株価急騰でマスク氏を抜く 「一日だけ世界首富」オラクル創業者ラリー・エリソンとは

2025-09-14 14:32
オラクル共同創業者ラリー・エリソン氏。一時的に世界一の富豪となった。(AP通信)
オラクル共同創業者ラリー・エリソン氏。一時的に世界一の富豪となった。(AP通信)
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世界の富豪ランキングに変動があった。米電気自動車大手テスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏が一時的に首位から陥落し、代わって世界一の座に就いたのは米ソフト大手オラクル(Oracle)の共同創業者、ラリー・エリソン氏である。

現在81歳のエリソン氏は、OpenAIとの一連の大型クラウド取引を通じて株価を急伸させた。オラクル株は35.9%の上昇を記録し、巨額の株式を保有する同氏の資産は短期間で890億ドル(約13兆円)膨らんだ。その結果、一時的にマスク氏を抜いて世界首富に立ったが、株価の変動によりこの地位は長く続かず、12日付の《ブルームバーグ富豪指数》では再び2位に戻っている。

六度の結婚 「シリコンバレーの悪童」

ニューヨーク・マンハッタン出身のエリソン氏はユダヤ系家庭に生まれ、シカゴで教育を受けた。名門イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校やシカゴ大学に進学したものの、いずれも中退。その後カリフォルニアに移り、起業の道へ踏み出した。

甲骨文創辦人埃里森(圖)是川普的支持者。(美聯社)
オラクル創業者エリソン氏(写真)。トランプ氏の支持者としても知られる。(AP通信)

1977年、二人の仲間と出資して創設したのがオラクルの前身「ソフトウェア開発研究所(Software Development Laboratories)」である。翌年には最初のデータベースソフト「オラクル」を開発し、1982年には社名もオラクルに改めた。

商才に富む一方で、周囲からは「複雑で風変わりな人物」と評され、海外メディアではしばしば「プレイボーイ」「シリコンバレーの悪童」と呼ばれる。これまでに六度の結婚歴があり、2023年には中国・瀋陽出身のカレン・ジュウ氏と再婚。47歳差の結婚は「祖父と孫の関係のようだ」と揶揄され、メディア王マードック氏の元妻、鄧文迪氏と比較されるなど話題を呼んだ。

表舞台では比較的静かだった近年も、水面下では着実に影響力を拡大している。オラクルの事業だけでなく、米国で1億7000万人以上の利用者を抱える短編動画アプリ「TikTok」に強い関心を示し、2022年には同社の基盤提供者となった。

また、ハリウッド大手パラマウント・グローバルは息子のデービッド・エリソン氏が率いており、CBSニュースの右派寄り再編や、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー買収を検討するなど、メディア界での影響力拡大も進む。

甲骨文擁有雲端資料儲存技術,可解決TikTok的資安問題。(美聯社)
オラクルはクラウドデータ保存技術を有し、TikTokの安全保障上の課題解決に関与するとされる。(AP通信)

エリソン氏といえば、奇抜な投資戦略や豪華ヨットの所有、ハワイ島の不動産買収、そしてドナルド・トランプ氏への長年の支援で知られる。派手なライフスタイルと挑発的な言動から「シリコンバレーの悪童」と称され、2010年の映画『アイアンマン2』では本人役でカメオ出演したこともある。

AI時代の勝者を狙う クラウド戦略

オラクルはエリソン氏の主導の下、長年クラウド分野に注力してきた。過去には失敗を経験しながらも歩みを止めず、AIブームの到来でその戦略が結実した。フェイスブックの親会社メタ、マスク氏が率いるxAI、そして最大の顧客であるOpenAIなどが相次いで利用を開始し、同社の収入は4倍の4550億ドル(約66兆円)に拡大。株価高騰の背景には、OpenAIが今後5年間で3000億ドル(約44兆円)の利用を約束した大型契約がある。

さらに、クラウド領域に集中するオラクルは、マイクロソフト、アマゾン、グーグルといったライバルとは異なる路線を採用。必要な半導体は米半導体大手エヌビディアに依存し、競合を避ける姿勢を取っている。この選択はアナリストから「最新の半導体を優先的に確保しやすくなる」と評価されている。

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編集:田中佳奈

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