお時間を要すると考えている。

筆者が9月8日時点で確認したのは、大連海事局が9月6日午前7時19分に出した公告である。それによれば「遼航警334/25」として、9月8日正午から15日正午まで、北緯39度51分・東経119度53分、同39度51分・120度37分、39度19分・120度37分、39度19分・119度53分を結んだ範囲で軍事任務を実施し、航行を禁止するとされていた。

つまり9月8日正午から15日正午の間、秦皇島南東の3,735平方キロにわたる広大な海域で軍事任務が行われることになる。過去の「福建艦」の試験実績に照らすと、この区域では海上試験や艦載機の発着訓練、さらには空母打撃群としての連合演習が行われてきた。今回も北方に向けて第9回目の海上試験が行われる可能性が高く、少なくとも短期間での就役は現実的ではないといえる。

さらに上海海事局も9月8日午後6時53分に公告を出し、「滬航警626/25」として長江口で9月10日に大型船舶の深水航路出口における交通管制を実施すると発表した。 (関連記事: 陸文浩の視点:カナダ・豪軍艦が英空母を北方支援 中露合同巡航に対抗し、中国軍が共同戦備を開始 関連記事をもっと読む

14時30分から16時まで、長興島埠頭の水域において302号・301号・42号の浮標を結ぶラインで航行規制が実施された。

10時30分から20時までは、長江口の深水航路入口で船舶に対する交通管制が行われた。

さらに14時15分から16時30分には、同航路の出口においても交通管制が実施された。

当局は各船舶に注意を促している。

これまでにも中国海軍の空母「福建艦」が出航する際には、事前に北部の試験海域について予告が行われてきた。そのため、今回の航行禁止区域を2日前に公告したのは、軍事任務に関わる人員や艦艇の先行配置を示すものとみられる。「福建艦」が黄海から渤海へ進む過程で、ただちに試験や検証が実施される可能性が高い。

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