【新新聞】台湾で教師の机を生徒が破壊 教育現場が崩壊寸前、管理権の形骸化が深刻に

2025-07-10 14:19
現在の教育現場は、「教師と生徒の関係の不均衡」と「制度支援の機能不全」という二重の困難に直面している。(資料写真、柯承惠が撮影)

台湾では近頃、ネット上で学生が教師の机をひっくり返す映像が広まり、教育界および社会で大きな注目を集めている。多くの教師がこの映像を見て心を痛め、現在の教育現場がバランスを失っていると感じている。従来の教育方法が通用せず、教育部や学校からの管理権も曖昧であり、学生は匿名で苦情を申し立てることができるため、第一線の教師たちは疲弊し、一年を終えるとすぐに退職してしまう状況である。

映像には、新北市のある学校で3名の学生が教室内で教師の机を破壊し、椅子をひっくり返す様子が映っており、全く後悔していない様子でで笑っている。映像は学生によって撮影され、長さ17秒で《爆料公社》に転載された。これに対して、ネットユーザーは現在の教育環境の不均衡を批判し、教師の管理権が形骸化していると指摘して。

制御不能の学生と無力な教師、第一線での対立が高まる

映像には、一人の男学生が突然教師の席へ駆け寄り、椅子を蹴倒し、続いて二人の女子学生が教師の机の上の物を床へ落とす様子が映されている。この行為は授業の秩序を著しく乱し、教師の威厳をも挑戦するものである。

長年の教育経験を持つK先生は、映像を見た際の驚きを隠せず、現在の教育現場の「教師と生徒の関係の不均衡」や「制度的サポートの欠如」という二重の問題が浮き彫りになったと指摘する。K先生によれば、映像から判断すると、関与している教師はおそらくクラス担任であり、机は教室内に配置され、一部の学校ではこのような設定があり、教師が生徒を管理しやすくしているのだという。

映像の学生が公然と机をひっくり返すことは、校内では稀である。K先生は、学生は教師が不在の時に物を物色しようとした可能性が高く、過去の経験から判断すると、学生が直接教師の机に敵対行動を取ることはあまり考えにくく、映像を撮影して証拠を残すことも、彼らが一時的な快感を追求したものの後に問題を残していると指摘した。

この事件の背後には、学生の行動が教師と学生の関係の不調和を示していることが注目される。K先生は、この教師が授業において伝統的な厳しい管理を行っていたため、学生はその教育の意図を理解できず、自分が圧迫されていると感じるだけだったのではないかと推測している。また、このような相互作用の中で、学生は間違いや結果の関係を理解できず、極端な行動で反抗や不満を表現している。 (関連記事: 防衛費さらに拡大へ?石破首相「世界で最も厳しい安保環境」 与野党は財源めぐり対立 関連記事をもっと読む

「手続き的正義」の強調、教師への具体的なツールなし

近年、教育政策は学生の自主権や身体権を強調し、教師の管理行動に多くの制限を設けている。U先生が取材に対して述べたところによれば、現行の法律では教師が偏った管理を行う余地がなく、一部の規范はあるものの、表向きは権限を与えても事実上は形骸化しているという。また、現場で事件が発生した際に、第一線の教師、学校の教務部、校長、さらには地方教育機関の考えが異なり、最もよく見られる状況として、教育局が責任を学校に転嫁し、口頭では教師を支持すると言ったものの、実際には何も支援していない状況が挙げられる。