トランプ氏の「壊滅的関税」回避へ 米財務長官が交渉延長を提示、世界貿易に再び猶予

2025-07-07 15:04
アメリカ財務長官ベセント氏(AP通信)
アメリカ財務長官ベセント氏(AP通信)
目次

米国のトランプ大統領が設定した7月9日を期限とする貿易協議のカウントダウンが始まり、世界各国は壊滅的な関税戦を避けるべく最後の努力を続けている。このような状況の中、米国財務長官のスコット・ベセントは6日、一部の国が3週間の「猶予期間」を得られる可能性があると示唆し、経済危機に再び転機が訪れたとの見方が示された。

この世界的な経済危機の核心は、トランプ氏が米国の貿易赤字を解消するために提案した「相互関税」政策にある。トランプ政権は、米東部時間7月9日午前0時までに米国と貿易協定を結ばない国に対して、今後輸出される商品に対し、今年4月2日に発表された高関税が適用されると警告している。この方策は「極限施策」として受け止められ、貿易交渉で多くの譲歩を引き出すことを目的としている。期限が迫る中、週末になり米財務長官ベセント氏は、米国のCNNおよび『フォックスサンデーニュース』のインタビューで「今後72時間は非常に忙しくなる」と語った。

ベセント氏は同時に、トランプ氏が今週、一部の国へその関税率を通知する書簡を送るが、これは「最終的な判決」ではないと強調。新たな関税は8月1日に正式に施行される予定であり、交渉が遅れている国々でさえも、新しい提案を持ち込む時間がまだあるとした。ベセント氏は、「最終段階での『渋滞』が深刻化しているため、貿易パートナーには、4月2日の税率に戻る可能性があると伝えることで、今後数日および数週間における進展を促す役割を果たす」と述べた。

ブルームバーグ通信は、ベセント氏の発言が、短期間で最大18カ国との交渉を完了することの複雑さをワシントンが認識し、戦略的に柔軟性を保持していることを意味すると指摘している。しかし、ベセント氏は8月1日を「新たなデッドライン」と呼ぶことを拒み、各国に対して「速度を上げたいのなら、そうすればいい。元の税率に戻りたいのなら、それも選択だ」とメッセージを送った。

トランプの極限施策、各国は苦境に立たされる

同時に、トランプ氏は交渉の場で圧力をかけ続けている。米国独立記念日(7月4日)の休日、トランプ氏はメディアに対し「約12通の書簡に署名し、月曜日に発送する」と明らかにしたが、受取国のリストは公開されておらず、これらの指示に関する詳細は異なる。一方で、12通の手紙が本当の最後通告なのか、交渉に踏み切れない商取引相手への脅かしとして送られるのかは不明である。 (関連記事: 日米関税交渉の行方不明確 石破茂首相が再びトランプ大統領に反論「カリフォルニア米を購入済み」 関連記事をもっと読む

米国政府は多くの国と貿易協定を締結する意向であると繰り返し主張しているが、現在までに、英国との限定的な枠組み、中国との「貿易戦争の一時休戦」、そしてトランプ氏が簡潔に発表したベトナムとの協議が行われたのみである。49%の関税を課せられることを憂慮するカンボジアは、5日に米国との枠組み協議を単独で発表したが、その詳細は不明である。ベセント氏が交渉期間の延長を示唆したことで、しかしアジア太平洋地域の国々は決して油断せず、日本、東南アジア、インドは最後の外交交渉を開始。トランプ政権の「アメリカ第一」の標榜の下、各国は自国の利益の保護に奔走している。日本の石破茂首相は強硬な姿勢を崩さず、貿易圧力に抗う意志を示した。他の主要経済国と米国間の交渉の進行状況が以下に示されている。

