トップ ニュース 米副大統領ヴァンス氏「カークの名にかけて」左翼テロ徹底掃討を宣言 一方『エコノミスト』は「極右暴力の方が規模も致死性も大きい」と警告
米副大統領ヴァンス氏「カークの名にかけて」左翼テロ徹底掃討を宣言 一方『エコノミスト』は「極右暴力の方が規模も致死性も大きい」と警告 2025年9月12日、ニューヨークのマディソン・スクエア・パークで行われた追悼集会で、若手共和党員が「アメリカの転換点」創設者チャーリー・カーク氏を悼む。(AP通信)
米国の保守系若手リーダー、チャーリー・カーク氏(Charlie Kirk)が先週、ユタ大学での演説中に銃撃され死亡した。全米に衝撃が広がる中、副大統領ジェームズ・デイヴィッド・ヴァンス氏(JD Vance)やホワイトハウス高官は直ちに矛先を左派に向け、「カークの名にかけて」左翼の「テロ運動」を一掃する方針を示した。
だが、英誌『エコノミスト』が9月12日に掲載した分析によれば、米国で近年発生している政治的暴力の大半は依然として極右勢力によるものだという。左翼による事件も増加傾向にはあるが、その規模も致死性も極右に比べればはるかに小さいと指摘。標的は政治家やデモ参加者、政府機関など多岐にわたる。専門家は「暴力の件数が単純に増えたのではなく、両党の対立が一層深刻化し、分断が進む社会で“注目を集めたい”動機から政治的攻撃に走る人が増えている」と警鐘を鳴らしている。
ホワイトハウス「カークの名にかけて」左翼掃討を宣言 米国の保守系若手リーダー、チャーリー・カーク氏(Charlie Kirk)が9月10日、ユタ大学での演説中に銃撃され死亡した。全米に衝撃が走り、警察は2日間の追跡の末、22歳のタイラー・ロビンソン容疑者を逮捕。共和党支持家庭の出身だが、ユタ州のスペンサー・コックス知事は「左派的な思想を持っていた」と述べるにとどまり、詳細な動機は明らかにされていない。
犯行の背景が依然不透明ななか、副大統領ジェームズ・デイヴィッド・ヴァンス氏(JD Vance)やホワイトハウス高官は素早く左派を非難。『アルジャジーラ』によると、この発言は9月15日に配信されたカーク氏のポッドキャスト番組で行われ、ヴァンス氏が司会を務め、複数の政府高官が次々と登場した。
ホワイトハウス副首席補佐官のスティーブン・ミラー氏は番組で「これは組織的なテロ攻撃だ」と断定し、「必ず行動する、カークの名にかけて」と強調。「この恐怖ネットワークを徹底的に一掃する」とも語った。
ヴァンス副大統領も強い言葉で、暴力を扇動・助長・参加する非政府組織を標的とし、この事件を左翼運動との戦争と位置づける姿勢を鮮明にした。だが、警察はあくまで「単独犯による犯行」との見方を示しており、動機はなお不明だ。
2025年9月10日、チャーリー・カーク(Charlie Kirk)氏はユタバレー大学で演説を行い、その後銃撃され死亡した。(AP通信)
カーク氏は保守系学生団体「ターニング・ポイントUSA(Turning Point USA)」の創設者で、トランプ大統領やヴァンス氏との距離も近い存在だった。ヴァンス氏は番組で「彼は私が出会った中で最も優れた政治戦略家だ」と称賛し、「トランプ氏の大統領当選も、自らの副大統領就任もカーク氏の力なくしては実現しなかった」と振り返った。
ただし、事件の詳細がまだ解明されていない段階で、ホワイトハウスが「左翼テロ掃討」を掲げる姿勢に対し、批判的な声も少なくない。反トランプ派からは「異論を抑え込む口実になりかねない」との懸念が広がっている。
政治暴力をどう定義するか? 右派の脅威は左派より大きいのか トランプ大統領もこれまで繰り返し銃撃の標的となってきたが、今回のカーク氏暗殺についても「急進左派の政治暴力だ」と非難している。しかし、英誌『エコノミスト』は、そもそも攻撃を「政治暴力」と認定すること自体が高度に主観的であると指摘する。事件に政治的意図があるかどうか、加害者や被害者にどのようなイデオロギー的レッテルを貼るか――その判断には常に議論が伴い、統計の背後には研究機関や研究者自身の政治的立場が反映されることも少なくない。
