サムスンのウエハー製造事業は、長年にわたり歩留まりの低さなどの問題で批判を受けてきた。しかし、ここに来てついに突破口を開き、総額165億ドル(約2兆6,000億円)に達する大型契約を獲得し、現在世界首位の「台湾護国神山」ことTSMCに反撃の一手を打った。報道によれば、契約を結んだ相手は米国の電気自動車大手テスラであり、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)もこれを認め、実際の価値は「165億ドルをはるかに上回る」と強調した。
この契約は2024年7月24日に正式に発効し、2033年12月31日まで続く予定である。過去に歩留まり不良の影響で多くの顧客をTSMCに奪われたサムスンにとって、大きな救いとなるだけでなく、同社の技術開発がついに実を結んだことを意味する。この受注額は、サムスンの年間売上高の約7.6%に相当するという。
米国メディア《Wccftech》の報道によると、イーロン・マスク氏は、サムスンの米テキサス州のウエハー工場を活用し、次世代AIチップ「AI6」を製造することを確認した。このチップはテスラの協力の下で生産される予定で、マスク氏は量産を確実に進めるため、自らもプロセスに関与する意向を示した。一方、現行のAI5チップはTSMCが担当し、初期は台湾で生産、その後は米国アリゾナ州の工場に移管されるという。
報道は、このAIチップに関する提携が、TSMCに後れを取ってきたサムスンの半導体受託製造事業にとって、極めてまれな大きな勝利であると分析している。ブルームバーグによれば、契約額は165億ドル(約2兆6,000億円)に達し、このニュースを受けて韓国市場でサムスン株は2.5%上昇した。マスク氏もその後、「契約の実際の価値は165億ドルをはるかに超える。この165億ドルはあくまで最低ラインであり、実際の生産規模は数倍に達する可能性がある」と述べている。
報道によれば、現在テスラ車に搭載される車載チップはAI3であり、TSMCが製造を担うAI5は現時点で最先端のチップとなる見込みだ。米国の輸出規制の対象となる可能性もあり、マスク氏は最新の決算説明会で「AI5を来年末までに量産開始したい」と語った。AI5チップは自動運転機能の中核を担う重要部品で、3ナノメートル技術が採用されると広くみられている。
編集:柄澤南 (関連記事: サムスン、テキサス工場で受注ゼロ TSMCとの格差拡大、2ナノ計画も延期に | 関連記事をもっと読む )
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp