中国外交部はこのほど、日本維新の会の参議院議員・石平氏に制裁を科すと発表した。これにより、石平氏は北京から制裁を受けた初めての現職日本国会議員となった。しかし、この措置は石平氏を全く萎縮させることなく、彼は公然と「非常に光栄だ」と表明。発表からわずか2日後の9月10日には台湾の駐日代表・李逸洋氏と会談し、日台関係をさらに深める姿勢を示し、中国の圧力に屈しない明確な立場を行動で示した。
民運人士から日本の国会議員へ 石平氏の「精神的な決別」
現在63歳の石平氏は、中国四川省成都市に生まれ、文化大革命の動乱期に育った。その経験は後の思想形成に大きな影響を与えた。1982年には中国の民主化運動に参加し、体制内改革を訴える立場となった。しかし、1989年の天安門事件が人生の転機となり、中国共産党に完全に失望。「精神的な決別」と題した声明を発表し、党との絶縁を宣言した。
その後は海外に亡命し、最終的に日本に定住。2007年に日本国籍を取得した。評論家として長年にわたり中国共産党を鋭く批判し続け、日本メディアでも広く知られる存在となった。今年7月20日の参議院選挙では日本維新の会から立候補し、初当選を果たした。評論家から国会議員へと歩みを進めたのである。
北京制裁は「栄誉」
中国外交部は9月8日の声明で、石平氏への制裁は「反外国制裁法」に基づくものだと説明した。内容は、本人と直系親族の中国(香港・マカオを含む)への入境禁止、ならびに中国国内資産の凍結である。理由として、石平氏が台湾や尖閣諸島、香港、歴史問題に関して「誤った発言」を繰り返し、中国の利益を損なったと主張している。
これに対し石平氏は翌9日、直ちに反論の声明を発表。「私はすでに中国と精神的に決別しており、中国に資産もない。この制裁は無意味だ」と強調した。そのうえで「長年批判してきた独裁政権から制裁を受けたことこそ、自らの行動が正しい証明であり、非常に光栄だ」と語った。さらに「いかなる圧力にも屈せず、日本の国会で信じる価値のために戦い続ける」と決意を示した。
駐日代表・李逸洋氏と会談
日本政府も迅速に対応した。林芳正官房長官は同日の記者会見で、「中国による日本国会議員への制裁は全く受け入れられない」と述べ、外交ルートを通じて厳重に抗議し、即時撤回を求めた。
一方で石平氏は、制裁発表から2日後の9月10日に台北駐日経済文化代表処を訪問し、李逸洋駐日代表と会談した。会談後、自身のXアカウントに2人が握手する写真を掲載し、「意義深い交流を行い、台湾に関する多くの課題について学んだ。今後も交流を深めていく」と記した。
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