主要なデータベースの一つがシンシナティ大学の「起訴プロジェクト(The Prosecution Project)」だ。この研究は刑事告訴状や起訴状、裁判記録を精査し、「社会や政治に変革をもたらす、あるいは外部にメッセージを送ろうとする意図を持つ事件」を抽出している。同プロジェクトを率いるマイケル・ローデンタール氏は「左右両方に過激派は存在し、暴力を行使している」としつつも、「件数でみれば右翼による攻撃が多い」と説明する。ただし件数の多寡がそのまま深刻度を意味するわけではない。2001年には確かに右翼暴力の件数がイスラム過激派を上回ったが、同年の米同時多発テロではおよそ3,000人が犠牲となり、他の事例を圧倒している。
アメリカにおける政治暴力を伴う刑事事件、イデオロギー別分類。(画像/エコノミスト提供)
ほかの研究も同様の傾向を示す。ニューヨーク州立大学オスウィーゴ校のセリネット・ドゥラン氏は1990~2020年の政治暴力を分析し、左派の暴力が徐々に増加した一方で、極右による攻撃は頻度・致死性ともに極左を大きく上回ったと報告。ユダヤ系人権団体「反誹謗同盟(ADL)」の統計でも、過去10年間の米国における極端主義関連殺人のうち76%が右翼の手によるものだった。
もっとも、多くの暴力事件は単純に「左」か「右」に分類できるものではない。加害者の動機はしばしば複雑に絡み合い、個人的な怨恨や宗教的背景が混じることもあれば、精神疾患が影響しているケースもある。
分裂した社会の空気が暴力の温床に 「誰が最も攻撃を仕掛けているか」だけでなく、「誰が最も狙われているのか」も重要な論点だ。米戦略国際問題研究所(CSIS)はテロを「非国家主体が心理的影響を与えるために暴力を行使する政治的手段」と定義している。同研究によると、米国で発生した攻撃や陰謀の標的は、カーク氏のように政治的に目立つ人物やストリートデモの参加者が最も多く、次いで政治家や公務員を含む政府機関が続くという。
アメリカ:テロ攻撃と陰謀のターゲット。(画像/エコノミスト提供)
CSISのデータでは、2000年代初頭にいったん低下した政府関係者への攻撃が再び増加に転じている。特に政党の対立に起因する事件が目立ち、2016年から2025年の間に25件発生したのに対し、それ以前の22年間ではわずか2件にとどまっていた。
政治家に対する脅迫や嫌がらせも急増している。米国会警察の調査によれば、2017年に議員への脅迫件数は4,000件未満だったが、2024年には9,000件を突破した。連邦最高裁のジョン・ロバーツ長官も年次報告書で、連邦判事への脅威が急速に増えていると警鐘を鳴らしている。
地方レベルの公務員も例外ではない。プリンストン大学の「DisCordプロジェクト」によると、2024年に地方官僚が受けた脅威や嫌がらせは600件に達し、前年から14%増、2022年比では74%増となった。7割以上の地方官は、敵意の多くが自らが関わる政策課題に直結していると回答している。
英誌『エコノミスト』は、実際に政治暴力を支持する米国人は1割に満たないと指摘する。ただし、ジョンズ・ホプキンズ大学の政治学者リリアナ・メイソン氏は「数字の印象は強烈だが、暴力の規模は1960年代に比べればまだ小さい」と強調する。その違いは、近年の事件が政治理念を推進するためではなく、注目を集める目的で政治家を直接狙うケースが増えている点にあるという。
さらに彼女は、1960年代の社会運動に伴う暴力は必ずしも党派対立に基づくものではなかったと説明する。「当時は民主党と共和党が互いに真っ向からぶつかる構図ではなかった」と語り、現在の分断とは性質が異なることを強調している。
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