三重県は7月18日、東京都新宿区のハイアットリージェンシー東京で、県の観光資源を広く紹介する大規模なPRイベントを開催した。会場には報道関係者やインフルエンサーらが集まり、伊勢神宮の式年遷宮や伊勢参りの歴史、庭園ツーリズム、食文化など、多彩な魅力が披露された。

伊勢神宮の式年遷宮や庭園ツーリズム、新たな観光キャンペーンを紹介
冒頭では三重県知事の一見勝之氏が登壇。「猛暑の中、またお忙しい中お越しいただきありがとうございます。今日は東京が33度、三重は31度でしたが、暑い中お集まりいただき感謝しています」とあいさつ。
続けて「三重にはたくさんの良いところがありますが、県民はあまり宣伝が得意ではない。だからこそ9年ぶりにこのようなイベントを開催し、首都圏へもっと三重の魅力を伝えたい」と語った。

この日は伊勢志摩アンバサダーの歌手・相川七瀬さん、三重県津市出身のお笑いコンビ「バッテリィズ」の寺家さんとエースさん、伊勢神宮関係者、観光庁や日本政府観光局(JNTO)の関係者も出席。映像では伊勢神宮や忍者発祥の地、鈴鹿サーキット、熊野古道などの観光名所を紹介し、「三重には本物の歴史、癒し、食がある」と強調した。
観光庁の木村宏夫次長は「観光は地域活性化の成長戦略として重要。2024年は訪日外国人が過去最高の3700万人、消費額は8.8兆円に達した。政府は2030年までに6000万人、15兆円を目標としている。三重県は多くの魅力を持ち、このようなイベントは意義深い」とコメント。JNTOの加藤敦美理事長も「三重は日本のルーツとも言える地。地方誘客拡大が課題の中、三重がその先頭に立つことを期待する」と語った。
トークセッションでは、神宮司庁広報室次長の音羽悟氏が「式年遷宮は20年ごとに社殿を新しく建て替え、伝統技術を継承し文化を未来へとつなぐ営み」と解説。皇學館大学の千種清美氏は「伊勢神宮には常に“古くて新しい社殿”があり、それが1300年以上続く力となっている」と話した。相川七瀬さんは「伊勢神宮は訪れるたびに新しい息吹を感じる場所。式年遷宮は常に原点に立ち返る循環の象徴」と語った。
さらに千種氏は江戸時代に盛んだった「おかげ参り」や「伊勢三国三十三観音巡礼」にも触れ、「伊勢参りは心を整える旅だった」と解説。音羽氏は「街道整備や名物料理の発展など、伊勢参りは地域経済をも動かした」と話した。相川さんも「歩くという行為自体が日常から非日常への移行を意味し、日本人の旅の原点には神仏への祈りがある」と語った。
みえガーデンツーリズム協議会の横山陽二会長は「伊勢國お庭街道〜庭園を巡る令和のお伊勢参り」を紹介し、「江戸時代のお伊勢参りのように宿泊を重ねながら巡る周遊型観光を現代に広めたい」と述べた。
また、JR東海の齋藤晋作氏と近鉄レジャークリエイトの髙田佳奈氏が、首都圏からのアクセス向上をテーマにした共同観光キャンペーン「志摩にしました」を発表。阿児湾でのクルーズや海女文化体験、伊勢志摩ならではの食と景観を満喫できる限定プラン、個人型プレスツアーなどが紹介された。
イベント終盤では「バッテリィズ」の寺家さんが「三重おいないナビゲーター2025」に就任。「芸人として有名になったら必ず地元に恩返しをしたいと思っていた。これから三重の魅力を全国に伝えていきたい」と意気込みを語り、相方のエースさんと漫才を披露して会場を盛り上げた。

最後のフォトセッションでは登壇者が一堂に集まり、会場は和やかな雰囲気に包まれた。第2部では三重県産の海産物や肉、地酒を組み合わせたフードマリアージュ試食会や観光PRブースが設けられ、来場者は三重の食と文化を五感で体験。
9年ぶりとなるこのイベントは、伊勢神宮の式年遷宮を中心に、庭園ツーリズムや食文化、インバウンド誘致といった多面的な魅力を首都圏へ発信する貴重な機会となった。
編集:田中佳奈
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