「国家を与えるな」──ネタニヤフ首相、パレスチナ国家樹立に改めて強硬反対

2025-07-09 10:25
イスラエルのネタニヤフ首相はパレスチナ建国問題に対する強硬な姿勢を示した。(資料写真、AP通信)
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イスラエルのネタニヤフ首相は7月7日、ホワイトハウスでトランプ米大統領との会談を行い、パレスチナ国家樹立に関する強硬な立場を示す重要な声明を発表した。ネタニヤフ首相は、パレスチナ人との平和共存を望んでいるとしつつも、将来いかなる独立したパレスチナ国家であっても、イスラエルを破壊するための脅威となり得る「拠点」となりかねないとの認識を示し、安全保障に関する主権は引き続きイスラエルが確固として握るべきであると強調した。

会談の中でネタニヤフ首相は、2023年10月7日にハマスがガザ地区からイスラエルに対して大規模攻撃を仕掛けた事件に言及し、これを「パレスチナ国家が成立した場合に取る可能性のある行動の動かぬ証拠」と位置づけた。当時、ガザ地区はハマスの支配下にあり、この襲撃はネタニヤフ首相の主張を裏付ける重要な事例として挙げられている。

ハマスの攻撃でネタニヤフ首相はパレスチナ国家建設反対を表明

現地記者が「二国家解決案」の実現可能性についてトランプ氏に質問した際、トランプ大統領は「分からない」と応じ、この微妙な問題についての回答をネタニヤフ首相に委ねた。このやり取りは、現在の政治情勢において二国家解決案がいかに複雑かつ論争的なテーマであるかを浮き彫りにした。

ネタニヤフ首相はこれに対する応答の中で、2023年10月7日の事件の影響について詳述した。「2023年10月7日の出来事以降、誰もが言うようになった。『パレスチナ人はガザにハマス政権を持っていた。彼らが何をしたか見てみろ』と。彼らは国家の建設を行うどころか、地下に要塞やテロ用のトンネルを掘り、我々の国民に対して虐殺を行い、女性を暴行し、男性を斬首し、我々の町や入植地に侵入した。第二次世界大戦時のナチスによるホロコースト以来、前例のない非道な暴虐を働いたのだ。」

さらにネタニヤフ首相は、パレスチナ国家樹立に対するイスラエルの立場について次のように述べた。「だからこそ、人々はもはやこうは言わないだろう。『彼らにもう一つ国家を与えよう』とは。それは単にイスラエルを破壊するための足場になるだけだ。」この発言は、パレスチナ国家の成立がイスラエルの安全保障に深刻な脅威をもたらすとの政府の根強い懸念を示している。

それでもなお、ネタニヤフ首相は和平への意志も併せて表明した。「我々は、イスラエルの破壊を望まないパレスチナの隣人たちと、和平合意を結ぶ用意がある。その和平は、我々の安全を確保するものでなければならず、すなわち安全保障の主権は常に我々の手中にあるということだ。」 (関連記事: トランプ氏が爆弾発言「イスラエルが60日停戦に同意」と一方的表明 ハマスに「最終提案」受け入れ迫る 関連記事をもっと読む

イスラエルがパレスチナ国家建設の見通しを破壊したとの指摘

批判的な声に対して、ネタニヤフ首相は強硬な姿勢を崩さなかった。「今後、『それは完全な国家ではない、国家とは呼べない』といった声が上がるかもしれない。だが、我々は気にしない。我々は『二度と繰り返させない』と誓った。そしてその『二度と』とは、今この瞬間からだ。このようなことは絶対に再び起こさせない」と述べた。