舞台裏》頼清徳氏が祝杯をあげる? 台湾国民党主席選に傅崐萁氏が揺さぶり、新たな展開

2025-09-15 16:35
傅崐萁総召集人(写真)が党主席選に出馬を検討しているとの報道は、国民党内に衝撃を与えた。(写真/顏麟宇撮影)
傅崐萁総召集人(写真)が党主席選に出馬を検討しているとの報道は、国民党内に衝撃を与えた。(写真/顏麟宇撮影)
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台湾国民党主席選は10月18日に投開票が予定され、9月15日から届け出が始まり、19日が締め切りとなる。台中市長の盧秀燕氏が出馬しないことを明言したため、一時は候補者が乱立するものの、党内で圧倒的な影響力を持つ有力者が名乗りを上げず、選挙戦は混沌としていた。

そうした中、前中広董事長の趙少康氏や前台北市長の郝龍斌氏が検討を表明し、ようやく党首争いの構図が見え始めた。しかし9月11日、立法院国民党団総召集人の傅崐萁氏が参戦に意欲を示したとの報道が走り、党内に衝撃が広がった。突如浮上した傅氏の名前は、情勢に新たな不確定要素をもたらした。

傅氏は立候補を明確に否定せず、「多くの支持を受けている」と語り、熟慮が必要との姿勢を示している。混戦模様の中で、前組織発展委員会主任の張雅屏氏や彰化県議長の謝典林氏が相次ぎ撤退。郝氏と趙氏は「最終的にはどちらか一人が出馬する」と強調し、互いに調整する意向を示している。趙氏は友人との会食で「郝氏が出れば自分は出馬せず、全力で支援する」と明言したという。ただし、趙氏が率いる「戦鬥藍」は世論調査を実施し、他の要素も考慮したうえで最終候補を決定する方針とされる。たとえ世論調査で趙氏が優位でも、総合判断では郝氏出馬が既定路線になりつつあるとみられている。

20250718-前中広董事長趙少康18日回應取消東非行。(顏麟宇攝)
前中広董事長の趙少康氏(写真)は会合の場で「郝龍斌氏が立候補するなら全力で支援する」と表明した。(写真/顏麟宇撮影)

傅崐萁に出馬資格はあるのか

国民党幹部によれば、傅氏が意欲を示す前、次期党主席選の構図はほぼ固まりつつあった。郝龍斌氏、前立法委員の鄭麗文氏、現職立法委員の羅智強氏、孫文学校総校長の張亞中氏の「4強」が軸とされ、郝氏と鄭氏がやや先行し、羅氏と張氏が追いかける形だった。

各候補の背後には支持勢力が存在するが、票の重複があるため、得票の食い合いが最終結果に影響する見通しだ。現時点で有力視されるのは郝氏か鄭氏で、羅氏や張氏の勝算は限定的とみられている。

そんな中で傅氏の名前が浮上したことに、党内には動揺が広がった。ある関係者は「傅が党主席になれば、2026年や2028年の選挙で国民党は戦えない。頼清徳総統はシャンパンで祝うだろう」と吐き捨てた。ある国民党議員も「盧秀燕氏や蒋万安市長のように再選を目指す県市長は到底受け入れられない。傅氏が要職に就けば、党へのダメージは紅いラベルを貼られた張亞中氏以上に深刻だ」と危機感を語った。

さらに、地方派閥に詳しい党関係者は「傅氏が本気で出馬を望んでも、地方の支持は得られない。地方リーダーたちは傅氏と同一視されれば選挙に勝てないと分かっている。特に県市長候補を擁立する派閥は、命を捨てるような真似はできない」と冷ややかだ。

加えて、党規定でも傅氏は出馬資格を欠いている。かつて党籍を剥奪されており、中央党部も即座に「立候補は認められない」と表明。仮に届け出をしても、審査段階で却下される見通しだ。 (関連記事: 舞台裏》失策を避けたい台湾国民党主席選 資金筋・軍系・本土派・地方議長が水面下で駆け引き 関連記事をもっと読む

20250903-国民党主席擬選挙人鄭麗文(右)3 日拜訪前国民党秘書長李乾龍(左)。(柯承惠攝)
国民党内では鄭麗文氏(右)と郝龍斌氏が有力候補と目される。写真は鄭氏が前国民党秘書長の李乾龍氏(左)を訪問した際の様子。(写真/柯承惠撮影)

傅崐萁はなぜ騒ぎを起こしたのか

ここで浮かぶのは、そもそも傅崐萁氏や周辺スタッフが、自身に党主席選への出馬資格がないことを知らないはずがないのに、なぜあえて波紋を広げたのかという点だ。党首選が混乱すれば、国民党が「大罷免」成功で得た好印象を自ら損ないかねない。

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