日本の大手エレクトロニクス企業 ソニー(Sony) は、米国市場において PlayStation 5(PS5)の全3モデルを即日値上げ すると発表した。理由は、関税コストの上昇と、世界的にゲーム市場が減速する中での経営圧力だ。今回の改定により、最上位モデルのPS5 Proは新たに749.99ドル(約11万円)に達し、過去最高価格となる。
BBCの報道によれば、今回の値上げは米国市場に限定されている。その理由は明確で、トランプ政権の関税政策によって日本製品を米国へ輸入する際、15%の関税が課されるようになったためだ。ソニーは長期間にわたり米側と交渉・譲歩を続けてきたが、最終的には急増するコストを価格に転嫁せざるを得なくなったとしている。
Sony hikes PlayStation 5 prices in US as tariff uncertainty weighshttps://t.co/scK9mIddLn
— Reuters (@Reuters)2025年8月20日
値上げ後の米国PS5価格と他社の動き
今回の価格改定により、米国で販売されるPS5の推奨小売価格は以下の通りとなった:
スタンダード版:499.99ドル(約7万4,000円)
Pro版(最上位モデル):749.99ドル(約11万1,000円)
デジタル版:これまでより50ドル(約7,400円)の値上げ
本体の値上げに対して、周辺機器の価格は据え置き。また、今回の改定は米国市場に限定され、他の国・地域では現時点で価格変更はない。

実際、ソニーは今年初めに英国および欧州でもゲーム機の値上げを行っているが、その際はインフレ高騰と為替変動によるコスト増が理由と説明されていた。
米国のゲーマーにとっては「大出費の年」となりそうだ。ソニーに限らず、任天堂(Nintendo)は最近、Switchのオリジナル版を値上げ。人気ソフト 『マリオカートワールド(Mario Kart World)』 も価格が上昇している。さらにマイクロソフト(Microsoft)も今年に入り、複数の国でXbox本体や周辺機器を値上げしており、プレイヤーの不満が広がっている。

影響はゲーマーだけにとどまらない
値上げの波はゲーム業界に限らない。米国の大手ホームセンターホーム・デポ(Home Depot)は、関税の影響で「近い将来、一部商品の価格が上昇する可能性が高い」と警告。同社CFOのリチャード・マクフェイル氏は ウォール・ストリート・ジャーナル に対し、「一部の輸入品の関税率は、前四半期よりも明らかに高い」と語った。
さらにスポーツ大手アディダス(Adidas)とナイキ(Nike)も、トランプ政権の関税政策により数十億ドルの追加コスト を負担せざるを得ないと明かしている。そのため両社は米国市場での商品価格を引き上げ、コスト増を吸収する方針だ。
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