米国のドナルド・トランプ大統領は、米国の貿易問題を改善するために4月に最初の関税率を発表し、その内容は世界を驚かせた。その後、数カ月にわたる交渉を経て、7月から各国の関税率を順次公表している。台湾についても最終交渉が続いており、外部の見方では最終的な関税率が初回発表の32%を超えることはないと見られている。最新の情報では、台湾の関税率は韓国や中国など近隣諸国より低くなる見通しだが、そのために大きな代償を払う可能性があるという。
交渉の最前線に立っているのは行政院副院長の鄭麗君氏で、行政院経済貿易事務所(OTN)の総交渉担当・楊珍妮氏とともに難題に取り組んでいる。日本は最近25%の関税率を通知されて国内に衝撃が走ったが、その後、米国への5500億ドル(約80兆円)の投資と自動車・トラック・米・その他農産物の輸入を受け入れることで、関税率が15%に調整された。台湾については18%での合意が有力視されており、台湾政府としても望ましい水準だが、多大なコストを負い、一部産業に大きな影響を及ぼす可能性がある。

台湾は「模範生」、発表が遅れる背景に米国の戦略
米台交渉に詳しい学者は、台湾の関税率がまだ正式発表されていないのは「模範生」と見なされ、米国の要求に慎重に応じているからだと指摘する。一方、日本や韓国などの同盟国は実質的な譲歩がほとんど見られず「不良生」として先に高い関税率が公表された。米国はこの順序を通じ、すぐには応じない国を示しつつ、台湾には戦略的に時間を与え、安定した交渉を進めていることをうかがわせた。
情報筋によると、台湾の関税率が予想より低く抑えられる見込みなのは、米国側の求める条件を台湾ができる限り受け入れたからだという。自動車関税の段階的な引き下げや農産物の一部内臓品の解禁、健康補助食品の税率を毎年引き下げる措置、さらには為替政策への協力も含まれる。また、軍事関連製品の購入や米国内での投資を進めることも、税率を低下させる交渉材料となった。

米国産豚・牛肉の交渉は難航 自動車・健康補助食品でも譲歩
関係者によれば、過去に健康部が米国産豚・牛肉の交渉に関して「国際慣例に基づくため公表前に説明できない」と回答しており、交渉が難航していることを示唆する。特に内臓品目は国民の健康への影響が大きいため、国内で十分な理解が得られないまま合意すれば食の安全に懸念が残るだろう。
一方、自動車業界では関税引き下げは避けられないとの見方が強い。台北や台中の港には米国製の輸入車が増えており、関税引き下げ後は販売価格が下がることを見込んで業者は販路拡大を急いでいる。健康補助食品についても、年度ごとに税率を引き下げる方向で交渉が進められており、過去に健康部と経済部で繰り返し議論されてきた経緯がある。今回の交渉では、税率が段階的に引き下げられる見通しが強まっている。
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