トップ ニュース 独占》台湾の安全保障「三つの一致」が鍵 元台湾駐在の泉裕泰氏が国民党青年団に警鐘
独占》台湾の安全保障「三つの一致」が鍵 元台湾駐在の泉裕泰氏が国民党青年団に警鐘 日本前駐台湾大使の泉裕泰氏らの学者たちが、9月11日に日本のシンクタンク「笹川平和財団」で訪日した国民党青年団代表と面会した。(写真/国民党提供)
民進党系勢力が「大規模リコール」に二度失敗したことで、台湾の政治情勢はすでに海外からも注目を集めている。一方、日本では石破茂首相が退陣を表明し、新しい自民党総裁兼首相は10月4日に選出される予定である。しかし与党が単独で多数を確保することは難しく、政局は不安定さを増している。こうした状況が台湾海峡の情勢や台湾の安全保障に影響を及ぼすのではないかと、国際社会から懸念が寄せられている。
米国では、トランプ大統領による「相互関税」や「通商拡大法232条」に基づく調査が進められており、台湾を含むアジア太平洋地域の産業に深刻な影響を与えている。台湾国内では「対米不信論」が浮上する事態にも発展している。これに関して、台湾事情に詳しい元日本の資深外交官は、米国や日本の内部で台湾の安全保障に関し足並みがそろわない可能性を指摘。その上で、台湾の与野党が協力し、必要であれば「秘密会談」を検討すべきだとの考えを示した。
2025年9月7日、日本の石破茂首相が記者会見を開き辞任を発表。(写真/AP通信提供)
台湾の与野党の分裂を懸念 蔡英文前総統 の政権時代に台湾に駐在した経験を持ち、中国語に堪能な日本台湾交流協会台北事務所の前代表、泉裕泰氏は、木曜日に東京で訪日中の国民党青年団と会談し、台湾の安全は三つの「一致」にかかっていると指摘した。すなわち、日米同盟における一致、米国内の一致、そして台湾国内の一致である。泉氏は「トランプ大統領の登場により、米国内の一致は揺らぎ始めている。台湾政策においては超党派での一致が維持されることを祈念する」と語った。
40年の外交経験を持ち、現在は日本のシンクタンク「笹川平和財団」で上席研究員を務める泉氏は、日本国内の状況について、自民党の政治基盤が徐々に弱体化し、少数与党に転じている現状を挙げた。その上で、「今後、日本国内で台湾政策における高度な一致を確保できるかは不透明だ」との見方を示した。
一方、中国については「国内に多くの問題を抱えるが、だからこそ対外的に強硬姿勢をとる可能性が高い。台湾は極めて警戒を要する局面にある」と分析した。さらに、台湾内部の一致に関しては「与野党の分裂が深刻であり、立法院の状況を外から見ても残念に思う」と懸念を表明した。
泉氏は、こうした内外の情勢を踏まえ「台湾の友人として、与野党が合意を形成し、政党の利害より台湾の安全を優先してほしい」と強調。そのためには具体的に、国防予算を政争の具にせず、超党派で国防力を強化することが必要だと提案した。
国民党の葛如鈞立法委員(中央)、凌濤・桃園市議(右)、楊智伃・党報道官(左)が、日本のシンクタンク「笹川平和財団」と会談した。(写真/国民党提供)
軍事リスクは蔡英文政権時代より高いか? 泉裕泰氏は、中国が2024年に実施した軍事演習において約210億ドルを投入し、前年より40%増加したと指摘した。また、過去の「九三軍事パレード」でも50億ドル以上を費やしており、その際には多数の新型兵器が登場したと述べ、「これらは台湾攻撃に向けた具体的準備であり、軍事的リスクは私が台湾代表を務めていた頃よりも高まっている」と警鐘を鳴らした。
これに対し、今回の国民党青年団による訪日団を率いた「KMT Studio」召集人であり、科技分野を担当する立法委員の葛如鈞氏は会談の中で応じ、国防予算について「台湾には確かに与野党間の対話の余地がある」と述べた。その上で、国民党としても予算における原則を堅持しつつ、社会との対話、国防に関する対話、平和の維持、そして国際社会との対話を推進していく考えを示し、「合理的に策定された国防予算と安全保障をわれわれは必ず支持する」と強調した。
葛如鈞氏は、米国をはじめ国際社会の友人らが懸念している点として、台湾の国防予算の配分が時代の変化に必ずしも追いついていないことを挙げた。具体的には無人機や水中無人艦艇、ロボットや人工知能(AI)関連分野への投資比率が依然として低いとし、「台湾も海外の取り組みに倣い、AIやサイバーセキュリティをより広義の国家安全保障予算に組み込むべきだ。多くの国際的な対話の場で、そこを心配する声が聞かれる」と強調した。
さらに泉裕泰氏ら「笹川平和財団」の代表に対し、台湾の過去の武器調達は「ハードウェア購入に偏り、ソフトウェアや人的訓練が不足していた」と説明。「こうした組み合わせは必ずしも良いとはいえない。われわれは監督の立場から台湾をより安全にし、平和につなげたい」と述べた。
また、今後の国防予算には既存の軍事分野に加え、「通信のレジリエンス」や「エネルギーのレジリエンス」を含めるべきだと提案。例として、日本はすでに米国の通信システム「スターリンク(Starlink)」を活用しているが、台湾は依然として利用できない現状を指摘した。さらに、エネルギー供給についても台湾は97%を輸入に依存し、原子力発電がゼロであるため、国防上のリスクになり得るとし「総合的な視点で考えるべきだ」と訴えた。
これに関連し、国民党報道官の楊智伃氏は、朱立倫党主席がすでに繰り返し「公開で透明性のある与野党交流の仕組み」を呼びかけていると強調。その目的は国民的な合意を形成し、地域の挑戦に共同で立ち向かうことにあると説明した。
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