舞台裏》トランプが最も嫌うフェンタニルに台湾製機器関与? 米国が「責任追及」し行政院長も対応へ

2025-09-18 11:25
米国の街頭で「ゾンビ映画」のような恐怖を引き起こすフェンタニルが、台湾を思わぬ形で嵐に巻き込んだ。写真は米国麻薬取締局の捜査官が街頭を巡回している様子。(写真/AP通信提供)
米国の街頭で「ゾンビ映画」のような恐怖を引き起こすフェンタニルが、台湾を思わぬ形で嵐に巻き込んだ。写真は米国麻薬取締局の捜査官が街頭を巡回している様子。(写真/AP通信提供)
目次

2025年9月3日、米軍はベネズエラを出港した一隻の船舶を撃沈し、11人が死亡した。この報道は世界を震撼させ、なぜ米国がそのような行動に出たのか注目が集まっている。米国のトランプ大統領は、当該船舶がベネズエラの麻薬組織「アラグアの流れ(Tren de Aragua)」による運搬船であると主張し、米国が軍事力を用いて麻薬との戦争を宣言したと表明した。実際、米国はすでに2月の段階で「アラグアの流れ」や「太陽集団(Cartel of the Suns)」、さらにはメキシコの「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」など、ラテンアメリカの主要麻薬組織8団体をテロ組織に指定していた。

トランプ氏は、メキシコの麻薬組織が大量の麻薬を米国内に密輸していると非難し、とりわけ「ゾンビドラッグ」とも呼ばれるフェンタニル(fentanyl)を問題視している。フェンタニルとは何か。なぜ米国がこれほどまでに憎悪し、トランプ氏が「大砲で小鳥を撃つ」かのように国の重器を投入して軍事行動に踏み切ったのか。台湾の麻薬取締当局によれば、フェンタニルは強力な合成オピオイドであり、米国食品医薬品局(FDA)の承認の下で鎮痛薬や麻酔薬として使用されるが、厳格な規制薬物に指定されている。鎮痛効果はモルヒネの約100倍に達し、台湾で第一級毒品に分類されるヘロインと比較しても約50倍の効力を持つという。

アメリカ大統領トランプ。(美聯社)
アメリカ大統領トランプはフェンタニルの取り締まりを強化し、麻薬カルテルに宣戦布告した。(写真/AP通信提供)

​フェンタニルがアメリカの街頭に蔓延 台湾も出遅れないように

麻薬取締当局はさらに、フェンタニルはわずか2ミリグラムで人を昏睡状態に陥らせ、呼吸を停止させて死に至らしめると指摘する。さらに恐ろしいのは、違法フェンタニルは低コストで製造が容易なため、麻薬組織がしばしば他の薬剤に偽装したり、処方鎮痛薬や向精神薬に紛れ込ませたり、あるいは別の違法薬物に混入させて巨額の利益を得ている点である。米国麻薬取締局(DEA)が押収した偽造薬のうち、4割以上にフェンタニルが混入しており、過剰摂取によって麻痺や死亡を招く危険があるという。違法フェンタニルはサンフランシスコやフィラデルフィアをはじめ米国の主要都市で蔓延し、「ゾンビドラッグ」と呼ばれている。推計では、年間7万人以上がフェンタニルの過剰摂取で命を落としている。

取締当局によれば、米国で蔓延する一方、台湾市場ではフェンタニルの流通はほとんど確認されておらず、そのため内政部警政署、海洋委員会海巡署、法務部調査局といった機関も、フェンタニルを主要な取締対象としてはこなかった。ところが2024年8月、米国麻薬取締局(DEA)が警政署など台湾の主力取締機関に協力を要請してきた。表向きは台湾国内での調査協力を求めるものだったが、実際には「責任追及」に近いものだった。米国で猛威を振るうにもかかわらず台湾とは直接関係のない違法フェンタニルが、なぜ台湾の警察、調査機関、海巡当局を緊張させ、さらには台湾の麻薬取締を統括する高等検察署検察長・張斗輝氏までも動かしたのか、注目が集まっている。