最新ニュース
中国、台湾海峡のM503接続航路「W121」を一方的に運用開始 台灣側は「合意違反」と強く反発
「2027台湾侵攻」は本当か?習近平氏が語らなかった「統一タイムテーブル」の裏側
評論:総統に知識なし、院長に常識なし?──「大リコール」が映す台湾政治の空洞
「中国製なのにベトナム発」? トランプ関税をかわす中国の新手法とは
習近平が台湾侵攻なら「NATO諸国はロシアと戦う羽目に」 NATO事務総長が最悪シナリオを想定
【武道光影】天然理心流と幕末最強の剣客集団・新選組の結成について
台風4号(ダナス)、中央山脈で勢力失い出海 台湾北部海上で循環再編の兆し 中南部は雷雨続く見通し
イーロン・マスク氏「アメリカ党」創設を発表 トランプ元側近バノン氏が猛反発「南アフリカに帰れ」
米テキサスで記録的洪水 少女750人のサマーキャンプ襲う 子ども15人死亡、行方不明者多数
イーロン・マスクが新党「アメリカ党」設立 トランプ氏と決別、二大政党制に挑戦状
最高税率70%!トランプ氏、各国に8月1日から課税を指示 「第一波の国名リスト」明らかに
台風4号(ダナス)、台湾中部上陸の恐れ 全国20県市に豪雨警報「特別警戒レベル」 最新進路と暴風情報
「台湾を守る参拝者に」 全国31地域の罷免団体、花蓮から『護国大行進』開始
江戸の美が動き出す 台北で「動く浮世絵展」開催、北斎・写楽ら300点がCGで蘇る
バスが線路を走る!?世界初「DMV」運行中 徳島・高知を結ぶ“15秒の変身”に驚きの声「バス界のトランスフォーマー」と話題に
独占インタビュー》「最も美しいNBA日本人記者」 宮河マヤさんの素顔
出発前から旅気分!台湾・桃園空港「無料で楽しめる9スポット」が充実すぎると話題に
米国、対中輸出規制を一部緩和 EDAやジェットエンジンの供給再開へ
情報安全か全面監視か?中国の「デジタル身分証」導入へ、11億のネットユーザーデータが北京の手に
日米関税交渉の行方不明確 石破茂首相が再びトランプ大統領に反論「カリフォルニア米を購入済み」
東大卒でも報われない?学歴では超えられない「出身」と「ジェンダー」の壁
東京を「歩いて伝える」2人組、YouTubeで描く日台越境ストーリー
東京駅スタッフが本気で選んだ「推し土産スイーツ」ランキング!1位はあの焼きたてフィナンシェ
トイ・ストーリー×花火×歴史街区!台北「大稻埕サマーフェス」8月開催へ 台北の夜空に「埕彩千輪」咲く
Apple 脱中国?鴻海がインド工場の中国人スタッフ撤退へ 専門家「戦略調整の一環」
「台湾版ディズニー」嘉義に誕生へ オーレボー夢の城が7月試験営業開始!チケットや園内マップも公開
台湾発3大航空会社が燃油サーチャージ値上げ 7月7日から最大6.5ドル増加へ
大阪アジアン映画祭、2025年は万博連動の夏開催へ
大阪市中央公会堂でアジア映画を無料上映 インド・モンゴル・ベトナムの傑作3本を一挙公開
AI進化、7か月で能力倍増 人類に壊滅的リスクの可能性も研究が警鐘
台北の人気観光地ランキングTOP10発表 1位は「西門町」、日本人にも人気の台北101は2位に
「ディズニーストア 東京ディズニーリゾート店」、7月6日にリニューアルオープン
舞台裏》親密な台日関係に潜む「人材の空白」 外交人材の継承に懸念
7月5日に巨大地震?「M9」の可能性は0.01% 専門家が冷静に分析、津波リスクも解説
石破茂首相の「アメリカ車は左ハンドルで燃費が悪い」発言が話題に アメリカ車はなぜ日本で不人気なのか?
サムスン、テキサス工場で受注ゼロ TSMCとの格差拡大、2ナノ計画も延期に
トランプ氏「この国をロケットに」大型減税法案が成立、移民対策に24兆円投入へ
評論:台湾・賴清徳総統が「米軍との協力すべて公開」と明言 対中緊張さらに高まる恐れも
台湾、中国出身配偶者に3か月ルール厳格化、提出遅れで身分証取消も 陸委会「例外認めず」
台湾初の合法原住民市場「峰市集」誕生 原住民族の暮らしと食が集う文化と観光の新拠点に
舞台裏》新疆が台湾人に大人気に?「合掌村」「イエローストーン」が一度に楽しめる旅先とは
「相互関税」猶予は7月9日で終了 関税交渉は「前払い制」へ?トランプ氏、未合意国に「関税通知書」送付へ
米国、ペトリオット供給を一時停止 ウクライナ激怒「ロシアの侵略を助ける行為」 トランプ政権は「米国第一」と正当化
台湾侵攻は中国に壊滅的打撃? ロシアの衰退に乗じた「北方戦略転換」説に注目
台風4号「ダナス」発生か 台湾接近で週末に暴風・大雨の恐れ
米下院可決「トランプ大きくて美しい法案」国債3.4兆ドル増、1200万人が医療保険喪失、貧困層に深刻な影響
『エコノミスト』が解説:トランプの「大きくて美しい法案」ー米国債急増、赤字拡大、最大の代償を払うのは貧しいアメリカ人
インタビュー》米国「防衛費増やせば関税下げる」 台湾に「イスラエル・モデル」提案も
米越が貿易協定 「原産地偽装」に40%課税も 対中対策の新たな一手か
米越が関税協議で合意も、日本は譲歩拒否 石破首相「関税より投資、防衛費は自ら決める」