評論:ウクライナが領土割譲で戦争終結?台湾に突き付けられる警鐘

2025-08-20 17:22
ウクライナのゼレンスキー大統領はいま「最悪を超えてさらに悪化する」状況に直面している。トランプ氏が示す「和平案」を受け入れれば、領土を手放す代わりに曖昧な安全保障しか得られず、数年後にロシアが再び侵攻する危険を残しかねない。(AP通信)
ウクライナのゼレンスキー大統領はいま「最悪を超えてさらに悪化する」状況に直面している。トランプ氏が示す「和平案」を受け入れれば、領土を手放す代わりに曖昧な安全保障しか得られず、数年後にロシアが再び侵攻する危険を残しかねない。(AP通信)
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米ロ首脳会談が先日行われたが、停戦合意には至らず、新たな制裁計画も示されなかった。戦争犯罪人とされるプーチン大統領がレッドカーペットで迎えられ、自由に米国領土を往来する姿は象徴的だった。プーチンはトランプ大統領を「取り込む」ことに成功し、米ロが同じ立場に立った格好だ。ゼレンスキー大統領は二つの選択肢に板挟みとなっている。すなわち、トランプが提示する「和平協定」を受け入れるならば領土割譲と引き換えに曖昧な安全保障しか得られず、しかもロシアの再侵攻を排除できない。強大国の論理で分割が正当化されるとき、小国はどう身を守るべきなのか。

「トランプ・プーチン会談」笑顔の陰で ウクライナは灰燼に

今回の「トランプ・プーチン会談」を前に、トランプ氏はプーチン氏を異例の厚遇で迎えた。レッドカーペットを敷き、B-2爆撃機が上空を旋回、F-22戦闘機が整列し、F-35が護衛飛行を務める中で出迎え、さらに大統領専用車「ビースト」に同乗させたのだ。

戦争を仕掛けた後も、プーチン氏は「和平協定」を一貫して主張し続けてきた。その中には、ウクライナのNATO加盟禁止、クリミア併合の国際承認など、ロシアが求める条件がほぼすべて盛り込まれている。つまり、戦場で奪えなかった東部領土を交渉のテーブルで勝ち取ろうとしているのである。

トランプ氏は首脳会談後、ロシアへの新制裁を停止すると表明。さらに停戦合意を退け、プーチン氏が長年掲げてきた「和平協定」の実現を推し進める姿勢を見せた。その協定の柱は、①NATO軍を1997年の拡大以前の国境線まで撤退させる、②ウクライナのNATO加盟を禁止する、③キーウ政府に東部領土の放棄を迫る、④軍事力を縮小させる――といった内容だ。

トランプが介入した今回の首脳会談は、第二次世界大戦後最大の戦火である「ロシア・ウクライナ戦争」を収束させる試みであり、その構図は第一次大戦後の「パリ講和会議」を彷彿とさせた。敗戦国や中立国は席を与えられず、戦勝国のみが集う「祝宴」となったのだ。トランプは戦争犯罪者とされるプーチンの立場を擁護し、対ロ制裁の解除を主張。結果として長年培われた同盟関係を揺るがした。首脳会談の後、トランプはゼレンスキーや欧州7カ国の指導者をホワイトハウスに招き、和平協定の可能性を協議した。その場でトランプは「北約に準じた部隊」をウクライナに駐留させ、将来的に米欧がウクライナに「NATO第5条に相当する」安全保障を与える構想を提示した。つまり、32カ国のいずれかが武力攻撃を受ければ、他の同盟国も攻撃されたとみなし、防衛に踏み切るという枠組みである。

アメリカ大統領トランプ(右)とロシア大統領プーチンがアラスカで会談。(AP通信)
アメリカ大統領トランプ(右)氏とロシア大統領プーチ氏ンがアラスカで会談。プーチン氏は戦争犯罪者でありながら、自由にアメリカ領土に出入りでき、最大の勝者とされている。(AP通信)

他国の手中の石にすぎない宿命か

ウクライナは言うまでもなく最大の敗者だ。EU加盟国もそれぞれに思惑を抱え、ウクライナを利用してロシアを「釘付け」にし、戦火の拡大を防ぎ、自らが「侵略の標的」となる事態を回避しようとしている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、ウクライナの行く末について二つのシナリオを提示する。第一は領土を割譲して戦争を終結させ、将来的に同盟国の支援と安全保障を受ける道だ。これは1953年の朝鮮戦争後に南北分断が固定化され、米軍駐留が南韓を守った構図に近い。第二は国家主権そのものを喪失し、再びロシアの属国となって完全降伏する道である。どちらを選ぼうとも、結局は「主権を失い、領土を削られる」結末から逃れることはできない。

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