トランプ氏「関税外交」の全記録 一夜で145%、次の瞬間には再び緩和 世界経済は人質に

2025-07-29 16:09
2025年7月27日、米国大統領トランプがスコットランドでEU委員会委員長フォン・デア・ライエンと会談。(AP通信)
2025年7月27日、米国大統領トランプがスコットランドでEU委員会委員長フォン・デア・ライエンと会談。(AP通信)
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アメリカのトランプ大統領はホワイトハウス復帰後、再び関税を主要な外交カードとして使い始めた。中国、カナダ、EUなど主要な貿易相手国に対し、懲罰的な関税措置を頻発させている。課税と一時停止、再びの課税を繰り返す手法は、世界市場に大きな動揺をもたらしている。米紙ニューヨーク・タイムズは27日、この「関税戦争」のタイムラインを整理し、国際貿易や外交関係への影響を詳しく報じた。

奇襲型貿易戦争が市場を揺るがす

トランプ氏はかつて「関税は辞書の中で最も美しい言葉だ」と語った。2025年1月の政権復帰以降、彼は関税を武器に世界の貿易秩序を再構築しようとしている。4月2日の「解放日」には、中国を含む複数の国に過去最大級の関税を課した直後、突然「90日間の一時停止」を発表。市場と外交の双方が混乱に陥った。一方、中国に対する関税は対象外とされ、税率は145%という歴史的高水準に達した。

ニューヨーク・タイムズによると、多くの国が米国と集中的に協議を進める中、トランプ氏はSNSで突如として新たな関税や警告を発表し、交渉を決裂させることが度々あった。この「奇襲型」の貿易戦略は、米国と同盟国の関係基盤を揺さぶり、世界のサプライチェーンや市場を極度に不安定化させている。ニューヨーク・タイムズは、トランプ政権が今年1月から7月までに展開した「課税-撤回-再課税」の一連の動きを整理した。

トランプ vs. 世界

2月7日:トランプ氏は貿易戦拡大を宣言し、他国に「対等関税(reciprocal tariffs)」を適用すると表明。ただし対象国は明示せず。

2月10日:第1期政権時の「鉄鋼・アルミ関税」を復活させ、全ての外国製鉄鋼とアルミに25%関税を課す。世界の供給網に衝撃。

2月13日:「対等関税」計画を予告し、製造業を米国に呼び戻す狙いを強調。

3月26日:輸入車と自動車部品に25%関税を発表。海外生産の米ブランド車も対象。

4月2日:全輸入品に10%の基礎関税を課し、特定国には「対等関税」を上乗せ。数十カ国が予想外の高関税に直面。

4月9日:主要貿易相手に懲罰関税を課す。中国製品は104%、欧州20%、日本24%、ベトナム46%。中国は即座に報復し、米製品への関税を84%に引き上げた。
同日:トランプ氏は突如「対等関税」の90日間停止を発表。ただし中国は対象外。その後、中国への関税を125%に引き上げると表明。​

4月11日:スマホ、半導体など一部電子製品の関税を一時免除と発表。

4月13日:免除は一時的とし、コンピュータ用チップに新たな関税を検討中と明言。

5月30日:ペンシルベニア州で鉄鋼労働者に演説し、鉄鋼関税を25%から50%に倍増すると約束。

6月4日:鉄鋼・アルミ関税を正式に50%へ引き上げ。ホワイトハウスは「米国安保を脅かす貿易行為への対応」と説明。 (関連記事: 評論:関税発表直前、リコール大敗の余波──台湾・頼政権は米国の圧力に抗えるのか 関連記事をもっと読む

7月9日:8月1日までに21カ国と新協定に至らなければ、20%から最大50%の全面関税を課すと警告。銅価格は急騰し、保護対象の業界からも懸念が広がった。

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