2025年4月29日、DEAの研究所で高級法医学化学者ジョナサン・ダムケが小瓶のフェンタニル錠剤を所持。(AP)
フェンタニル(fentanyl)はゾンビドラッグと呼ばれ、アメリカで非常に氾濫している。(写真/AP通信提供)
最新ニュース
1日で3つの台風発生か 台風17号、18号、19号が6県市に強風豪雨、最新進路と警報時刻公表
Appke初の折りたたみiPhone、台湾試産・インド量産へ 「脱中国」鮮明にし販売拡大の切り札に
「ポケモン東京ばな奈」5周年記念 ピカチュウが巨大クッションに!抽選で25名限定プレゼント
「二重速度経済」が鮮明に 米国で高所得層だけ賃金上昇、若者はAIで雇用喪失の危機
ADK、生成AIツール「エモグラ」を進化 ゲームユーザー調査データを連携しペルソナ分析を高度化
環境危機時計が8年ぶりに大幅進行 地球環境アンケートで「9時33分」に悪化
船場×Autodeskが戦略的提携 内装業界のDX加速とBIM普及を推進
EXPO2025実績の木工ディレクター・大西功起氏、船場と装備のクリエイティブディレクターに就任 「3DX木工」で新たな空間表現を推進
大谷翔平「OHTANI DAY」第5弾 直筆漢字サイン入り公式球を限定1点で抽選販売
MLBポストシーズン2025記念グッズ発売開始 ブルワーズ進出・フィリーズ優勝Tシャツ登場
日本初のリポソームVCグミ「2Gummy」、Mimi Beautyベストコスメ2025上半期1位を獲得
東京ゲームショウ2025で“空を飛ぶ”体験 RAZBAM JAPANがVRフライトシミュレーターを公開
じゃがボルダが“二刀流”に進化!東京駅限定チップスに新作「さつまいも」登場
『VALORANT』『LoL』のライアット、TGS2025で初の大型ブース展開 格闘ゲーム新作『2XKO』も登場
TVアニメ『SPY×FAMILY』特別企画展、11月9日まで池袋で開催中 アーニャの名シーンやAR体験で世界観を再現
サン・フレア、東京ゲームショウ2025ビジネスデイに出展 3万件超の翻訳実績とゲームローカライズサービスを紹介
東京ゲームショウ2025にシルバースタージャパン登場 『ラビ×ラビ』最終章プロジェクトと新作『銀星将棋10』を発表
コロナ セロに缶タイプ新登場 9月24日から全国販売、先行販売も開始
ディズニーヴィランズが主役!ディズニーハロウィーン2025限定「Happyくじ」9月19日発売開始
サンリオ「Blackハロウィン」Happyくじ9月19日登場 特賞BIGシナモロール&黒猫ハローキティが限定ラインナップ
陸文浩氏の視点:中国、八カ国連合軍と対峙 島嶼線内外で緊張スパイラルがエスカレート
米大学でのカーク氏銃撃事件 フィナンシャル・タイムズが警鐘「言論の自由とキャンパスの安全は両立できるのか」
北京「九三軍事パレード」で誇示された新兵器 台湾統一の切り札となるのか? ロシア・ウクライナ戦争から学び密かに進める研究
評論:米国務省とAIT、「カイロ宣言」巡る北京の主張を否定 台湾地位は依然「未定」と強調
東京ゲームショウ2025、The First PeakがAAA級アート実績を披露 ピンクルは新作『プリッとプリズナー』を初出展
米副大統領ヴァンス氏「カークの名にかけて」左翼テロ徹底掃討を宣言 一方『エコノミスト』は「極右暴力の方が規模も致死性も大きい」と警告
東京ゲームショウ2025で新作スマホゲームと最新VRコントローラー初公開 Bountykinds SolutionsとUdexrealが出展
東京ゲームショウ2025「SOWN」165作品からファイナリスト8組決定 ポッキー氏が4年連続アンバサダーに
東京ゲームショウ2025で初公開 Rouge Mecha新作『Death Ring: Second Impact』がプレイアブル出展
台湾映画上映会2025『夫殺し』デジタル・リマスター版を大阪で上映  京大・津守准教授が語る文学と映画表現
独占》台湾国民党本土派が秘密会合 台北市元市長・郝龍斌氏を主席候補に推す決議
クナイプ、日本上陸40周年でリニューアル「グーテエアホールング バスソルト」全国発売へ 大崎・金春湯で体験イベントも
イスラエル議会代表団と日本台湾交流協会会長が同日訪台 頼清徳総統・蕭美琴副総統が会見
Nothing、最新フラッグシップ「Phone (3)」乗り換えキャンペーン開始 既存ユーザー限定で最大4万5千円割引
六本木アートナイト2025、9月26日開幕 韓国アーティスト特集「RAN Focus」に注目
台湾有事は「時間の問題」? 米専門誌が警告する3つの戦争シナリオ
オズマピーアール、国際広告賞「MAD STARS 2025」で受賞 社会的課題をユーモラスに昇華
麻布台ヒルズで秋の味覚フェア「HARVEST WEEKS」開催 モンブラン&おいもスイーツ32種が集結
ベクトル、厚労省「くるみん認定」取得 子育て支援・株価指数選定・AI広告サービス、三分野での存在感を示す
日本人すら足を運ばない離島に根を下ろす台湾人 地域に溶け込み「対外発信の窓口」に
李忠謙コラム:習近平退陣後、台湾は本当に安全になるのか?
台湾民意基金会の最新調査》国民党が異例の急伸 野党連合なら民進党を8.7ポイント上回る
BBC調査が暴いた「ドバイ乱交パーティー」の闇 元ロンドンバス運転手が性取引を操り、ウガンダ女性が富豪の玩具に…不可解な墜落死も
イチロー氏、自宅に強盗侵入被害 弓子夫人が催涙スプレー浴びるも侵入阻止
習近平政権に揺らぎ? 幹部失脚と経済失速の背景を興梠一郎教授が分析
グアシャから着物体験、自然ガイドまで 日本各地で台湾人移住者が切り拓く“地方創生”の最前線
TikTok米国事業で米中が枠組み合意 トランプ大統領、習近平主席と最終確認へ
天気予報》台風17号(ミートク)成長確率70%!台湾直撃の恐れ 3日間は激しい雷雨